違法建築物とならないために所有者等が行うべきこと。

建築物は建てて終わりではありません。その後の維持管理が人生を豊にする。
・自ら住むために建築
・建築物を利用して収益を上げるため建築

建築物は、豊かな暮らしを生み出すための道具の一つですが、道具は必ずメンテナンスする必要があります。

メンテナンスといっても内装を雑巾に拭いたりといった綺麗するだけではありません。建築物が違法状態とならないよう建物の所有者は適正に管理することが求められます。

メンテナンスする中で違法建築物となっていないチェックすることが重要です。

今回の記事は、違法建築物とならないための方法を解説する記事となっています。

それでは説明していきます。

なお、今回の記事は、次の記事の続きです。興味がある方は是非・・・ちょっとネガティブな記事なので、ナガティブがダメな方は読まない方が良いです。笑

『違反建築物』という、いつまでも社会に残された存在

2019-10-03




建築物の適法義務

まずはこちらの法令をご覧ください。

[建築基準法第8条(維持保全)]
建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

読めば意味が分かるかと思いますが、建築物は常時適法な状態にすることが求められます。

適法とは、建築基準法に適合している状態を指します。なお、厳密には、建築物が建築された当時の基準に適合していればよく、建築後の法改正により基準を満たさなくなった場合は、既存不適格建築物といって、法律に違反している建築物にはなりません。

とはいえ、機会があれば既存不適格部分は解消するようにした方が望ましいのは確かです。

ここで伝えたいのは、建築物の所有者や管理者、占有者は、違反建築物とならないために確実に対応しましょうということです。

たとえ、小さな一戸建て住宅であっても、小規模な物置であっても建築物の所有者等は、その建築物を適法な状態に維持することが社会的責任として求められます。

ですから、安易に増築や改築、改装をすることでルールを犯す可能性がある行為は慎みましょう。

なお、それを防ぐために用意されているのが、『定期報告制度』です。

これも違反建築物を防ぐ手法の一つとなっていますが、次の項から、この定期報告制度を含めて解説していきたいと思います。その前に違反建築物の事例を紹介しておきます。

私がこれまで経験してきたものですので参考になると思います。

補足:違反建築物に対する行政の対応

こちらは補足記事ですが、違反建築物に対する行政の対応については、建築基準法において定められています。こちらの記事は、その規定を簡単に取りまとめたものです。

「特定行政庁」が行う違反建築物への対応(建築基準法第9条)

2019-08-25

違反建築物の事例

違反事例の三選です。この3つが特に多いと思います。

  1. 敷地内に確認申請を伴わないで倉庫を増築

建築確認申請義務違反とともに、敷地内が適法な状態である可能性は非常に低いです。

また、そうした倉庫は基礎構造を違反している可能性が高いですね。これだけも二つの違反です。

これって、行政でもやっている場合があるので本当に注意しましょう。

建築士は初見で違反しているかどうか分かるので、通報しないのは”行政”だからです。

参考までに確認申請手続きした場合の罰則について関連記事を掲載しておきます。

建築確認・中間検査・完了検査を行わなかった(忘れた)場合の対処法

2018-10-02
  1. 防火区画のシャッターやドアが閉まるところに物品を陳列

火災時にシャッターやドアが自動で閉まらないため、あっという間に延焼する可能性が高い。

非常に危険性の高い違反となります。物品の陳列であれば、すぐに移動することができますから、このサイトを見てハッと思った方はすぐに移動しましょう。

  1. 排煙窓を封鎖もしくは、排煙装置が不明

商品棚に隠れたところに排煙窓を開ける紐が隠れていたり、排煙窓をコンパネなどで封鎖してしまうことがあります。
はじめから、排煙窓が不要となる設計をしておけば良いのに居抜き物件とかだったのかなと思います。しかしながら違反は違反です。

排煙窓を解放できないケースでは、煙が降下するので窒息死する可能性が高まりますから、注意しましょうね。

①定期的に建築士が確認

車の点検と同じで、法的な点検とは別に短いスパン(四半期に1回程度)で調査してもらいましょう。

費用は建築士の半日の拘束費用と資料をまとめる費用程度です(2〜5万程度)

これをすることで違反建築物とならなくなる可能性が高いです。

四半期に1回程度と思うかもしれませんが、所有者であるあなたは素人であり、必ず間違いを犯します。笑

それも気づかない間にやってしまうパターンがあります。私の経験上、規模が大きければ大きいほどやってしまいます。

例えば、共同住宅の廊下に物を置く住人がいたとしましょう。大概の廊下は建築基準法の基準を最低限クリアする程度の幅しかつくっていないので、ちょっとした荷物を置くだけで廊下幅の規定の違反です。住居人が違反した行為を行ったとしても所有者が常時適法な状態に維持する義務が不要となるわけではないです。

それでは、次です。

②定期報告制度を活用

定期報告制度とは、不特定多数が利用する建築物について3年に1回行政に報告する制度です。

報告するためには、建築士に建築物が適法な状態かどうかをチェックしてもらい、法律により定められた様式に整理して行政に提出します。

この制度には穴がありまして、一定規模以上の特殊建築物しか対象ではないのです。そのため、一戸建て住宅や小規模な店舗などを報告の対象外となります。

また、3年に1回なので、3年の間に違法な行為がされれば、その間は違法状態が続くので、明らかな違法建築物であれば、近隣住民等から行政に通報が入り、即刻行政から呼び出しです。

でもって、違反状態の有無及び改善策について報告書を提出するよう指導されます。こうなると、建築士としてもやりたがらないです。何故なら、対応が面倒だからです。

何度も違反建築物と行政を行ったり来たり、違法であるがゆえに適当にその行為がされているため、調査するだけも時間と費用がかかってしまう。 当然、その費用は所有者が負担します。(行政への報告という行為を”建築基準法第12条第5項に基づく報告”といいます)

なお、定期報告制度についてはこちらに書いているので参考にしてみてください。

【特殊建築物の定期報告制度とは?】定期報告制度の本質を知ろう

2019-06-28

それでは最後に3つの方法です。

③建築物のマニュアルを作成

これをやっている建築士は少ないと思います。

エアコンや給湯器などの設備については取扱説明書が用意されるのが通常ですが、建築物本体についてはマニュアルはないですよね。

ハウスメーカーであれば、長期優良住宅の認定を取得していると定期にメンテナンスするのであまり意識する必要はないですが、それ以外については、基本的に説明書はないです。

ですので、どこに注意するべきか注意するためのマニュアル書をつくってもらうといいと思われます。

追加費用を支払ってでもマニュアルはもらった方が良いので、そういうのをつくっているか建築前に確認してみましょう。

ちなみに私の会社では、マニュアルを準備するようにしています。笑
(特に、排煙や換気、採光等で、ちょっとしか改変により無窓居室になり得る可能性が高い部屋については、注意するよう伝えてあります。)

本記事のまとめ

今回紹介した違法建築物とならないよう対策をとる方法ですが、まとめると次のとおりです。

違法建築物とならないために
  1. 定期的に建築士によるチェック
  2. 定期報告制度を活用
  3. 取扱説明書(マニュアル)をつくってもらう

繰り返しにはなりますが、違法建築物となってしまうとその後の対応・処理が大変です。また、違法建築物をつくってしまっている時点で法律違反者となります。あまりに公にならないだけですから、事の重大さをわかっていない方も多く、建築士としてはちょっと困っています。

それでは今回の記事は以上となります。

参考になれば幸いです。