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【不動産投資とまちづくり】第一種低層住居専用地域での土地活用検討を楽しく。

この記事では、第一種低層住居専用地域での土地活用・不動産投資について、都市計画と建築法規の実務の観点から下記の悩みを解決する記事となっています。

  • 親世代から土地を引き継いだけど、その後の土地利用方法に悩んでいる
  • 現在、土地を所有しており、住宅も築30年以上経過し、今後、改築かリフォームするか売却するかで悩んでいる
  • 一種低層住居地域内の投資用物件を購入するかどうか悩んでいる

普段から都市計画・まちづくりに携わっている者が考えているポイントですので、今後の土地利用検討の参考になれば幸いです。

どうも〜YamakenBlogです。

YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています!!

建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なため理解するのに苦しみますよね(私自身が苦しみました。)。このことを解決するために法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。

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そもそも第一種低層住居専用地域とは?

第一種低層住居専用地域(略して一低層)とは、都市計画法に基づくまちづくりのツール(地域地区で、13種類ある用途地域の一つとなっています。

建てることができる用途(建物の使い方:住宅や事務所、診療所などの区別)が、主に住宅系に限定された地域となります。

第一種低層住居専用地域を指定する目的としては、良好な住環境の確保です。

このため、限られた建物用途の他、建築物の高さを一定程度に抑えたり、隣地と外壁を一定の離隔が必要だったりと他の地域とは異なり、日照や通風、採光等が確保された地域となります。

いわゆるニュータウンが一低層の例となります。比較的新しいニュータウンもあれば昭和40から50年代に造成された古くなり著しく高齢化率が高くなったニュータウンもあります。

こちらの記事をお読みになっている方もニュータウンに居住されているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その他、昭和43年の新都市計画法以前に造成された郊外の狭隘道路による住宅団地なども指定されていることがあります。

全国に指定されている用途地域1,873,066.899haのうち、第一種低層住居専用地域は337,169.699haと、全体の約2割(18%)となっています。
なお、最も指定面積が大きい第一種住居地域に次いで2番目に大きな用途地域となります。

それでは土地の活用方法に見ていきたいと思います。

土地活用❶:賃貸住宅・グループホーム等

土地活用を考える場合、アパートなどの賃貸経営又は駐車場経営、太陽光発電による売電、トランク倉庫経営などが考えられますが、一低層では建物用途が限定的であることや、住環境保護のためのルールが設けられている点では他の用途地域と異なり特に注意が必要です。

大きく下記の7ポイントに注意して検討することが大事です。

第一種低層住居専用地域の一般的な制限
  1. 建物用途制限(建築可能な建物用途)*特に重要!!
    建築可能な建物用途は、一戸建ての住宅、長屋、共同住宅、兼用住宅、老人ホーム、保育所、診療所など
    >>>詳細用途はこちらの記事(外部リンク)を参照ください。
  2. 絶対高さ制限
    建築物の高さは10m又は12m以下にしなければなりません。
    *10m又は12mは都市計画で決定されます。階高を3mとすると、3階又は4階以下(屋根形状によっては2階又は3階以下)の建築物のみ建てることが可能です。
  3. 容積率制限・建蔽率制限
    容積率(=延べ面積/敷地面積*100)、建蔽率(=建築面積/敷地面積*100)制限が他地域もよりも厳しく設定されています。
    これは一定の敷地内空地を設けることで住宅地の日照や通風、採光等が確保できるためです。一般的に建蔽率は30〜60%、容積率は50〜200%で指定されています。仮に建蔽率50%、容積率80%、敷地面積を200㎡であれば、建築面積は100㎡以下、延べ面積は160㎡までとなります。
  4. 外壁後退制限
    敷地境界線と外壁の端面までの距離は1m又は1.5m以上離す必要があります。
    この外壁後退制限も住宅地の日照や通風等の確保が目的となります。とはいえ、一低層に限らず、商業地域を除けば通常の離隔距離と考えてOKです。
  5. 敷地面積の最低限度
    最低敷地面積の制限と言われるもので、細分化された狭隘な敷地によって日照や通風等が確保できない住宅が建築できないように敷地面積の下限値を都市計画で定めているものです。
    土地を分筆して売却する場合にはこの敷地面積の最低限度に注意する必要があります。仮に100㎡以上が指定されていると100㎡未満の土地では建築することができないため駐車場や資材置き場程度の利用となるなど利用方法が限定されます。
  6. 北側斜線制限
    北側に面する隣地の採光を確保するため、建築物から真北方向の境界線まで距離に応じて高さ制限が設けられています。
    例えば、敷地境界線から真北方向で南側2mの位置では、5m+1.25*2m=7.5mとなり、建築物の一部分でも7.5mを超えることはできないルールです。
    >>>北側斜線制限はイメージしずらいと思いますので、後日別記事にしたいと思います。
  7. 地区計画・建築協定による建物用途制限
    地域によってなりますが、ニュータウンなどの新住宅地の場合、より住環境保護に特化させるために地区計画の指定や建築協定を締結し、一部の建物用途を制限することがあります。例えば、戸建て住宅や兼用住宅以外の建築物の建築禁止やブロック塀の禁止など。。。


