この記事では、改正建築基準法の2023年4月1日施行に伴い、宅建業法第35条・同法施行令第3条が改正されますので、その内容を簡単に簡単に解説しています。
ちなみに、令和5年4月1日施行ですので令和5年宅建士試験の対象でもありますので、令和5年度に宅建士試験を受験される方はぜひ、チェックしていただければと思います。
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重説対象に2つの条項が追加
宅地建物取引業法第35条第1項第2号に基づく制限に次の条項が加えられます。
令和4年に公布された脱炭素関係の法律(正式名称:脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律)の1年以内施行に伴う建築基準法の改正によるものです。
緩和の概要としては、脱炭素に効果のある太陽光パネル等の設置などによって絶対高さ制限を超えてしまう場合であっても、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可すればその許可の範囲内で高さ制限を超えてもOKとする新たなルールとなります。
それぞれの新しく追加される法文はこちらです。
再生可能エネルギー源(太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものをいう。第58条第2項において同じ。)の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、前2項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
建築基準法第55条第3項 令和5年4月1日施行
※一種低層地域内の絶対高さ制限の概要を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。>>>第一種低層住居専用地域内における建築物の高さの限度とは?
前項の都市計画において建築物の高さの最高限度が定められた高度地区内においては、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、同項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、当該最高限度を超えるものとすることができる。
建築基準法第58条第2項 令和5年4月1日施行
※高度地区の概要を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
>>>【高度地区とは?】都市計画法に定める高度地区を分かりやすく解説
対象となる再生可能エネルギー源
具体的な対象は、国土交通省令(下記)で定められており、さらに詳細は技術的助言により国の考えが示される予定ですが、イラストの方が理解しやすいので、国交省で作成している資料を引用します。
- 屋根を再生可能エネルギー源の利用に資する設備として使用するための工事
- 再生可能エネルギー源の利用に資する設備を屋根に設ける工事
- 建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な屋根を通しての熱の損失の防止のための工事
- 建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な空気調和設備その他の建築設備を屋根に設ける工事
詳細は、技術的助言で示される予定ですので、内容が分かり次第、こちらの記事を更新します。
補足・まとめ
実際、実務上で一種低層地域で高さ限度を超えるために建築審査会での同意+特定行政庁の許可を取得することが考えられるのかと言いますと、絶対に無いわけではないですが、相当手続きに時間のかかる建築審査会案件で建築しようとする建築主+設計者は少ないのでは…と思います。
とはいえですが、既存建築物を改修するケースで絶対高さ制限に抵触する場合には考えられなくはないと思います。
いずれにしても、施行直後から許可を受ける案件は考えられませんし、母数的にも相当少ないと思いますので、建物取引で遭遇する確率は1%未満と言っていいと思います。
重要事項説明の対象となりますので、建物取引においては、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域、高度地区内であれば、建築基準法第55条第3項許可及び第58条第2項の許可書の有無について一応は売主に確認する必要があります。
ということで以上となります。こちらの記事が参考となりましたら幸いです。
>>>建築基準法に関する重要事項説明一覧表はこちら。
※いずれも建築審査会で同意の上、特定行政庁の許可が必要となります。