都市再生推進法人とは? メリット・デメリットを考えてみた

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都市再生推進法人を理解するための記事です。メリット・デメリットについてプレイヤーの立場と行政側の立場から書いています

こんにちは!!建築士のやまけん(@yama_architect)です。過去に建築や都市計画に関する行政経験を活かして建築士や宅建士の方々の役立つ情報を発信しています。

このブログをいつもご覧になっている方は、『都市再生推進法人』という用語を一度は聞いたことがあるかもしれません。平成14年に施行された都市再生特別措置法に基づく制度の一つでして、簡単にいうと、行政と民間の中間領域を担うまちづくり(エリアマネジメント)を行う役割が期待されている組織です。

それでは説明していきます。




都市再生推進法人とは?


※作成:やまけん

都市再生推進法人は、都市再生特別措置法第118条に基づき市町村が指定します。平成30年12月末時点で、50法人が指定されており、そのうちまちづくり会社が28団体、NPO法人が4団体、残りが18団体が一般社団・財団法人となっています。この記事を読んでいる方でこれから指定を目指そうとする団体の方であれば『〇〇市町村 都市再生推進法人』で検索してみましょう。

【都市再生特別措置法第118条第1項抜粋(都市再生推進法人の指定)】
市町村長は、特定非営利活動促進法第2条第2項の特定非営利活動法人一般社団法人若しくは一般財団法人又はまちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする会社であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、都市再生推進法人として指定することができる。

都市再生推進法人に指定されることにより国や市町村、MINTO機構から税財政上の支援を受けることができるようになりますが、大まかな支援内容としては大きく次の4つとなります。

  • 既まちづくり団体の信用度や認知度の向上
  • 行政サイドとしての公平性の確保(行政側から民間企業に対し独占的な支援ができないため)
  • 都市再生特別措置法に基づく各種協定等の活用
  • 国等による各種支援、税制優遇

 

まちづくりにおける行政側の悩みとしては、機動性の欠如や財政上の限りがあることから、ある一定のエリア(例えば主要駅周辺など)に人や資本を短期間に集中投下することができません。

なぜながら、市町村内の各地域との不公平感が生じるからです。

特に市町村合併を経験しているところでは同じ税金を払っているのにと住民間でのトラブルの要因となったりします。また、最近では少ないようには感じますが民間ディベロッパーのようにつくったら終わりで地域のまちづくりに非協力な場合があり、つくったあとのアフターフォローをするところが少ないのが実情です。

そのため、都市再生推進法人は行政機能の補完を目的として制度化されています。

そのため一般的な民間企業では難しいような道路占用(オープンカフェ)だったり、歩行者空間を活用したイベントの開催、公的な駐車場・駐輪場経営、美化清掃活動、最近ではMINTO機構や地元信金によるまちづくりファンドとの連携などを行ったりしています。

なお、法改正以前は市町村からの出資が必要だった民間まちづくり会社については、出資要件が撤廃されたことにより、単にまちづくりの推進を図ることを目的として設立される公共性が高い法人であれば良いとされています(市町村が公共性を判断)

では、少し具体的に都市再生推進法人のメリットをみていきます。

都市再生推進法人の指定によるメリット

ここでは都市再生推進法人の指定を受けることによる主なメリットを記載しておきます。すべてではないので取り扱いにはご注意ください。

概要 内容 備考
都市再生整備計画の提案 都市再生整備計画の作成・変更を市町村に提案することが可能。※都市再生整備計画とは、ある一定のエリアにおいて、行政が中心となり都市の再生(課題解決)のために必要な施策(ハード・ソフト)を民間事業などを取り入れた事業計画。 都市再生特別措置法第46条の2
都市計画の提案 市町村に対し、まちづくりの目的の達成のために必要な施設の整備や施設管理を適切に行うために必要な都市計画の決定又は変更をすることを提案することが可能。 都市再生特別措置法第57条の2
都市再生特別措置法に基づく各協定のへの参画 都市利便増進協定、低未利用土地利用促進協定、跡地等管理協定 都市再生特別措置法第74条、80条の2、111条
税制優遇等 都市再生推進法人に土地を譲渡した場合の譲渡所得の特例、エリアマネジメント融資、まちづくりファンドの活用など 各個別法
市町村都市再生協議会の組織 都市再生整備計画・立地適正化計画の作成及びその実現に向けた施策の実施に必要な協議を行うための協議会を組織することが可能 都市再生特別措置法117条
都市機能誘導施設に係る都市再開発法の特例 立地適正化計画に位置付けられた都市機能誘導施設を整備する都市再生推進法人については公募することなく保留床を取得することが可能 都市再生特別措置法104条の2