戸建て賃貸の他、アパート・マンションである長屋や共同住宅を建築することが可能です。

第一種低層住居専用地域では、建築物の高さを制限する絶対高さ制限があることや、建蔽率・容積率制限があるため、3・4階以上とすることが難しいため、2階建て以下の木造・鉄骨造の長屋・共同住宅による活用が考えられます。

また、高齢者の増加に伴い需要が急激に伸びているサービス付き高齢者向け住宅(共同住宅)やグループホーム(寄宿舎)、老人ホームなども土地活用の方法として考えられます。

地域に実情に詳しい地元の不動産事業者や建築士(不動産事業を行っている工務店など)に依頼したり、すでに土地活用を行っている知り合いのオーナーから話を聞くことも一つの手段です。

登録した後ほどの営業電話が煩わしいですが、無料の一括サイト(【無料】資料請求【タウンライフ土地活用】)に登録するのも手です。

東証に上場している大手事業者から事業計画の提案を受けることが可能です。そうすると事業者別に相場が見えてくるので、あとは自分と相性の合う事業者と話を進めるのが良いと思います。

なお、業者選別の際には、私個人としては入居者のトラブル防止の面で音と断熱に力を入れていない事業者は外すべきです。

特に賃貸経営の場合、音に関しては建築基準法の現行基準では音が気になるレベルですので、法よりもグレードの高い住宅性能表示制度を活用するのが良いと思います。

不動産投資は利回りも大事ですが、外観や間取り、設備機能などのグレードにより居住者層が変わるので地域が若返る可能性もあります。
これら事業は単に住宅の供給のみならず、工夫次第で地域のまちづくりに及ぼす影響が大きく、社会的にも地域に貢献できる事業なので、事業者選びは慎重に建築費の安さだけで決めないことが事業を成功させるポイントだと思います。

都市規模や土地の諸条件にもよりますが、中期的な投資としては不動産賃貸経営が安定しやすいのではと思います。

一方で将来的な土地処分方法に迷っているのであれば一時的に駐車場経営も考えられます。

土地活用❷:駐車場経営

広い敷地が特徴的な第一種低層住居専用地域ですが、地域によっては最低敷地限度が小さく設定されていることで、駐車場用地を確保することできていない住宅もあります。

その一方で、郊外の住宅団地に指定されることが多いため自家用車による移動があたり前のような地方都市ですと、潜在的な駐車場不足に陥っていることも考えられます。

そのため、地域内で任意協定により青空駐車場(月極又はコインパーキング)が禁止されている地域でなければ駐車場経営も考えられます。また、カーシェアリングステーションも検討の一つになります。

ただし、駐車場に屋根を設置すると建築物となり第一種低層住居専用地域では単独車庫の建築が禁止されていますので注意してください。

現代では、空きスペースを有効活用して収益える仕組み(空きスペースを貸し出ませんか【akippa】)もできていますので、必ずしも不動産事業者を通して利用者を募集する必要もなくなっていますので、経営の自由度は高くなっています。

ひとまず、駐車場経営にして寝かせておくのも選択肢の一つとして考えてよいと思います。

土地活用❸:グループホーム・サ高住

特に地方で顕著ですが、2040~50年頃まで一貫して増加し続け、その後高齢者数は減少しはじめていきます。

このことに伴い、サービスが付帯する高齢者向けの住宅重要が増加していくことは私が伝えなくても日本国内に住んでいる方なら想定できていると思います。

とはいえ、高齢者の方々も健康寿命が延びていますので今の70歳と10年後の70歳では健康度合いが全く異なると思いますので、グループホームの需要ピークは想定よりももう少し先にありそうだと思います。

ちなみに、郊外の住宅団地ですと築造年が古く30〜50年以上経過していることもありますので、あと5〜10年も経過すれば、20代・30代で建築した方々が高齢者になる頃で、家族が心配して生活上のサービスを受けることができるグループホームやサービス付き高齢者向け住宅を探すので寿命としては相当伸びるのではと考えています。

