こんにちは。やまけん(@yama_architect)です。
建築や都市計画に関する情報を発信しながら暮らしているブロガーです。
『災害に強い家』欲しくないですか。最近の住宅仕様では近年自然災害が多いこともあって、太陽光発電設備や蓄電池設備、耐震性能の向上、備蓄倉庫の設置などがオプション対応で設置することができるようになっていますよね。
災害に強い家の本質
『災害に強い家』とは、一般的には地震や水害(洪水)、津波などによって建築物が破壊されないことですよね。でもですねーこのことって現代のように災害が多くなった時代においては、普通に当たり前のことだと思いませんか。
当たり前=標準スペック
だと思うんですよ。それでもでもやっぱり対応するためには限界があるんですよね。だからこそ、そもそも災害に遭わないことの方が大切であり、そのことが災害に強い家の本質だと思っています。
だって災害に遭わければ生命や財産の危機に遭遇することはないですよね。
ただし、建築予定の土地が先祖から受け継いだ土地であればどうしようもないかもしれません。その場合には建築物にある程度の備えを加えることで対処するしかありません。
しかしながらそうではなく、これから土地を探した上で住宅を建築するのであれば(または賃貸住宅に住むのであれば)、出来る限り災害に遭いそうな地域を外すことが大切じゃないかなと思います。
これ割と切実な話ですが、経験ある人は分かりますが、災害の度に避難所に避難していたら、精神・肉体共にほんと疲れますよ!!
とはいっても、どこに住んでも自由でしょ。何かあったら行政が助けるのが当然と言う考えの方もいますよね〜〜〜。
それは分かるんですけどね、災害が起きた際に投入されるのが『税金』です。また災害が起きた後の復旧にかかる多大な時間を鑑みると、本当に正しいのかどうか考えてみるといいと思います。
また、住宅建築にかけられる予算の問題もありますし、土地探しはなかなか難しいものですから、可能な範囲で災害リスクを減らした生活が遅れるよう次から説明するポイントに注意してみてください。
土砂災害
土砂災害とは降雨により地盤が緩くなった崖において発生する災害です。想定を上回るような降雨があった場合や地震において発生する可能性が高い地域です。
土砂災害防止法に基づき、都道府県において土砂災害の発生する恐れがある区域としてイエローゾーンとレッドゾーンを指定しており、レッドゾーン内においては居室を有する建築物(住宅や事務所など)を建築する場合には、土砂災害に対応するための措置(防護壁や待受擁壁など)が建築基準法施行令で規定されています。
- イエローゾーン(土砂災害警戒区域)
『都道府県知事は、基本指針に基づき、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における土砂災害(河道閉塞による湛水を発生原因とするものを除く)を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域として政令で定める基準に該当するものを、土砂災害警戒区域として指定することができる。』
- レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)
『都道府県知事は、基本指針に基づき、警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為の制限及び居室(建築基準法第2条第四号に規定する居室をいう。)を有する建築物の構造の規制をすべき土地の区域として政令で定める基準に該当するものを、土砂災害特別警戒区域として指定することができる。』
なお、イエローゾーンについてはレッドゾーンと異なり、特に法律上の制限があるわけではないですが、災害発生の危険性が高い地域であることには違いありませんし、自治体ごとに規定している『崖条例(がけ規定など)』により建築が制限されているケースもあります。
- レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)を避ける。
- イエローゾーン(土砂災害警戒区域)をなるべく避ける。
水害(洪水)
毎年のように発生する大規模な洪水被害により甚大な被害を受けていることは、このブログを読んでいる方全員が知っていることですよねー( ´△`)
浸水被害を受けることで貧弱な木造住宅は再起不能となります。木造以外でも鉄骨造も再起不能です。
