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【ヤフコメに絶句】天空のカフェが都市計画法違反。何が問題の本質なの?

先日、鎌倉市で人気飲食店の一つだった天空のカフェ(森のカフェ)が閉店というニュースがツイッター等で少しだけ話題になっていて、ヤフコメを見たら案の定、絶句するコメントだらけだったので、気持ち悪さの解消のために自分のために書いています。

辛辣に書いてるので嫌な方はスルーをよろしくお願いします。笑

こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪

建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。

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何が違反なのか。

今回の事案では、「都市計画法違反」です。建築基準法違反ではありません。

建築物に関して都市計画法違反が成立するのは「市街化調整区域」での建築に違反した場合です。また、市街化調整区域内の建築は、原則として都道府県知事(指定都市長、中核市長)許可が必要となる上に、”なぜ市街化を抑制する区域でなければならないのか”正当かつ合理的な理由がなければ建築することは不可能な地域です。

この黄色アンダーラインがめっちゃ重要です。

あれ、でも住宅建築できているところもあるよね?って思った方は、小規模宅地開発は滲み出し開発といって自治体が条例で基準を定めている特例許可のことをイメージしているはずです。

人口増加が進んでいる地域ではちょっとした滲み出し開発が認められていたりしますが、滲み出しを認めるくらいなら市街化区域にすればいいのでは?と思ったり・・・(個人的な無くなってしまえ!派です)美しい田園風景の中で突如として非農家住宅やラーメン店がぽつりぽつりと立地しているのはこの地域です。

なお、近年の法改正により防災的な配慮が求められるようになり、特に田畑を潰すなどの水害の恐れが高い地域が多いので、今後は少しずつ減っていくと思われます。

都市計画法第42条違反とは?

*鎌倉市都市計画情報マップ

都市計画法第42条違反の理由としては、都市計画法で許可を受けた条件(今回の事例では予定建築物:専用住宅)に違反(今回の事例では飲食店)して使用していることにあります。

ポイントは開発許可を受けずに住宅から飲食店に用途変更を行ったこと。
加えて、開発許可の変更申請を行っても飲食店は認められない地域であること。

建築基準法と異なり比較的罰則規定は緩いのですが、仮にですが刑事告発されると50万円以下の罰金の処分を受ける可能性がある立派な犯罪行為の一つです。

今回の土地である「市街化調整区域(=市街化を抑制する区域)」は一部の例外を除いて原則として建築物を建築することができない地域となっているのですが、昭和49年に開発許可を受けて「専用住宅」を建築したようです。

飲食店ではなくて専用住宅です。ですので、専用住宅以外は認められませんし、どんどん市街化調整区域に飲食店を認めていこうとするような、ちょっとヤバいまちづくりの方針でも無い限りは100%許可されません。

ただし、今回の事案で疑問なのは、現在の新都市計画法が制定されたのが昭和43年ですので、その以降で「市街化調整区域」内で住宅を建築できたのは何かしらの例外的な許可を受けたことによると考えられますが、この例外的な許可については自治体によって運用が様々なので一概には不明です。

おそらくは市街化区域隣接型で昭和43年以前から住宅があったのかな・・・と想定されます。

というのも、市街化調整区域では農家住宅や一部の公共建築を除いて『開発許可を受けないと建築することができない』地域となっていて、その上で許可するかどうかは各自治体の都市計画の運用で決まります。

繰り返しですが、市街化を抑制する区域でなければならない正当な理由が無い限りは建築することができません。

(開発許可を受けた土地における建築等の制限)
第42条 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、第36条第3項の公告があつた後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物又は特定工作物を新築し、又は新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して当該開発許可に係る予定の建築物以外の建築物としてはならない。ただし、都道府県知事が当該開発区域における利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて許可したとき、又は建築物及び第一種特定工作物で建築基準法第88条第2項の政令で指定する工作物に該当するものにあつては、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときは、この限りでない。

都市計画法第42条

市街化調整区域での飲食店違反は外部不経済の要因

法的な罪が重いというのではなく「外部不経済」の要因となる点です。

市街地の飲食店経営者は怒ってるはずです。

基本的に飲食店は市街化区域や都市計画区域外でのみ認められています今回の鎌倉市は三大都市圏の中ですので、市街化区域と市街化調整区域の二つの区域のみです。

このことを線引きと言いますが、線引きのメリットとしては無秩序な乱開発を防止することができるため、簡単に言ってしまうと自分の土地だから好き勝手やらせろ〜!!と騒いで、田畑や森林を破壊して工場や風俗店、パチンコ店などありあらゆる用途の建物が乱立して住みにくい街になるのを防ぐ役割があります。

また、それ以上に乱開発を認めてしまうと、道路や水道、下水などの整備と維持管理コストが増大してしまうので、人口規模に見合っていない市街化区域の拡大は経済合理性を欠いてしまう危険性を伴います。

まちの将来のために市街化調整区域を開放しろ〜!と叫ぶ自称まちづくり専門家みたいなおじさん・おじいさんがチラホラ見かけるのですが、市街化調整区域の建築条件を緩和=市街化区域を拡大することは、かわいい孫たちの将来的な税負担を増加させるだけです。

