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【若い方に読んで欲しい】コンパクトシティを否定したところで都市の根本的な課題解決にはならないという話。

こんにちは。やまけん(@yama_architect)です。
YamakenBlog(やまけんブログ)では、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪

今回は、これからの地方都市にあり方に関する考察です。

今回の記事は、自治体関係者の方というよりは地方都市に住んでいる若い方に読んで欲しいと思っています。参考になりましたら幸いです。

気軽に読んでください☆




都市が抱えている課題

まず、「都市」について記事にする中で最も重要なことは、「都市」とは建築物の集合体であり、その集合体には利用・使用する「人」がいるということ

なぜ、人が都市部に集まるかというと、地方に比べて人・モノ・金の全てが勝っているからです。これこそが密度の経済です。

わたしもコンサルの仕事をしていて思うこと、都市計画=土木・建築 という誤解

土木や建築は都市計画を実現するためのツールであり、都市計画の根幹にあるものは、都市で暮らす人の経済を支えることにあります。

!!ここめっちゃ大事☆

コンパクトシティの形成を推進している理由

昨今、全国の地方自治体(人口が減少しない都市を除く)において、都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画(多極ネットワーク型コンパクトシティ)の策定(全国で令和3年7月末時点で398都市が策定)が進んでいます。

立地適正化計画のねらいは、人口が減少する中でも一定のエリアにおいて人口密度を維持するとともに、当該密度維持区域内に都市機能を誘導する区域を市街化区域(市街化を促進する区域)内に設定し、医療や福祉、商業といったエッセンシャル機能の維持に必要な人口密度を維持していくことです。

なぜ、人口密度が大切かというと、人口密度とは、ある一定のエリアにおける人口の数を示す指標です。

市街化区域の設定基準においては1haあたり40人以上という一定の指標があり、例えばコンビニの立地基準の考え方の一つとしてこの1haあたり40人以上という考えもあります。

また、大手飲食チェーンにおける市街地立地型(沿道路線型を除く)では、人口密度が一つの立地指標になります。

というのも、一定のエリアにおける人口が多ければ多い方が効率的な経済活動の展開が可能だからです。例えば100m四方の範囲に40人と80人とでは、見込み客が倍以上ですので、単純に立地場所のみをみれば集客力が約2倍違います。

なお、店舗立地では当然、その他に地価も影響するので一概に言えませんが人口密度は非常に重要なわけです。

また、行政サービスにおいても人口の高い方が一人あたりの行政コストは低い傾向(密度と行政コストは相関)にあるためです。

人口密度と行政コストの関係*出典:国土交通省

ですので、人口密度の維持・向上を図っていく「コンパクトシティ政策」は、人口減少が進む地方都市において、都市に効率的な都市での活動を展開するために必要なツールの一つということになります。

このことについては、昔から人口密度が高くそのエリアも小さければあまり問題にはならないのですが、高度経済成長期における人口増加と自家用車の急速な普及、所得増加によって郊外の戸建て住宅を購入し、自家用車を前提としたライフスタイルがこの30~50年間で形成されたことによります。

つまり、居住者が少ない市街地(駐車場や空き地などの未利用地)が増加し、スカスカの都市が出来上がってしまっているわけです。

当時は現在よりも高齢化率も低かったために社会問題にはならなかったのですが、現在では当時の予想は大きく外れ、人口増加どころから人口減少に転じています。

このため、こうした都市政策の課題を解決していかないと、市民一人あたりの行政コスト増・生活コスト増の都市が全国に出来てしまうわけです。

つまるところ将来的な税負担が大きい地域ということです。

自動運転や空飛ぶタクシーが解決する?

こうした中で、コンパクトシティ否定派は、コンパクトシティの形成を推進せずに、自動運転や空飛ぶ車を推進することで課題の解決を図っていこうとするものです。

当然、自動運転になれば、運転できない人が増加する問題には対処できます

また、空飛ぶ車・タクシーになれば、道路というインフラを使用しなくて済むため維持費が削減される可能性があります。

がしかしですよ、居住者の位置自体は変わっていないため、居住者の死亡や首都圏等への移住により、地方都市の人口密度は現在の形態を維持した形で低下の一途を辿るために非効率かつ生産性の低い都市が形成されていきます。

課題解決のポイントは、郊外部や、まちなかの未利用地から都市をタタミつつ(市街化調整区域に編入)、まちなかに人口誘導を図って、密度を維持または高めていくことが大切になると考えられます。

当然、誘導を図っていく地域は公共交通の利用がしやすい地域となります。

ここで重要なこととして、人やエッセンシャル機能を集めるポイントは、移動需要が発生した場合に適切に処理することが可能な交通の結節点(鉄道・交通)にあります。

まとめ(現時代の最適解)

コンパクトシティを否定するための明確な根拠がない中、自動運転や空飛ぶタクシーは都市の根本的な課題解決につながっていません。

また、大きな誤解として、市街地での生活利便性の恩恵を受けていない居住者の方までまちなかへの移住を強制する政策ではないことです。

コンパクトシティ形成のポイントは、市街地の縁辺部などを中心に、広がり過ぎた市街地を縮小させていくことが目的であり、国内全ての人をまちなかに誘導することに目的が置かれていないない点です。

現在のところ、日本の地方都市ではコンパクトシティ形成に替わるツールは発見・発明されていませんから、必然的にコンパクトシティを推進していくことが都市の解決の最適解となります。

最後に、私達の親世代。今から30年以上前の地方都市での人生設計は、地元の高校を出て、郊外に住宅を買って車を所有し、郊外の住宅地から工場や役所に出勤する。

このことが当たり前とされた時代で、当時の倫理観で形つくられたもので、このレールに乗らないとダメ人間扱いされた時代と思います。

ところが経済が成熟し始め、多様な生活スタイルが増えたり女性の社会進出が進むことで人口増加が止まると、郊外の住宅地は高齢者率が高まりはじめた。

よく、コンパクトシティに関連する問題で、”なんで歩けなくなる前にまちなかに移住しなかったのか?”という問題、今のような高齢者を課題する状況になると誰もが思っていなかったと思うので、誰も責められるものではないです。

過去は変えられないので、未来を見据えて今できる最適解を取り組むことが大事。