【2026年7月31日更新】令和7年国土交通省告示第992号・第993号(2025年11月1日施行)を反映し、吹抜けのある居室の1/50無窓判定を整理しました。
この記事では、吹抜けのある居室について、建築基準法施行令第116条の2第1項第2号の「開放できる部分」をどう確認するかを解説します。
先に結論をいうと、吹抜けで天井が高いからといって、常に「天井から下方80cm以内」だけで計算するわけではありません。天井高さが2.6mを超える居室は、告示第992号により床面から1.8m以上の壁部分にある開放可能な部分を算入できます。
- どの範囲を一つの「居室」として判定するか
- その居室の床面積と天井高さ
- 告示第992号の高さ範囲に入る、実際に開放できる部分の面積
- 通常の1/50で不足する場合に、告示第993号を使うか
1/50無窓判定と排煙設備は別の検討
令第116条の2第1項第2号の無窓判定と、令第126条の2・第126条の3による排煙設備は、どちらも「1/50」が登場するため混同しやすい規定です。
| 検討 | 主な根拠 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 1/50無窓判定 | 令第116条の2第1項第2号 | 居室に、所定の位置にある「開放できる部分」が必要割合以上あるか |
| 排煙設備 | 令第126条の2・第126条の3 | 排煙設備の設置対象、排煙口、防煙区画、開放装置など |
| 排煙設備の設置免除 | 令第126条の2第1項第五号・平成12年建設省告示第1436号 | 用途、規模、区画、内装、避難条件など、採用する告示規定への適合 |
令第116条の2第1項第2号に該当する無窓居室は、令第126条の2により排煙設備の設置対象になります。ただし、平成12年建設省告示第1436号など、排煙設備を設けなくてもよい規定に適合する場合は、その規定を別途適用できます。
1/50無窓判定と排煙規定を実務で照合するときは、「建築物の防火避難規定の解説」も併せて確認すると、条文・告示と実務上の扱いを整理しやすくなります。
1/50無窓判定の基本と、採光無窓との違いは別記事で詳しく解説しています。
吹抜けのある居室を判定する手順
吹抜けの有無だけで一室・別室を決めず、間仕切り、用途、開放状態などから判定単位を整理します。
床のない吹抜け部分を床面積に加えるのではなく、判定対象となる居室の実際の床面積を確認します。
天井高さ2.6m以下は天井から下方80cm以内、2.6m超は床から1.8m以上の壁部分が対象です。一室の中で床高さが異なる場合は、最も高い床面を基準にします。
開放角度や開き方を考慮し、算入範囲に入る部分だけを合計します。
開放できる部分の合計が、居室床面積の1/50以上か確認します。
所定の給気口・排気口を設ける計画なら、必要割合を合理化できる場合があります。
告示第992号:天井高さによって算入範囲が変わる
| 床面から天井までの垂直距離 | 開放できる部分として算入できる壁の範囲 |
|---|---|
| 2.6m以下 | 天井から下方80cm以内 |
| 2.6mを超える | 床面から1.8m以上 |
吹抜けと上階部分が一体の一室では「最も高い床面」を基準にする
令和7年10月31日付け国住指第322号では、一の居室の中で天井・床の高さが異なる場合について、告示第992号の高さを次のように確認することとしています。
- 床の高さが異なる場合:最も高い床面から天井までの垂直距離
- 勾配天井など、天井高さが異なる場合:床面から天井の各部分までの垂直距離
- 床・天井の両方の高さが異なる場合:最も高い床面から天井の各部分までの垂直距離
- 基準となる床面は、一室の中で最も高い2階床
- 2階床から該当する天井部分までが2.6m以下なら、天井から下方80cm以内
- 2.6mを超える天井部分なら、2階床から1.8m以上
- 高さの条件を満たすだけでは足りず、その範囲に実際に開放できる部分が必要
つまり、吹抜け下部の床から天井までが2.6mを超えて見える場合でも、上階床を含む一体の居室であれば、直ちに「床から1.8m以上」の扱いになるわけではありません。まず、一室の範囲と最も高い床面を確定してから、高さの区分を判断します。
1/50の分母は、その一室に実際に存在する床面積です。床のない吹抜け部分は加えません。同じ一室に上下両方の床がある場合は、その実床面積を合計します。上下階を別の居室として扱う場合は、各居室ごとに床面積と開放できる部分を判定します。
たとえば、床高さが一定で、床面から天井までが5mある居室では、壁のうち床から1.8m以上の範囲にある開放可能な窓を算入できます。従来のように「天井直下80cm以内に窓がなければ不適合」と判断する必要はありません。

天井高さ2.6m以下は、従来どおり80cm以内
従来掲載していた「天井から下方80cm以内」の図が誤りになったわけではありません。判定対象となる居室の基準床面から天井までの垂直距離が2.6m以下であれば、引き続きこの考え方で判定できます。一室の中で床高さが異なる場合は、最も高い床面を基準にします。