単純に市民一人が使う公共面積が増大するだけ。それだけならまだしも維持する費用も捻出できなくなって荒廃して汚い街の完成となります。・・・日本の人口が爆発的に増えているなら分かりますけどね。

ですので、話を戻すと人口規模に見合った市街化区域という決められた市場の中で競争することが求められます。

そのようなかで、鎌倉市さんのまちづくりの方針としては市街化調整区域には歴史的風土保存地区や特別保存地区を指定していて住宅や飲食などの建築を制限して厳格に歴史的な景観を守っていこうとする考えですから、市街化調整区域内で調整区域内の住民のためだけの食堂でも無い限りは許可されるわけがないのです。

一人だけ固定費を低く抑えることできる地域でかつ市街化区域の方のように適正な税を負担していないとすれば適切な市場が形成されているとは・・・怪しいところ。

市街化調整区域であっても、まちづくりの方針として、観光地として形成する街区であれば存続の可能性はあったかなと思われるところですが、古都保存法の区域内なので無理でしょうね。

補足:古都保存法による特別保存地区でもあった

*出典:鎌倉市都市計画区域図(抜粋)

ちなみにですが、都市計画法違反のみが指摘されているようですが、この土地を調べてみると昭和42年に古都保存法に基づく「歴史的風土特別保存地区」に指定されています。

特別保存地区とは基本的に住宅建築はできない地域です。

なので、そもそも昭和49年に住宅を建築できたこと自体が不思議ですが、おそらく昭和42年以前から住宅が建築されていた土地と想定されるところです。

この特別保存地区は鎌倉の歴史的な風土を保存するための区域であり市街化調整区域よりも厳格な運用されていて木竹の伐採であっても神奈川県知事の許可が必要となるような地域ですから、昭和42年当時の景観が維持されている鎌倉の景色を堪能できるはずです。

古都保存法に違反していたどうかは不明ですが、少なくとも不特定多数の人を集客する飲食店が適切であったかと言われると疑うところです。

周囲は景観が守られている地域なので市街地の飲食店と異なり「名所」になるのは当たり前。

なお、鎌倉市のホームページにも掲載されていますが、歴史的風土特別保存地区の土地は固定資産税が免除されています。

違反通報とは?

今回、発覚したのは2019年に市民から通報があったことが理由のようでした。

おそらく、市の担当者は以前から知っていたはずです。わたしも経験がありますが、市街化調整区域で人気店となれば地元の週刊誌などが掲載されるために違反していることがすぐにわかります。

心の中ではすぐにでも辞めさたい気持ちなのですが、多くの自治体では、建築と都市計画の違反指導を人員不足の中でこなしているため、他にもっと悪いことをする輩を相手にしていると短期的な優先順位をつけるとどうしても後回しになってしまいます。

このため、市民からの通報を受けて指導を開始することになります。

まとめ

ということでまとめると、単純に都市計画法第42条(開発許可を受けた区域内での予定建築物以外の建築)に違反したということでした。例外も何もただの法令違反です。

こういった市街化調整区域で知らずに飲食店をオープンしてしまう例。わたしも指導経験が何度かありますが、多くの方が次のように発言します。

  • これまで指導されたことはない。
  • 保健所の許可は取っている。
  • 他でもやっている。
  • 市街化調整区域だなんて知らなかった。
  • 誰にも迷惑をかけていない。
  • 自治体のまちづくりの考え方がおかしい。
  • 自分達は地域のために良いことをやっている。

人口が爆発的に増えていて、市街化調整区域の区域が実際の経済状況と乖離していて、市街化区域にするべき正当な理由があるのであれば、法律では都市計画提案などの住民発起による都市計画変更の手続きが用意されているので、そういった法の手法を使って進めればいいのであって、どのような理由があっても罪を犯してはならないです。

(そのために三権分立があり地方議会が用意されています)*区域区分の変更の場合には都市計画区域マスタープランの改訂時期に適切な正当な理由を述べます。

そして行政は法を執行している機関の一つでしかありません。法を変更するのは立法です。

仮にこの前提を崩してしまうと法治国家が成立しなくなって民主主義が崩壊することになります。

あたり前ですけど、特に人からお金をもらって稼いでいる事業者である以上は、法に適合しているかどうかのチェックは事業開始前に必ず必要です。特に市街化調整区域の土地を有効活用したいと考えているような方は大切です。

また、雑誌やメディアもそうした違法性の高い建築を掲載しないようにして欲しいところです。

ちなみヤフコメを読んでいると、法律や行政が悪いと言った意見や例外的に認めてあげればいいと言った意見が散見されていて、中には「世知辛い」とか・・・
本当に気持ち悪い意見が散見されるので、建築法規に携わる皆様も一度読まれることをお勧めします。こうした人種が一定数いる事実だけでも知っておくのが良いのかも。
>>>ヤフコメhttps://news.yahoo.co.jp/articles/3fcef805b539e0ffa6455313a73b2a97cb418271/comments?page=13

都市計画法も義務教育として学ぶ必要あるように思います。

ということで以上です。それではまた〜






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