【2026年7月26日更新】建築基準法・施行令に加え、平成12年建設省告示第1436号の最新版と、令和7年国土交通省告示第992号・第993号(いずれも2025年11月1日施行)を反映しました。「1/20の換気開口」「令第116条の2の無窓判定」「排煙設備」「告示による排煙設備の設置免除」の違いが分かるよう内容を整理しています。
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この記事では、外倒し窓・突き出し窓・縦すべり出し窓などについて、開放角度を考慮した有効開口面積の考え方を解説します。
開放角度の小さい窓を、見付け面積のまま換気・排煙上の有効面積に算入すると、必要面積を過大に評価するおそれがあります。1/20と1/50の規定の違い、計算時の注意点、事前確認のポイントを順に見ていきます。
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換気・排煙計算と無窓解除の話
実務で「無窓計算」「無窓解除」と呼ばれる検討には、根拠と目的が異なる複数の規定があります。まず、次の3つを分けて考えることが重要です。
| 検討 | 主な根拠 | 開口部の目安 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 自然換気 | 法第28条第2項 | 換気上有効な部分が居室床面積の1/20以上 | 居室の換気 |
| 無窓居室の判定 | 令第116条の2第1項 | 同項第1号は採光上の開口、第2号は天井付近の開放可能な部分が居室床面積の1/50以上 | 避難・排煙関係規定の適用判断 |
| 排煙設備 | 令第126条の2・第126条の3 | 自然排煙口の位置・面積・開放装置等を確認 | 火災時の煙の排出 |
「1/20を満たせば、どの建築物でも排煙設備が不要」という関係ではありません。排煙設備の設置免除は、令第126条の2第1項第五号と平成12年建設省告示第1436号に基づき、用途・規模・警報設備・避難経路・区画・内装など、採用する規定ごとの条件を確認します。
本記事の計算フォームは、法第28条第2項の換気開口と、令第116条の2第1項第2号による1/50無窓判定の概算確認を対象にしています。1/50無窓判定フォームでは、令和7年国土交通省告示第992号による算入可能部分を求め、その結果を告示第993号の必要面積計算へ自動的に引き継ぎます。令第126条の3に基づく排煙設備全体の適合判定を行うものではありません。
窓の検討をまとめて行いたい方へ
採光・換気・無窓判定を一つの画面で
一般的な居室と窓について、採光、自然換気、採光無窓(1/20)、排煙無窓(1/50)を居室ごとに概算できます。
留意点:ベータ版のため、二室を一室として扱う計算、複雑な建物・敷地形状、バルコニー等による立体的な採光障害、特殊な窓・天井、自治体等の個別取扱いは自動判定できません。
最新版の排煙告示による設置免除
平成12年建設省告示第1436号は、令第126条の2第1項第五号に基づき、火災時に避難上支障のある高さまで煙またはガスが降下しないものとして、排煙設備の設置を要しない建築物の部分を定めています。現行版には、令和7年国土交通省告示第998号による改正(2025年11月1日施行)が反映されています。
| 告示の区分 | 対象・主な条件 |
|---|---|
| 第三号イ | 階数2以下・延べ面積200㎡以下の住宅、または一住戸200㎡以下の長屋の居室で、当該居室に床面積の1/20以上の換気上有効な開口部があるもの |
| 第三号ロ | 階数2以下・延べ面積500㎡以下で、令第110条の5の警報設備を設け、各居室から道まで避難上支障のない屋外出口等がある部分。対象外となる特定配慮特殊建築物があります |
| 第三号ハ | 階数2以下・延べ面積500㎡以下で警報設備を設け、所定の区画、室面積、避難距離などの条件を満たす部分 |
| 第三号ニ | 避難階または避難階の直上階で、用途、屋外出口等、他の部分との関係などの条件を満たす部分 |
| 第三号ヘ | 高さ31m以下の建築物の一定の部分で、用途・階に関する除外に該当せず、室用途、面積、区画、内装など、同号(1)から(5)までのいずれかの条件を満たすもの |
住宅の基本的な免除:第三号イを用いる場合は、「階数2以下」「延べ面積200㎡以下」「住宅の居室」「当該居室に床面積の1/20以上の換気上有効な開口部」という全ての条件を確認します。3階建て、200㎡を超える住宅、兼用住宅などは第三号イだけでは判断できません。第三号ロ以降を含め、計画条件に対応する規定を個別に確認してください。
なお、告示による設置免除の検討と、令第116条の2第1項第2号による1/50の無窓判定は別の検討です。本記事の計算フォームだけで告示への適合を判定することはできません。
2025年11月1日施行:1/50無窓判定の合理化
告示第992号:天井高さに応じた算入範囲
令第116条の2第1項第2号の「開放できる部分」として算入できる壁の範囲は、令和7年国土交通省告示第992号により、床面から天井までの垂直距離に応じて次のように定められています。
| 床面から天井までの垂直距離 | 開放できる部分として算入できる壁の範囲 |
|---|---|
| 2.6m以下 | 天井から下方80cm以内 |
| 2.6mを超える | 床面からの高さが1.8m以上の部分 |
つまり、天井高さが2.6mを超える居室では、算入範囲が「天井から80cm以内」に限定されず、床から1.8m以上の部分まで広がります。本記事の計算フォームもこの告示に対応しています。
告示第993号:給気口を考慮した必要割合
令和7年国土交通省告示第993号では、所定の構造に適合する給気口と排気口がそれぞれ1以上ある場合、給気による排煙効果を考慮し、開放できる部分の必要割合を1/50以下として計算できるようになりました。
- 給気口は、常時開放または排気口と連動して自動開放し、機械換気設備を構成しないもの。
- 排気口は、直接外気に接して開放でき、機械換気設備を構成せず、所定の手動開放装置を備えるもの。
- 給気口の有効開口部は、天井高さ2.6m以下では天井から80cm以上下方、2.6m超では床から1.8m以下の部分。
面積算定値をD、居室床面積をAroom、給気口の有効開口面積をAa、床面から開放できる部分の中心までの高さをHcとすると、告示の式は次のとおりです。
D =(Hc-1.8)× Aa² - 0.14 ×(Aroom/50)²
D > 0の場合:Aneed/Aroom = min{(0.375 × Aa ÷ √D)× 1/50,1/50}
D ≦ 0の場合:Aneed/Aroom = 1/50
Aneedは必要となる「開放できる部分」の面積です。計算結果の上限は1/50なので、告示第993号の計算を使わず、従来どおり1/50として設計することもできます。開放できる部分が複数ある場合、Hcにはそのうち最も小さい値を用います。
1/50無窓判定・一体型計算フォーム
まず通常の1/50で判定:告示第992号の算入範囲に入る開放部分を求め、通常の1/50を満たすか確認します。告示第993号は、必要な場合だけ結果表示後に追加検討できます。複数の開放部分がある場合は、それぞれの算入面積を合計して確認してください。
任意の追加検討:所定の構造に適合する給気口と排気口をそれぞれ1以上設ける場合は、告示第993号による必要面積を計算できます。
実務上の整理:通常の1/50で必要面積を確保できる場合は、そのまま1/50で検討できます。高天井の居室では告示第992号により算入範囲が広がり、さらに所定の給気口・排気口を設ける場合は告示第993号による合理化を選択できます。
開放できる部分の位置は告示第992号、給気口・排気口を設けて必要割合を算出する方法は告示第993号で定められています。通常どおり居室床面積の1/50で検討することもできます。
窓の開放角度に応じた低減方法は、一般的に「建築物の防火避難規定の解説」に示される考え方を用います。特殊な窓形状や開放を妨げる障害物がある場合は、所管行政庁または指定確認検査機関の取扱いも確認すると確実です。
ここから、開放角度ごとの計算方法を確認します。
窓の開放角度が異なる場合の計算方法(すべり出し窓など)

