耐火建築物や準耐火建築物としなければならない建築物のまとめ

この記事では、建築初心者向けに耐火建築物や準耐火建築物としなければならない建築物について解説しています。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
過去の建築・都市に関する行政経験を活かして建築士や不動産関係者のためになる情報を発信しています。

今回の記事を読むことで、どういった建築物の用途・規模が耐火建築物や準耐火建築物としなければならないかを理解(あくまでも基本)することが可能になると思われます。




耐火建築物や準耐火建築物が求められるのは法第27条と法第61条

はじめに基本的な制限を説明します。

建築基準法では不特定多数が利用する建築物や密集した市街地の建築物について、建築物の規模や用途に応じて、火災時における延焼防止や避難時間・経路などを確保する観点から、通常の建築物よりも防火性能が高い『準耐火建築物または耐火建築物』とする事を求めています。

こうした防火性能が高い建築物は、鉄骨造に耐火被覆を設けたり、鉄筋コンクリート構造としたり、また、開口部から火炎が入り込んだり自ら外に出さないよう窓ガラスを網目入りのガラスにするなど、様々な防火措置が必要となります。

なお、現在では、木造構造でも耐火被覆等を行うことで耐火建築物とすることが可能となっていますので、10年以上前に比べると設計の自由度が高くなっています。

では、この法第27条と法第61条ですが、次のように定められています。

  • 法第27条:耐火建築物等としなければならない建築物
    👉特殊建築物についての規定
  • 法第61条:防火地域及び準防火地域内の建築物
    👉都市計画で防火地域・準防火地域に定めた建築物についての規定

 

法第27条については、平成30年の改正により一部緩和されており、そのときの内容について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

建築基準法第27条(耐火建築物等)のまとめ[改正概要など]

2018-08-18

 

また、法第61条についてはこちらの記事をご覧ください。

「準防火地域」と「防火地域」の基本的な解説

2018-12-29

耐火建築物等としなければならない建築物

それではここから準耐火建築物や耐火建築物等としなければならない特殊建築物の用途について説明していきます。

建築基準法第27条では、第1項の規定において複雑に書かれていますが、基本としては次のように覚えればOKです。

なお、特定避難時間という文言が出てきますが、国土交通大臣認定品や告示仕様に基づかない方法よる構造にしようとする場合に用いるので、告示の内容を理解した方が良いのはもちろんですが、基本的には準耐火構造(ロ準耐も一部含む)や耐火構造とすれば法はクリアします。

なお、次から説明する各号及び各項建築物ごとに準耐火構造または耐火構造する規定が決められています。

第1項一号建築物

一号建築物は、3階以上の階を次の用途に供するものが対象となり、原則として主要構造部を耐火構造や避難時倒壊防止構造、耐火性能検証法により確かめれられた構造とする必要があります。なお、共同住宅及び学校については1時間準耐火構造とすることも可能です。

用  途
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの

注)政令未制定

病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第1号:児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)

学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第2号:博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場

百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第3号:公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を含む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)

なお、次の全てに該当する建築物については一号建築物から除外されます。

  • 延べ面積が200㎡未満
  • 3階以下
  • 病院、診療所(病床有)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(寝室有)
  • 警報設備の設置(建築基準法施行令第110条の5に適合するもの)

 

別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもの(階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(2)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)

第1項二号建築物

二号建築物については、次の用途に供する部分の床面積の合計が次の面積以上となる場合です。なお、劇場等については客席部分、病院や店舗の場合には2階部分の面積となります。

原則として主要構造部を準耐火構造・ロ準耐火(劇場等を除く)、耐火構造や避難時倒壊防止構造、耐火性能検証法により確かめれられた構造とする必要があります。

用途 床面積
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの

注)政令未制定

[客席部分の面積]
200㎡(屋外外観覧席にあつては、1,000㎡)以上
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第1号:児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)

[2階部分の面積]
300㎡以上
学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第2号:博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場

2,000㎡以上
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第3号:公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を含む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)

[2階部分の面積]
500㎡以上

 

別表第一(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(1)項の場合にあつては客席、同表(2)項及び(4)項の場合にあつては2階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの

第1項三号建築物

原則として主要構造部を耐火構造や避難時倒壊防止構造、耐火性能検証法により確かめれられた構造とする必要があります。

用途 床面積
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの

※施行令第115条の3第3号:公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を含む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)

3,000㎡以上

 

別表第一(い)欄(4)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡以上のもの

第1項四号建築物

原則として主要構造部を耐火構造や避難時倒壊防止構造、耐火性能検証法により確かめれられた構造とする必要があります。

用途
劇場、映画館、演芸場
注)主な階が1階部分にないもの(2階以上の部分に主階がある)

なお、階数が3階以下で、延べ面積が200㎡未満のものは除かれます。

劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のものを除く。)

第2項建築物

第2項建築物については、必ず耐火建築物としなければなりません。

用途 床面積等
倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの

※政令未制定

200㎡以上(3階以上の部分の合計)
自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの

※政令:施行令第115条の3第4号:映画スタジオ、テレビスタジオ

3階以上の階

 

