今後の国の動きとして、国としては、「災害リスクからの低減・回避」に力を入れていくことが明白です。
あたり前といえばあたり前なのですが、今後、社会保障が増大するのに、物理的に防ぐことが可能な災害の度に復興に対して莫大な税金を投入していられません。もう無駄に市街地を拡大させないで、より安全な地域によりコンパクトなエリアに居住して欲しいと国は願っていると考えられます。
というのも、ネットワーク型コンパクトシティの形成を目指す立地適正化計画への防災指針(誘導区域内の防災のあり方)の策定義務付けや特定都市河川法や水防法の改正の動き、さらには、長期優良住宅認定基準に防災への配慮が盛り込まれることを鑑みると、脱炭素と合わせて都市防災に関して強力に進められると思います。
具体的には、生命・財産に危機が及ぶ災害リスクが高いエリアへの建築等に対する補助金や税制優遇等の廃止などのから進められていき、今後も多く発生すると考えられている洪水の度に災害リスクの高いエリアへの居住系施設の建築、最終的には必要不可欠な施設以外の建築を禁止していくものと考えられます。
確実に災害の度に規制が強化されていくはずです。
現時点は、誘導によりリスクの高いエリアからの移住を促していますが、猶予なことを言っていられるのもわずかの間です。
温暖化はファクト(事実)です。つまり、確実に気候変動が進んでいます。
その結果として、確実に洪水発生頻度が上昇します。
これと同時に災害に強い都市づくりも進められると考えられ、都市全体で治水対策を図る”流域治水”が進められ、市街地の災害リスクを低減・回避する試みが多く進められると思います。
ですので、災害リスクを抱える都市は、洪水・高潮・津波などに対してハード整備により出来る限りの努力を行ってリスクを低減していかない限り、国内、世界との競争力に負けてしまうと思います。つまり、選ばれる都市にはならないということ。
とはいえ、現時点の日本では、土着意識が高いため、住み続けることに誇りを感じていたり、そのバイアスが移住を阻害しているはずですが、団塊世代の方々が多く亡くなっていく多死社会を迎える中で、そのバイアスは次第に低下していき、テクノロジーの進歩に合わせて移住があたり前の時代になるものと思います。
そうなると、従来の都市論にありがちな”都市の成り立ちからリスク低減は出来ない”を理由に、避難のみを前提とした都市づくりを行っている都市の居住者は減少していくと考えられます。
だって、支払う税金が同じならより安全性が高く利便性の高い地域に住みたいと考えるのが普通です。(そう考えなきゃいけなくなるくらいに、洪水が頻発すると想定されます。21世紀末に向かって対100年前で降雨量が1.1倍、洪水発生リスクが2倍は異常ですが、そのシナリオに向かって進んでいます)
江戸時代から続いているから。財政難だから。と言って、都市の安全性に対して何も対策を行わないでいると、より安全な地域への人の移動により人口減少が著しく進むと考えられます。
繰り返しですが、今後、益々防災に配慮した都市づくりが進められると考えられますので、不動産関係者や建築士の方は、この動向に注視して、災害リスクを適切に把握し、自分なりに考えてリスクと向き合うことが今後のビジネスにおいて重要と思います。
>>参考記事
ということで以上です。それではまた〜