外倒し窓、突き出し窓、内倒し窓、ガラリ窓、縦すべり出し窓などは、見付け面積の全てを有効と扱えるとは限りません。以下は、開放角度45度を基準にする取扱いを採用した場合の整理です。
算定の前提:以下は、実務で一般的に用いられる開放角度45度を基準とした算定方法です。
開放角度による係数は、次のように整理します。
- 90度≧α≧45度 →1
- 45度>α>0度 →α/45度
45度基準の取扱いでは、45度以上の係数を1とし、45度未満の場合は開放角度(α)/45度を係数とします。
こちらの入力フォームからも算出することが可能です。
換気計算用:一般的な開放角度による有効開口面積を概算します。1/50無窓判定は、上の一体型フォームを使用してください。
補足:一部の取扱いではsinθを用いる場合も
まれに、すべり出し窓をsinθで算定する取扱いもあります。
例えば30度の場合には、sin30=0.5となり単純に有効な開口面積は1/2となります。また、45度開口であっても0.7となり、防火避難規定の解説よりも低い数値となるので注意が必要です。
通常は前述のα/45による方法で整理できます。一部の行政庁がsinθなど別の取扱いを明示している場合は、その基準に従います。
補足:換気・排煙計算例
換気・排煙計算(無窓解除)の例です。
換気計算例
例えば、次の下図のような居室(1)と居室(2)があったとします。
居室(1)と居室(2)はふすまや障子等の随時開放することできるもので仕切られているので、建築基準法第28条第4項の規定により1室とみなすことが可能です。
計算式としては、居室必要な換気窓の面積は、(15㎡+10㎡)/20により求めることができます。今回の場合には、1.25㎡以上の開口部分が必要となります。

