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【建築とまちづくりに関連】国土の長期展望中間とりまとめから一歩先のビジネスを考える。

先月(令和2年10月)、国の「国土の長期展望専門委員会」にて、『国土の長期展望』の中間とりまとめが行われました。
▶︎資料はこちら:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000214.html

この中間とりまとめでは、これからの国土のあり方の論点整理がなされたので、建築やまちづくりに関連する論点などを整理してみました。

こんにちは!やまけんです。

建築や都市計画、不動産に関係する業務に役立つ情報を発信しているブロガーです。

国土の長期展望を知ることで、国が次の時代に向かってにどういった課題や問題を解決しようとしているのか、その方針と具体的な取り組みに関して示されます。過去にはコンパクトシティ+ネットワークの取り組みなども提唱されているので、次世代のビジネス戦略を考える上では重要な資料です。

また、地方自治体であれば、国の動きに素早く対応して他都市との競争に勝つための戦略のヒントにもなるはずです。

ではでは、やまけんが都市計画全般に関連しそうな部分の論点整理を抽出しているのできっとあなたの役に立つはずです。




国土の長期展望


※出典:国土の長期展望に関する基本的な考え方(概要)*国土交通省

現在の国土利用に関する計画は第二次国土形成計画にあたり、この計画に基づいてコンパクト+ネットワークの形成を進めてきたところです。

策定から6年を迎え、デジタル技術の活用の進展、自然災害の激甚化・頻発化、新型コロナウイルスの発生・まん延、気候変動を踏まえたSDGsへの関心の高まり等といった大きな状況の変化が生じている。

そのような前提から、

  1. 時間・空間・生活ともにゆとりがあり、子育て環境をはじめとする生活の基本的な要素が充実している。
  2. 自由度が高く、人生の各ステージで様々な選択肢の中から望ましい働き方、暮らし方を選択できる。
  3. 多様な価値観が認められ、かつ、その交流が新たな価値を創造する。
  4. 国際的に見ても魅力的で競争力のある地域を育むなど「真の豊かさ」を実感できる。

国土を形成していく必要があるとされています。

でもって、これからの国土形成についても、『第二次国土形成計画で提示したコンパクト+ネットワークという考え方は継承しつつ、地域の核への集約を図りながら地域内・地域外をネットワークでつなぐ、多核連携型の国土づくりを進めるべき』とされています。

そのため、引き続き、市再生特別措置法に基づく立地適正化計画制度をはじめとしたネットワーク型コンパクトシティの形成を推進されるものと考えられます。

平成26年8月の都市再生特別措置法改正によって制度化された立地適正化計画(コンパクトシティ+ネットワーク)は、少なくともこれから約5年間は継続して主要なプロジェクトとして進められると考えられます。

立地適正化計画の流れに沿わない行為(例えば、居住誘導区域外での団地造成や共同住宅・長屋の建築)はあまり推奨されないと思いますし、後述しますが、災害リスクが高い地域での建築も同様に流れに逆らうこととなるはずです。

ですので、今後も、コンパクトシティの形成が促進される経済情勢の中においては、居住誘導区域都市機能誘導区域、さらには災害リスクを踏まえて、土地利用計画を図ることが望まれるものと考えられます。

現状・予測


※出典:国土の長期展望中間とりまとめ参考資料(国土交通省)

ここからは、特にまちづくりに関連する部分を抜き出してみました。

自然災害の激甚化・頻発化


※出典:国土の長期展望中間とりまとめ参考資料(国土交通省)

年降水量は、1970年代以降、年ごとの変動が拡大しており短時間強雨(50㎜/h以上)や大雨の発生回数が増加しているらしいです。確かに、ここ10年くらいは猛烈な雨が増加していると肌で感じるようになりましたよね。

さらには、21世紀末には、短時間強雨の発生回数が全ての地域及び季節で増加する一方で、無降水日も全国的に増加すると予測されているようです。

また、海抜0m以下の地域に居住する人口は2015年の187万人から2050年には245万人に増加すると考えられています。

そのため、国土の約35%が何らかの災害リスクのある地域となり、洪水、土砂災害、地震、津波の4災害のリスクに曝される人口は、2015年時点で全体の71.1%から2050年には73.4%となることが予測されており、災害リスクのある地域への人口偏在がさらに進む見通しとなっている。

ちなみに、Aon plc(エーオン・ピーエルシー:米国の保険関連企業)の「気候と大規模自然災害レポート:2019 年版(Weather, Climate & Catastrophe Insight: 2019Annual Report)」によると、令和元に東日本に壊滅的な被害をもたらした台風第19号の経済損失額は150億ドルと推計されているらしい(かなり恐ろしいと思います。)