開放できる部分が複数ある場合は、それぞれについて高さの算入範囲と有効面積を確認し、合計します。引違い窓、すべり出し窓などは、サッシの呼称寸法ではなく、実際の開放状態に応じた有効面積で検討します。
窓の開放角度を含む1/50判定は、1/50無窓判定の計算フォーム(告示第992号・第993号対応)を利用できます。
告示第993号:通常の1/50で不足するときの選択肢
告示第993号は、所定の構造に適合する給気口と排気口をそれぞれ1以上設ける場合に、給気による排煙効果を考慮して、必要な「開放できる部分」の割合を1/50以下にできる計算方法です。
- 通常の1/50を満たす場合は、告示第993号を使う必要はありません。
- 給気口は、常時開放または排気口の開放に連動して自動的に開放する構造とします。
- 排気口は直接外気に開放し、手動開放装置を設けます。
- 給気口・排気口は、機械換気設備を構成するものではないことが必要です。
- 必要割合は、給気口の有効開口面積、排気口の高さ、居室床面積などから算定します。
吹抜けの低い位置に給気口、高い位置に排気口を設けられる計画では有効な選択肢になり得ます。ただし、単に給気口の面積を入力するだけではなく、告示に定める構造と位置を満たしていることが前提です。
吹抜けで間違えやすい4つのポイント
1.床のない吹抜け部分は、1/50の分母に加えない
よくある誤解:床がない吹抜け部分の面積も、1/50計算の床面積に加える。
正しい整理:1/50の分母は、判定対象となる居室の実際の床面積です。床のない吹抜け部分は、床面積として加算しません。
2.吹抜けがあるだけで、上下階を一室として扱うわけではない
よくある誤解:上下階が吹抜けでつながっていれば、上下の空間をすべて一つの居室として計算する。
正しい整理:どこまでを一つの居室として扱うかは、間仕切り、用途、開放状態などから先に整理します。そのうえで、判定対象となる居室ごとに床面積と開放できる部分を集計します。

3.高所窓は、位置だけでなく実際に開放できるか確認する
よくある誤解:告示第992号の高さ範囲に窓があれば、窓面積をそのまま算入できる。
正しい整理:算入するのは、実際に「開放できる部分」です。固定窓は算入せず、開き方や開放角度を考慮して有効面積を確認します。高所窓には、通常の使用状態で確実に開放できる方法が必要です。告示第993号を使う場合は、排気口の手動開放装置について同告示の基準も別途確認します。
4.1/50無窓判定と防煙区画は、分けて検討する
よくある誤解:吹抜けの1/50無窓判定を行うには、階ごとに防煙垂れ壁で区画しなければならない。
正しい整理:令第116条の2の1/50無窓判定だけを理由として、吹抜けを階ごとに防煙垂れ壁で区画することが一律に求められるわけではありません。防煙区画は、令第126条の2・第126条の3による排煙設備や、採用する告示の条件として別に確認します。
3階建て住宅では何を確認するか
「3階建てだから、建物全体に直ちに排煙設備が必要」という整理ではありません。令第126条の2は、階数3以上かつ延べ面積500㎡超の建築物のほか、令第116条の2第1項第2号に該当する無窓居室などを排煙設備の対象としています。
一方、階数2以下・延べ面積200㎡以下の一戸建て住宅の居室などは、平成12年建設省告示第1436号の所定条件に適合すれば、排煙設備を設けなくてよい場合があります。3階建て住宅はこの住宅向け規定には当てはまらないため、吹抜けに接する居室を含め、1/50無窓判定と、利用できる他の免除規定の有無を順に確認することが重要です。
一戸建て住宅の排煙設備規定もあわせて確認してください。
実務で図面に記載しておきたい事項
- 判定対象となる居室の名称と床面積
- 吹抜け部分を含む断面図と天井高さ
- 告示第992号による算入可能な高さ範囲
- 窓の寸法、開き方、開放角度、有効開口面積
- 高所窓の開放方法
- 告示第993号を使う場合は、給気口・排気口の位置、構造、有効開口面積と計算過程
- 排煙設備の設置免除を使う場合は、適用する告示の号と各条件への適合
まとめ
- 吹抜けの1/50無窓判定は、まず居室の範囲と床面積を整理する
- 天井高さ2.6m以下は天井から80cm以内、2.6m超は床から1.8m以上の壁部分を算入
- 通常の1/50で不足する場合は、告示第993号による合理化を選択できる
- 1/50無窓判定、排煙設備、防煙区画、告示による設置免除は分けて確認する
- 3階建て住宅では、住宅向け免除規定を当然に使えるとは限らない
参考:国土交通省「建築基準法等に基づく告示の制定・改正について」/令和7年10月31日付け国住指第322号(技術的助言)/建築基準法施行令第116条の2、第126条の2、第126条の3/令和7年国土交通省告示第992号・第993号/平成12年建設省告示第1436号