1/50無窓判定の計算例
次に、令第116条の2第1項第2号による1/50の無窓判定を確認します。同条第2項では、ふすま、障子その他随時開放できるもので仕切られた2室を1室とみなせます。
1/50の無窓判定では、告示第992号により、天井高さ2.6m以下は天井から80cm以内、2.6mを超える場合は床から1.8m以上にある「開放できる部分」の面積を算入します。排煙設備の構造を定める令第126条の3とは、検討の目的と条件が異なります。
天井近くの窓は、通常の使用状態で開放可能か、操作方法を含めて確認します。
高い位置の窓は、通常の使用状態で確実に開放できることを確認します。告示第993号を適用する排気口には手動開放装置が必要で、手で操作する部分は、壁付けの場合は床から80cm以上1.5m以下、天井から吊り下げる場合は床からおおむね1.8mの位置に設けます。
吹抜けなど天井高さが2.6mを超える居室では、告示第992号により床から1.8m以上の壁部分を算入できます。所定の給気口・排気口を設ける場合は、告示第993号による必要割合の合理化も選択できます。
令第116条の2第1項第2号の無窓判定と、令第126条の3による排煙設備の計算は別の検討です。
では、排煙無窓解除の計算式ですが、下図の場合には、(居室1+居室2)/50となります。

補足:縦すべり出しの場合
縦すべり出しの場合にも同様に45度未満の場合に角度に応じた計算が必要となります。
45度基準の取扱いを縦すべり出し窓に用いる場合も、係数は「開放可能な最大角度/45度」で算定します。
この計算から得られた係数を、換気計算では開口部分の面積に乗じます。1/50無窓判定では、告示第992号の高さ区分に入る開放可能部分の面積に乗じます。
下図は開放可能な角度が30度の例です。

補足:外倒し等で上部に庇がある場合(排煙計算)
窓の直近に庇があると煙が逃げないため十分な開口面積があったとしても有効とみなせないとしている特定行政庁もあります。
例えば、外倒し窓の場合には、Aの部分を開口面積とする特定行政庁もありますので、例えば、算定する開口面積よりもAの方が小さい場合、Aを有効開口面積の上限として扱うことがあります。

このような取り扱いを行っている特定行政庁については、公式ページ等に取り扱い方針を掲載しているので計算前に確認しておく必要があります。
庇や袖壁などが開口部に近接すると、煙の流れや実際の開放面積に影響します。窓単体の寸法だけで判断せず、周囲の障害物を含む断面・立面で確認してください。
庇による有効面積の制限を1/50無窓判定にも考慮するかは、庇と窓の離隔や開放形状を踏まえて確認します。
まとめ・補足記事の紹介
最後に、要点を整理します。
一般的な開放角度45度を基準とする算定では、45度未満の窓は「開放角度(α)/45度」を係数として開口面積に乗じます。特殊な窓形状や、別の算定方法が明示されている場合は、その取扱いを確認してください。
- 90度≧α≧45度 →1
- 45度>α>0度 →α/45度
補足記事
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居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従つて換気設備を設けた場合においては、この限りでない。