番外編❶:やってはいけない活用方法

屋根付き駐車場経営、単独倉庫やトランクルームは違法になります。

第一種低層住居専用地域でやってはならない土地活用方法は、単独車庫やトランクルーム・倉庫経営などの一定の需要はあっても建築基準法に違反する活用方法です。

くどいですが、低層住宅地では住環境保護が目的のため、車の集散によって居住環境を悪化させる恐れのある駐車場や倉庫といった建築物は禁止されています。

簡単に動かせるからと言ってコンテナ倉庫を置いたりしたら違反者となりますので注意が必要です。

ちなみに、駐車場に関しては屋根が設置されればOUTで、屋根がなければ良いということになってしまい、なんとも矛盾している部分はありますが、、、

仮に、違法な行為を行ってしまうと100万円以下の罰金に処される可能性があるので注意が必要です。加えて、近隣住民から厄介者扱いされてビジネスがし難くなります。

番外編❷:売却

売却して便利な中心市街地に移住するのも一つの手段です。

第一種低層住居専用地域は郊外の住宅地団地であることが多く自家用車を基本するライフスタイルに依存している世帯が多いため総じて公共交通が脆弱であるケースが多いです。

私が携わっていた行政も多くが公共交通が脆弱で一日に数本しか運行しない地域に多くの高齢者がが居住されているケースも何度も見てきました。

この場合、体の自由が効かなくなった段階で自家用車をなるべく利用しない生活に戻そうにも公共交通が利用し難いため生活が不便です。

都市全体で人口増加が進んでいる地域であれば公共交通が充実する可能性はわずかながら残されていますが、そうではなく、地方都市のように人口減少が深刻であれば若い世代に売却して自分は便利な地域に移住するのも一つの選択肢になり得ると考えられます。

何十年も慣れ親しんだ地域から移住するのは確かに大変ですし、移住した後のコミュニティを心配される方もいます。確かに苦労はありますが、便利な中心部はそうした方々が少しづつ移住してコミュニティを形成しているこも少なくはないですので、一度、移住を考えても良いかなと思う地域があれば何日間か滞在して見るのも手です。

番外編❸:太陽光発電

太陽光発電単体でも事業については、事業用としては敷地面積が狭いため回収に要する期間は最低でも20年は要すると考えられます。
*複数宅地を利用できる状況であれば固定資産税や維持管理コストとの採算性を計算して事業化することも考えられなくはないです。

現時点での数値ですので、個人の意見としては、売電価格の推移や、今後、住宅地での需給調整市場の開放による動向によって変わってきますので、一低層地での太陽光発電は、不透明な事業とみています。

太陽光を設置するのであれば、賃貸住宅やグループホームの屋根や附属車庫上に設置して自家消費の方が電力料が少なく済み、何よりも性能の高い蓄電池を設置することで災害時にも強く住宅としての付加価値も付きますのでおすすめです。

将来的な住宅地での需給調整市場(地域・エリア単位での仮想発電所)にも参入できると考えられますので、蓄電池とセットで検討するのは有りです。

蓄電池についてはこちらの記事を読んで頂けますと嬉しいです。

補足

どのような土地利用が稼ぎやすいかは、土地の諸条件によって異なるため、このブログでは一概には言えないのが申し訳ないところです。

都市計画的・まちづくりの観点からみると、第一種低層住居専用地域は戸建て住宅専用地(一部、兼用住宅も可)としてのイメージが強いですし、そうしたまちづくりを多くの地域で進めてきた実態があります。(国民の夢のマイホームの実現を後押しつつ住宅着工で建設GDPを増加させてきた。)

とはいえ、現代では、造成年・建築年を30年・40年・50年と過ぎ、オールドタウン化している地域が多くあります。

このため、早期に世帯の若返りを図らないと限界団地(消滅団地)と言われかねない自体に陥ることに悩みを抱えている自治体・まちづくり団体は数多くあります。

そういった視点からも地域にどのような投資が良いのか相談できる不動産事業者がパートナーにいれば地域貢献と稼ぐを両立させることができるのと同時に地域からの信頼も得られますので、次の事業展開も考えられます。

まずは土地の利用・処分を急がずに地域の実情・実態を調べてみるのも一つの手段かと思います。そのようなお手伝いであれば、いつでもお受けいたしますのでお気軽にご相談ください。

それではこちらの記事が参考になりましたら幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など