都市再生推進法人の指定を受けることにより、民間まちづくり団体としては、その業務内容として一定の限界にあった具体的な事項(都市再生整備計画や都市計画の提案)を行うことができるほか、指定されなければ適用ができない税財政上の優遇を受けることができるようになります。

ですので、普段からまちづくり団体として、一定の資本を有しつつハード・ソフト両面において地域のために必要な取り組みを展開している団体であればメリットが十分があります。特に役所からお墨付き団体であることを公に示してもらえることになるのは、目的を達成する上で非常に強い武器となります。

では、次にデメリットについて考えていきたいと思いますが、ここからは私の意見となるので参考になるかはご自身で判断してください^^

都市再生推進法人の指定によるデメリット(留意すること)

私が考えるデメリット(留意すること)は大きくは3つです。

  • 公共性・公益性が求められる事業は役所の監督下にある
  • 法人の出資者数が多いと利害調整が面倒
  • 地域のご意見番の協力

 

都市再生推進法人は規制緩和や支援を受けることができますが、都市計画マスタープランや立地適正化計画と行った都市づくりの指針に即したまちづくり活動を展開することが求められますので、即さない業務は役所から嫌われますので、その点としてはデメリットとなります。

民間企業の場合、出資者数が多いと合意形成に時間を要することとなる為、ガチガチの民間企業や役所と同じ組織体制では、意思決定に大幅に遅れが生じ、機動性という本来のメリットを発揮することができない可能性を有していることがデメリットですが、これについては少数精鋭(出資者を限定)とすることで解決することができます。(または、クラウドファンディングにより地域から事業ごとに出資者を募る方法もある)

地域のご意見番は地域から慕われているケースもあれば単に顔色を伺っておかないといけないケースもあり、はっきり言って面倒だと思います。

地域のためにまちづくり活動を展開する上では必ず通らないといけない道なのでバランス感覚が求めれます。この点は役所も協力してくれる可能性が高いですが、最も留意するべき点です。

繰り返しになりますが、都市再生推進法人とは、行政機能を補完することが目的となっています。そのため、民間企業等としての独立採算性を確保しつつ行政と歩調を合わせたまちづくり活動を行うことが求められます。ですので、企業としては事業成立性の確保が必須となってきます。

事業費を捻出することができなくてまちづくり活動が停滞されたのでは役所としても困りますからね。

事業費を安定的に確保する方法としては、やはり駐輪場や駐車場経営、または、地元の特産品やグッズを取り扱う直営店の経営などが考えられるかなと思いますが、他にもいくつかあると思いますので、地域還元する仕組みを考えてみましょう。

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2020-01-29

本記事のまとめ

いかがでしたでしょうか。

最後にこれから都市再生推進法人の指定を受け地域でまちづくり活動を展開していくのであれば、次のステップを考慮した方が良いと思います。

  1. 本業とは別に副業としてまちづくりに資する業務を展開
    ※まちづくりに資する業務とは、地域の実情に応じて様々ですが、例えば、地域内の魅力を創出する必要があるのであれば、チャレンジ店舗や空き地・余剰スペースを活用したイベントの実施など
  2. 副業が軌道に乗ったら法人化し本業業務と切り離す

 

特に地域のご意見番的な方々が事業の妨げになるケースやすごく協力的なケース、様々なことが考えられますが、基本的には『金や労働、知恵』を提供しない人の意見は聞く必要はありません。

おそらく初めは批判ばかり受けるようになると思いますが、それが当然なので無視して頑張りましょう。誰に何と言われようと、正しいと思ったことをやればいいだけです。

そのうち、地域内で金が循環するようになってくると人の考え方も変わってきます。そして、次に問題となるのは、すり寄ってくる人達です。ここまでくれば地域のご意見番的な方々が味方する可能性も高まってきますので、バランスよくやっていきましょう。

ということで以上となりますが、ここまで説明して分かったかと思いますが、公益性といってもいわゆる普通のビジネスをしていることと違いないと思いませんか?そうなんです。普通に地域エリアを対象にビジネスをし、地域に再投資するくらいで何も特別なことをしているわけではないです。

ですので、成功する鍵はビジネスがうまくいくかどうかにかかっています。センスがすべてでです。ですから、うまくいかなかった場合には、古くからあるまちづくり団体のような行政への要望に終始してはいけないんです。他者の所為にした段階でまちづくりは終了です。