前回の記事❶(下記リンク記事参照)では、日影規制が適用されている範囲は北側斜線制限が適用されない理由を解説しましたが、この記事では、具体的に日影図と北側斜線制限を使って簡単に解説しています。
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北側斜線よりも日影規制の方が制限が厳しい
こちらの図は、日影図と北側斜線検討図です。
第一種中高層住居専用地域では、日影規制と北側斜線制限の検討は次のようになります。
日影規制については、自治体の条例により一種中高層住居専用地域では3種類指定することが可能となっていますが、通常は(2)号の「測定面4m、4・2.5時間」が指定されていることが多いのこちらの数値を使っています。
建築物の高さは約12m、片流れの屋根です。
制限概要 | |
---|---|
北側斜線制限 | 1:1.25+10m |
日影規制 | 測定面4m,日影時間4時間(5~10m)・2.5時間(10m~) |
結論として、
北側斜線制限は適合していますが、日影規制については、5m〜10mラインに4時間日影(青線)がかかっています。さらに10mライン超に一部2.5時間日影(ピンク線)がかかっています。
つまり、今回の建築計画については、北側斜線制限には適合するものの日影規制には適合しないことになります。特に5〜10mライン内に4時間日影が大きくかかってますよね…
よって、北側斜線制限よりも日影規制の方が厳しいとなります。
このように北側斜線制限よりも日影規制の方が厳しいため、建築基準法第56条第1項第三号の北側斜線制限では次のように、一種中高層において日影規制が適用されている場合には北側斜線制限は適用しないと規定されます。
三 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内又は第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域(次条第1項の規定に基づく条例で別表第4の2の項に規定する(一)、(二)又は(三)の号が指定されているものを除く。以下この号及び第七項第三号において同じ。)内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を乗じて得たものに、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物にあつては5mを、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては10mを加えたもの
建築基準法第56条第1項第三号
*次条第1項の条例:法第56条の2→日影規制
*別表第4の2:一種中高層・二種中高層
*(一):測定面4m又は6.5m、3時間(5〜10m)・2時間(10m〜)
*(二):測定面4m又は6.5m、4時間(5〜10m)・2.5時間(10m〜)
*(三):測定面4m又は6.5m、5時間(5〜10m)・3時間(10m〜)
ということで以上となります。こちらの記事が参考になりましたら幸いです。