次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。

  • 別表第一(い)欄(5)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(5)項に該当するもの
  • 別表第一(ろ)欄(6)項に掲げる階を同表(い)欄(6)項に掲げる用途に供するもの

第3項建築物

第3項建築物については、準耐火建築物または耐火建築物としなければなりません。
なお、自動車車庫等については、ロー1準耐火建築物(外壁耐火構造)とすることはできません。

用途 床面積等
倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの

※政令未制定

1,500㎡以上
自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの

※政令:施行令第115条の3第4号:映画スタジオ、テレビスタジオ

150㎡以上
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物 別表第2(と)項四号の危険物、施行令第116条参照
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(6)項に掲げる用途に供するものにあつては、第2条第9号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。
  • 別表第一(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
  • 別表第二(と)項第四号に規定する危険物(安全上及び防火上支障がないものとして政令で定めるものを除く。以下この号において同じ。)の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの(貯蔵又は処理に係る危険物の数量が政令で定める限度を超えないものを除く。)

第1項の構造及び方法の基準について

ここからちょっとだけ複雑な説明となります。

この建築基準法第27条は、第2項及び第3項の規定が耐火建築物または準耐火建築物とすることが求められるのに対し第1項の規定については、基準が政令に構造が告示に定められており、また、令和2年2月の告示改正もあって、かなり複雑です。

基準と構造ですが、法令では次のように定められています。

[建築基準法第27条第1項抜粋]
次の各号のいずれかに該当する特殊建築物はその主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

👉技術的基準:建築基準法施行令第110条
👉構造方法:平成27年国交告第255号

はじめに技術的基準ですが、次のように定められています。

ポイントとしては、特定避難時間という用語です。特定避難時間とは、特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間

[建築基準法施行令第110条]
主要構造部の性能に関する法第27条第1項の政令で定める技術的基準は、次の各号のいずれかに掲げるものとする。
一 次に掲げる基準

イ 
次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後それぞれ同表に掲げる時間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
間仕切壁(耐力壁に限る。)
特定避難時間(特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間をいう。以下同じ。)(特定避難時間が45分間未満である場合にあつては、45分間。以下この号において同じ。)
外壁(耐力壁に限る。)
特定避難時間
特定避難時間
特定避難時間
はり
特定避難時間
屋根(軒裏を除く。)
30分間
階段
30分間

ロ 
壁、床及び屋根の軒裏(外壁によつて小屋裏又は天井裏と防火上有効に遮られているものを除く。以下このロにおいて同じ。)にあつては、これらに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後特定避難時間(非耐力壁である外壁及び屋根の軒裏(いずれも延焼のおそれのある部分以外の部分に限る。)にあつては、30分間)当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。

ハ 
外壁及び屋根にあつては、これらに屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後特定避難時間(非耐力壁である外壁(延焼のおそれのある部分以外の部分に限る。)及び屋根にあつては、30分間)屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。

二 第107条各号又は第108条の3第1項第一号イ及びロに掲げる基準
👉第107条:耐火構造に求められる耐火性能
👉第108条の3第1項第一号:耐火性能検証法

次に構造方法ですが、要約すると次のように定められています。

番号 内容
第1 法第27条第1項の規定に基づき、同項に規定する特殊建築物の主要構造部の構造方法
第2 法第27条第1項に規定する特殊建築物の延焼するおそれがある外壁の開口部に設ける防火設備の構造方法
第3 建築基準法施行令第110条の2第二号の規定に基づき、他の外壁の開口部から通常の火災時における火炎が到達するおそれがあるもの

でもって、非常に重要となるのが『第1』の部分となります。

第1については、さらに第1〜第8項まで規定されています。詳しくは国土交通省のホームページにおいて告示を確認することができます。この平成27年告示を読み解くことで、第1項建築物の

内容
第1項 主要構造部の構造方法

一号:避難時倒壊防止構造
二号:法第27条第1項第二号に該当する建築物(劇場等の法別表(1)項建築物を除く)の構造方法(準耐火構造またはロ準耐火)
三号:3階建ての共同住宅等(1時間準耐火構造)
四号:3階建ての学校等(1時間準耐火構造)

第2項

避難時倒壊防止構造

一号:耐力壁
二号:非耐力壁
三号:柱
四号:床
五号:はり
六号:軒裏

第3項

特定避難時間防火設備

第4項

固有特定避難時間の計算方法

第5項

補正固有特定避難時間の計算方法

第6項

上階延焼抑制防火設備

第7項

必要遮炎時間の計算方法

第8項

施行令第110条第二号に掲げる基準に適合する法第27条第一項に規定する特殊建築物の主要構造部の構造方法(耐火構造又は耐火性能検証法)

まとめ

以上が建築基準法第27条に規定される耐火建築物等としなければならない建築物となります。基本的には、特殊建築物とされる建築物のうち、比較的規模の程度が大きい建築物が対象となります。

この記事をご覧になった方の参考となれば幸いです。