この記事では都市計画の基礎知識習得や宅建士試験などの勉強している方向けに第一種市街地再開発事業と第二種市街地再開発事業の違いを簡単に解説しています。
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一種と二種の違い
こちらの表は一種と二種の違いをまとめたものです。
法令 | 一種 | 二種 |
---|---|---|
都市計画法 | 都市計画法第12条第1項目第四号 (都市再開発法による市街地再開発事業) | 都市計画法第12条第1項目第四号 (都市再開発法による市街地再開発事業) |
都市計画決定権者 | ・施行面積:3ha以下は市町村 ・施行面積:3ha超は都道府県 *国・都道府県施行見込みに限る ※指定都市は施行面積に関係なく指定都市 | ・施行面積:3ha以下は市町村 ・施行面積:3ha超は都道府県 *国・都道府県施行見込みに限る ※指定都市は施行面積に関係なく指定都市 |
都市再開発法 | 都市再開発法第60条等 | 都市再開発法第118条の2等 |
対象区域 | 次のいずれか ・高度利用地区 ・都市再生特別地区 ・特定用途誘導地区 ・地区計画等 +耐火建築物割合が建築面積で全体の1/3以下等 +公共施設未整備、敷地細分化等 土地の利用状況が著しく不健全 +高度利用が都市の機能の更新に貢献 | 次のいずれか ・高度利用地区 ・都市再生特別地区 ・特定用途誘導地区 ・地区計画等 +耐火建築物割合が建築面積で全体の1/3以下等 +公共施設未整備、敷地細分化等 土地の利用状況が著しく不健全 +高度利用が都市の機能の更新に貢献 +施行区域0.5ha以上 +災害発生のおそれが著しく、又は環境が不良 (重要な公共施設の緊急整備が必要) |
仕組み | 権利変換(等価交換)方式 (新たな床(保留床)の処分(売却等)) | 管理処分(全面買収)方式 (建物・土地等を施行者が買収) |
施行者 | ・個人施行者 ・市街地再開発組合 ・再開発会社 ・地方公共団体 ・都市再生機構等 | ・再開発会社 ・地方公共団体 ・都市再生機構等 |
結論としては、一種が通常の市街地再開発事業のことで、二種は大規模な火災等が生じた場合に避難場所となる公共施設が不足している場合など早急に整備する必要があるなどに施行され、緊急性があるため施行者には個人や組合は不可という点があげられます(=自治体による再開発)
また、通常、市街地再開発は権利変換方式が取られますが、二種では全面買収(管理処分)が取られる点です。災害時の危険性の高いエリアを早急かつ確実に改善することが目的のため買収という施行者が容易にコントロールしやすい方式が取られます。
少し古いデータですが、平成30月3月末までの統計によると、これまでに市街地再開発事業は1,077件が計画・事業実施され、うち、二種が39件(このうち自治体施行34件)となっており、大半を一種再開発が占めます。
*二種の例として規模の大きなものとしては、、大阪のJR天王寺駅周辺で実施された「大阪都市計画事業可倍野地区第二種市街地再開発事業(昭和51〜平成29年度)」があるので参考にしてみてください。
補足:市街地再開発とは?
市街地再開発事業とは、都市再開発法(昭和44年)の用語の定義に、「市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画法及びこの法律(第七章を除く。)で定めるところに従つて行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいいます。
都市再開発法の第三章の規定により行われる第一種市街地再開発事業と第四章の規定により行われる第二種市街地再開発事業とに区分する。と書かれており、、、
市街地再開発のポイントは❶市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と❷都市機能の更新にあります。なお、高度利用地区と高度地区の違いで悩まれる方はこちらの記事を参考にしてみてください。
この2つと事業を実施できる場所を覚えておけば試験等はOKです。
例えば、駅前に指定される商業地域で低容積率かつ現行法に適合しない非耐火建築物の密集の解消、加えて狭隘な道路による防災・日照・通風機能等の改善が必要な場合(公共性が高い事業)には市街地再開発制度が使われることが多いです。
なお、市街地再開発事業の制度を使用せずとも実施自体は可能(ほぼ慈善事業になる)ですが再開発手法を使うことで法に基づく制度利用(高度利用都市計画などの活用)、国等からの支援措置や税制優遇など事業を成立させやすくなります。
事業費の構成としては、一般的には都市計画税(市税目的税)+市税+国補助金などに加えて建築により増やした床(保留床)の売却益によります。
余談として、地価上昇を前提として事業を構成している関係上、人口減少や人口密度低下により商業床が余っている地方の中心市街地では、地価の上昇が見込めず事業自体の必要性はあるものの、事業成立が難しくなっている傾向にあります。このため地方では、低容積率の身の丈再開発やマンションが大半を占める計画が実施されています。
市街地開発事業は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内(=非線引き)において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること。
*都市計画法第13条第1項第13号(都市計画基準)
※市街地再開発事業は市街地開発手法の一つのため市街化を促進しない市街化調整区域や準都市計画区域内では事業を実施することはできないです。