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【家づくりの基礎知識】完了検査済証の交付を受けないと使用できない建築物と検査前に使用できる建築物の違い

この記事で分かること

✔️「完了検査の前に家具を搬入したい」
✔️「完了検査の前に絨毯やカーテンを設置したい」 

こうした悩みを解決する記事となっています。
特に、家づくりをしていて完成間近になると、完成後の間取りなどの確認や採寸を行って、引き渡し後にすぐ住めるような状態にしておきたいと考えていらっしゃる方もいると思います。

家具や什器の搬入などは完了検査の時の検査の妨げになってはいけないので、基本的には使用しないようにすることが必要ですが、建築基準法令上では、一定規模以下の建築物であれば「完了検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限」がないです。

今回は、完了検査の前に使用制限を受ける・受けない建築物について解説したいと思います。

こんにちは!やまけんといいます^ ^
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪




検査済証の交付を受けた後でないと使用してはならない建築物

はじめに、完了検査済証の交付(完了検査を受験して合格)を受けた後でないと使用してはならない建築物についての説明です。

建築物の使用制限については、ちょっと専門的になってしまいますが、建築基準法第7条の6に規定されています。法律のおける記載内容としては、「使用制限を受ける建築物」となっています。

(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限)
第7条の6 第6条第1項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で政令で定めるものに関する工事(政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第18条第24項及び第90条の3において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。

建築基準法第7条の6第1項抜粋
対象建築物建築等の種別
建築基準法第6条第1項第一号〜三号建築物新築
建築基準法第6条第1項第一号〜三号建築物(共同住宅以外の住宅、居室を有しない建築物を除く)増築、改築、移転、大規模の修繕、大規模の模様替えで避難施設等に関する工事
完了検査前に使用してはならない建築物

一号建築物とは、特殊建築物といって不特定多数の方が利用する施設(共同住宅やホテル、店舗、飲食店など)で床面積が200㎡を超えるものです。二号建築物は、木造建築物でも大規模なもの。三号建築物は木造以外で2階以上のものなどです。

一般的な住宅は木造住宅ですので、一号から三号のいずれにも該当しない四号建築物となります。
なお、木造住宅以外の鉄骨造で2階建てですと三号建築物に該当するため、法令に基づく”完了検査前の使用制限”が適用されます。

ただし、法令上は4号建築物に対しては使用制限が規定されていませんが、法第7条第5項(完了検査の規定)に基づき、建築主は工事完了後、建築主事の審査を申請しなければならないとされています。また、検査時においては法への適合状況をチェックしなければならないとされているので、建築物を使用するとしても、検査に支障がない範囲です。

一号〜三号建築物

一号から三号建築物の概略としては次のような建築物です。

一号建築物:床面積の合計が200㎡を超える特殊建築物
二号建築物:大規模木造建築物(3F以上、延べ面積500㎡・高さ13m・軒高さ9m超え)
三号建築物:鉄骨造・鉄筋コンクリート造(2階建て以上、延べ面積200㎡超え)

【参考】避難施設等に関する工事とは?(使用制限が適用される工事)
廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機、防火区画関係となります。詳しくは、施行令第13条に規定されていますが、住宅の場合には基本的に該当することは極めて稀ですので、あまり注意する必要はないです。

(避難施設等の範囲)
第13条 法第7条の6第1項の政令で定める避難施設、消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機又は防火区画(以下この条及び次条において「避難施設等」という。)は、次に掲げるもの(当該工事に係る避難施設等がないものとした場合に第112条、第5章第2節から第4節まで、第128条の3、第129条の13の3又は消防法施行令第12条から第15条までの規定による技術的基準に適合している建築物に係る当該避難施設等を除く。)とする。
 避難階(直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。以下同じ。)以外の階にあつては居室から第120条又は第121条の直通階段に、避難階にあつては階段又は居室から屋外への出口に通ずる出入口及び廊下その他の通路
 第118条の客席からの出口の戸、第120条又は第121条の直通階段、同条第3項ただし書の避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの、第125条の屋外への出口及び第126条第2項の屋上広場
 第128条の3第1項の地下街の各構えが接する地下道及び同条第四項の地下道への出入口
 スプリンクラー設備、水噴霧消火設備又は泡消火設備で自動式のもの
 第126条の2第1項の排煙設備
 第126条の4の非常用の照明装置
 第129条の13の3の非常用の昇降機
 第112条(第128条の3第5項において準用する場合を含む。)又は第128条の3第2項若しくは第3項の防火区画

建築基準法施行令第13条

使用制限が無い四号建築物とは?

では改めて使用制限が無い四号建築物について説明していきます。

四号建築物とは、建築基準法第6条第1項第一号から三号に該当しない建築物をいいます。

例えば、一戸建ての住宅で木造2階建て、床面積150㎡程度であれば四号建築物に該当します。
しかしながら前の項でお伝えしたように、一戸建て住宅でも、鉄骨2階建ての場合には三号建築物に該当するため、使用制限が生じることになります。

また、小規模な倉庫(平屋の200㎡以下)も四号建築物に該当するため、検査済証の交付を受ける前から使用することができるようになっています。なお、同じことを繰り返すようですが、検査に支障のない範囲にとどまります。検査時に確認できない部分があれば、検査をやり直すか、支障物を移動させる必要があります。

ではでは、一戸建て住宅で鉄骨2階建てのような四号建築物以外(一〜三号建築物)の場合で、検査済証の交付を受ける前に使用したい場合はどうすればよいのか。

これについては、仮使用という方法があります。

仮使用認定等とは?

先に結論を言いますと、大規模な建築物で部分的に使用する必要がある以外は、事務手続きや手数料を考慮すると、メリットは低いと言わざるを得ないです。

規模の小さいな建築物で仮使用を受けるなら検査済証の交付を受けるまで待った方がいいし、そもそも仮使用を受けるメリットがありません。

やはり比較的規模の大きい建築物や区画割している建築物などで、先行的に店舗をオープンさせたい場合に活用できると思います。

ちなみ、仮使用については、以前は特定行政庁が行っていましたが、現在は民間審査機関でも行うことができるようになっています。詳しくは、建築基準法7条の6に規定されています。

(建築基準法第7条の6抜粋)
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる
 特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき。
 建築主事又は第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。

建築基準法第7条の6抜粋

>> 一号が特定行政庁による認定
>> 二号が建築主事若しくは民間審査機関による認定(大臣基準あり)

まとめ

小規模木造住宅などのいわゆる四号建築物(建築基準法第6条第1項第四号建築物)であれば、検査済証の交付を受ける前から使用することができるようになっています。

とはいえ、検査時において家具や引越し荷物が置いてあったりすると、検査の邪魔になりますので、極力控えるべき、若しくは必要最小限にとどめべきことです。

特に消防の検査もある場合ですと、検査の妨げになります。
印象も悪いですしね、やめた方がいいです。

どのような建築物でも使用開始時期をできる限り早めたいと考えるところですが、やはり法律違反はマズイです。ですので、建築士や施行者の方であれば、できる限りクライアント様に理解してもらう努力をするところかなと思います。

なお、使用制限がある建築物(一〜三号建築物など)の場合には、罰則規定もありますので基本的に使用てはダメです。
特に一戸建て住宅(三号建築物)の場合ですと問題ないと思って使用してしまいがちですが、法律違反になりますからやめましょう〜。

それでは、今回も最後までご覧いただきありがとうございました!!






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など