  • 短時間強雨(50㎜/h以上)の発生回数が全ての地域で増加
  • 一方で無降水日も全国的に増加
  • 温暖化により海抜0m地域も増加
  • 結果的に災害リスクのある地域に居住する人口は2050年に73.4%となる見込み

え!?・・・やばいぞ日本!!! 流域治水にとりくみつつ、高潮対策もしっかりとやらないと災害リスクだらけ地域が増加し、毎年、夏・秋は台風の恐怖に見舞われることになりそうだから、今のうちから災害リスクの回避・低減は必須になると思います。

地方移住


※出典:国土の長期展望中間とりまとめ参考資料(国土交通省)

NPO法人ふるさと回帰支援センターのリサーチによると、同センターへ来訪者・問い合わせ件数は、2008年からの11年間で約20倍(約4万9千件)に増加しており、特に40代までの若い世代を中心に地方移住への関心が高まっているようです。

よく都内でリタイアした60代以上の方が地方に戻りたいのかなとイメージしていたのですが、意外と若い世代の方々が多いことに注目です。

この資料は令和元年までの統計資料です。ですので、コロナは関係ないですから、現在の状況では、さらに地方移住希望者が増加しているものと思います。

課題への対応方法

自然災害

危険地域のゾーニングを行い、災害ハザードエリアにできるだけ人を住まわせないための土地利用規制・誘導のあり方等の検討や、水害に対しハード・ソフト一体となって総合的・多層的に備える流域治水を推進していく必要があると記載されています。

さらに平時から自然災害に強い交通ネットワークを構築し、あるいは事業継続計画の充実や保険の仕組みを活用するなど、事前に防災対策を講じることで、社会経済活動を支え、被害からの早期回復を図るよう取り組んでいくべきとも書かれています。

つまり、自然災害に強い都市をつくることを優先するべきとのことですから、災害を助長するような宅地開発は言語道断でしょうし、民間レベルでも災害リスクを軽減・回避する取り組みが求められていくものと考えられます。

こちらの記事も参考にしてみてください。

感染症

都市におけるオープンスペースやホテル等の宿泊施設等は、平時における用途とは別に災害時やパンデミック時には一時的な避難や隔離等の施設として活用できるものであり、非常時に求められる機能がスムーズに確保・活用できるよう、平時から管理者等と連携して検討を進めておくべき。と書かれているので、市街地の建築物密度が高い地域では、オープンスペースの確保が求めれていくものと考えられます。

決して大規模なスペースではなくても災害時においては貴重な空間となることが考えられるので、事業用建築物を計画する際には、地域に開かれたスペースを確保してみて地域との繋がりをつくることも求められていくものと思います。

真の豊かさを実感!?


※出典:国土の長期展望中間とりまとめ参考資料(国土交通省)

これに関しては、ちょっとだけハテナなのですが、『真の豊さ』なるものの実現が求められていると考えられているようです。

1979年あたりから一貫して『物』よりも『心』の豊さを求める傾向にあったものの、心の豊さでは何か”なんとなく”足りない、コロナの状況やデジタル化の流れ、さらには災害が頻発する中で顕在化してきたのかなと思いました。

今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって加速化しているデジタル化の流れが、産業面のみならず、働き方や暮らし方といった我々の生活のあり様にも大きな影響を与えることが共通の認識となっている。いかにデジタル化のメリットを享受し利便性の高い国土を実現していくかが重要。人生の様々な局面において、多様な選択肢があり、その中から希望のものを選択できる自由度の高さや、多様な価値観が認められ、それらの対流が新たな価値を創造していく“奥行き”の深さも『真の豊かさ』の実現のためには重要。

まとめ

今後も引き続き検討が進められ、令和3年(2021年)夏頃に最終とりまとめが行われる予定となっています。

繰り返すと、これからの国土形成の長期展望において重要なリスク・課題に対する主な論点は次のとおりでです。この課題解決がビジネスチャンスでもあると思います。

  1. 自然災害
  2. 感染症
  3. 日本の活力低下・世界の中での埋没
  4. 地球環境
  5. 東京一極集中
  6. 食料確保
  7. 老朽化対策をはじめとするインフラのあり方

誰よりも早く新たな価値を生み出せばビジネスで勝てるはずです。

常にチャレンジしている方であれば分かっているとは思うのですが、難しいんですよね・・・ですので、こうした『国土の今後のあり方』を検討する資料を読んで次のビジネスを考えてみたいと思います。(あっ、偉そうなことを言いましたが、わたしのことです。何か面白くて社会貢献できることやりたいwww)

ということで以上となります。この記事が参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など