この記事では、「主事但し書き(〜1999年4月30日まで))」とその影響というテーマで話しています。
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主事ただし書きとは?
現在の法律では、「建築基準法第43条第2項認定・許可」とされているルールのことです。
1999年5月1日から平成30年9月24日までは「建築基準法第43条第1項許可」、現在の指定確認検査機関による認定行為と特定行政庁の許可と異なり、特例行政庁のみが許可を行える規定となっていました。
接道が取れていない土地ってそんなに多いの?と思うかもしれないですが、意外と多いです。
国がまとめている統計によると令和元年度では、法第43条第2項第1号認定が1,310件、2号許可が8,198件と、合計で9,508件でした。年間に1万件近い土地が接道の取れていない物件であることが分かります。
平成11年(1999年)5月1日以前は、この認定と許可にあたる行為を建築確認審査の中で判断していたので、一定のルール・基準は設けられていたものの、各特定行政庁のルールのもとで主事の裁量の中で審査されていました。
※主事ただし書き時代の法律は次のとおりです。
建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。次条第1項を除き、以下同じ。)に2メートル以上接しなければならない。ただし、建築物の周囲に広い空地があり、その他これと同様の状況にある場合で安全上支障がないときは、この限りでない。
(〜法第43条第1項)
これに対して、現在は規則(省令)によって一定の基準が設けられていますが、その規則すら無かったので、『周囲に広い空地等で安全上支障がないとき』を主事の裁量で審査を行っていました。
なお、現在の法律(法第43条第2項)はどのように記載されているのかですが、次のように省令を含むて明確化されています。
【法律】
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 その敷地が幅員4m以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に2m以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの【施行規則(国土交通省令)】
第10条の三 法第43条第2項第一号の国土交通省令で定める道の基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 農道その他これに類する公共の用に供する道であること。
二 令第144条の4第1項各号に掲げる基準に適合する道であること。2 令第144条の4第2項及び第3項の規定は、前項第2号に掲げる基準について準用する。
建築基準法第43条第2項、建築基準法施行規則第10条の3
3 法第43条第2項第一号の国土交通省令で定める建築物の用途及び規模に関する基準は、延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合にあつては、その延べ面積の合計)が200㎡以内の一戸建ての住宅であることとする。
4 法第43条第2項第二号の国土交通省令で定める基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有する建築物であること。
二 その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員4m以上のものに限る。)に2m以上接する建築物であること。
三 その敷地が、その建築物の用途、規模、位置及び構造に応じ、避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する通路であつて、道路に通ずるものに有効に接する建築物であること。
ちなみに平成11年5月1日以降は、民間の指定確認検査機関が設置されたことで、とうぜんに民間は確認審査を行う中では各特定行政庁のルールに基づく主事裁量の審査はできないので、ブラックボックスの部分を誰もが見える形(公平性・客観性など)にする必要があったわけです。
ということで、1999年5月1日以前の建築物については建築主事裁量で審査を行っていました。もちろん当時からルールを設けて審査を行っていた特定行政庁もありましたが、ブラックボックスである以上はやはり、なぜここが過去に確認を受けれるの!?といった物件も何度か見たことがあります。
例えば、よくある幅員1.8mの公図上の道(建築基準法の道路扱いしない)にしか接していないのに、確認を受けているなどなど・・・現在の若手建築士からすれば驚愕の確認申請図書です。役所には概要書として残っているので、不動産取引が多い方は一度くらいは遭遇したことがあるかもしれないですね。
現在の基準に照らし合わせれば許可を受けることは不可能です。しかも法第43条に既存不適格なんてものはありませんから、次回建て替え時は適法にする必要があります。もちろん、当時の行政の落ち度の可能性もあるので、そうした物件と遭遇した場合には感情的にならずに論理的に協議することをおすすめしたいです。
ですので、1999年以前に建築された物件の建て替えの終期(おそらく2030年ごろ?)までは、まだまだ過去の建築確認の建て替えで問題を抱える土地が顕在化していくものと思います。
まとめ
ということで、1999年(平成11年)5月1日以前は、建築基準法第43条に規定されるただし書き許可は、建築主事の裁量のもと(特定行政庁で基準を設けていた自治体もある)審査が行われていた話をしました。
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ということで以上となります。こちらの記事が業務等の参考になりましたら幸いです。