令和元年10月に発生した東日本台風では被害後の住宅復興のお手伝いに参加させて頂いたことがありますが、木造住宅は床下浸水被害を受けるだけでも床組は全てやり直しですからそれだけでも再建費用が多くかかります。
さらに、床上浸水になるともっと深刻です。断熱材が汚水を吸収し、吸水した汚水が上昇するので壁は下地材からやり直しとなります。
住宅の場合には、浸水しない地域に住むことが最も良いですが、それが難しい場合には少なくとも計画規模降雨(概ね50〜200年に1回程度の確率)においても浸水しない地域の選択もありかなと思います。
というのも計画規模降雨よりも浸水被害エリアが大きい想定最大規模降雨は1000年に1回程度ですので後述する津波と同じです。
その分、計画規模降雨については発生確率が高く、今年や来年の集中豪雨によっていつ発生するかもしれませんから、計画規模降雨により浸水するエリアは想定最大規模よりも日常生活リスクが高いと言っていいと思います。
なお、計画規模降雨で浸水深が1m未満くらいなのであれば、土地の嵩上げや止水措置、1階を車庫にするなどにより対処することもありかなと思います。
市町村が公表しているハザードマップでは計画規模降雨を図示しないで、発生確率が想定最大規模(概ね1000年に1回程度の確率)のみ記載していることがありますので、『計画規模降雨』でも浸水しないエリア(国の河川事務所や都道府県)をホームページで確認するようにしてみてください。
▶️検索方法 『〇〇都道府県or○○河川 浸水想定区域』
計画規模降雨において浸水する恐れがある範囲を避ける。
津波
海に近い平地は必ずこの津波の脅威にさらされることになります。
発生確率は低いものの東日本大震災のように一度発生すれば被害は土砂災害や洪水被害の比ではありません。全てのものを更地にしてしまう威力を持っています。
わたし自身が震災のときに仙台の沿岸部に居住していたのでその威力は凄まじいことを知っております。
発生確率が低いのでどうしても他人事のように思えてならないものだと感じてしまうはずです。
そのため、津波は生命と財産を一瞬にして奪うリスクがあることを承知の上でも沿岸部の平地を購入するというのであればそれはそれで仕方ないのかなと思います。
その場合には、避難体制が確保出来る、若しくは津波を受け流す構造(RC造で浸水エリアをピロティ構造など)にするのであれば、建築もありかなと思われるところですが、一般的な木造住宅の建築はおすすめできないです。
▶️津波浸水想定区域を調べる方法 『〇〇市町村 津波浸水想定区域』
補足:建築士に相談
坪単価が低いメーカーさんとかですとよくあることかもしれませんが、打ち合わせ回数や時間に制限が設けられていると思います。そうすると、建築主さんが不安に思っていることが解消されないで建築設計が進むことが考えられます。
今回のように災害・減災対策を住宅に加える場合には建築士への相談が必須ですので、この記事を読んでいるということは災害に不安を覚えているからこそ読んでいるはずので、まずは建築士に災害・減災対策を行いたい旨を相談してみましょう。
相談してみて、聞き入ってもらえなければ契約しない!
ちゃんと相談に乗ってくれて災害・減災対策を提案してくれる方やメーカーさんに建築を依頼するようにしましょう。
なお、今の時代に災害・減災対策を行うことを考えられない建築士はヤバみだとは思いますが、建築主さんは過剰な値引き交渉をするなどして適正な設計料を計上できないようなことはしないようにしてください。
建築士は高度な専門知識を有しながら常に最新の情報をインプットしているので、個々のケースに応じて適切な提案をすることが可能ですが、適切な設計料を頂けないのであれば提案することもできませんので・・・( ´△`)
まとめ
注文住宅の建築(土地購入)や住宅を借りる際において、災害の強い家をつくるための方法を説明しました。
その方法は原則として自然災害の恐れがある地域を外すことです。最後にまとめると次のとおりです。
- 土砂災害の発生の恐れがある地域は候補地から外す
・レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)は避ける
・イエローゾーン(土砂災害警戒区域)はなるべく避ける - 河川洪水の地域は候補地から外す
・想定最大規模降雨の浸水エリアはなるべく避ける
・計画規模降雨の浸水エリアは避ける - 津波の恐れがある地域は候補地からなるべく外す
それでは以上となります。これから土地探しから家づくりを考えている方向けの参考となれば幸いです。