耐火建築物・準耐火建築物が必要な建築物|法21条・27条・61条を整理

建築物に耐火・準耐火性能が必要になる主な入口は、建築物の規模、用途、立地の3つです。この記事では、建築基準法第21条・第27条・第61条を中心に、どの規定から防耐火性能の要求が生じるかを整理します。

「鉄筋コンクリート造なら大丈夫」「防火地域でなければ関係ない」と構造種別や地域だけで判断するのではなく、計画ごとに3つの入口をすべて確認することが重要です。

先に答え

耐火・準耐火の要求は、法第21条・第27条・第61条のどれか一つだけで決めるものではありません。同じ建築物に複数の規定がかかる場合は、すべての要求を満たす構造・防火設備を選びます。


最初に確認する3つの規定

規模

法第21条

可燃材料を用いる大規模建築物について、階数・高さ・延べ面積などから必要な性能を確認します。

用途

法第27条

劇場、共同住宅、学校、店舗、倉庫、車庫などの特殊建築物について、用途・階・床面積から確認します。

立地

法第61条

防火地域・準防火地域内の建築物について、地域区分と規模から必要な性能を確認します。

複数に該当する場合は、それぞれの規定を満たす必要があります。例えば、防火地域内にある特殊建築物は、法第27条だけでなく法第61条も確認します。要求が異なる場合は、計画全体としてすべてを満たす仕様を選定します。

「耐火構造」と「耐火建築物」は別の用語

耐火構造・準耐火構造は、壁、柱、床、はりなどの建築物の部分に対する構造区分です。一方、耐火建築物・準耐火建築物は、主要な構造部分に加えて、延焼のおそれのある部分の外壁開口部に防火設備を設けることなどを含む建築物全体の区分です。

したがって、「柱や壁が耐火構造だから、その建物は自動的に耐火建築物」という判断はできません。また、鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造という構造種別だけでも決まりません。詳しくは、耐火構造と耐火建築物の違いをご覧ください。

法第27条:特殊建築物の用途・階・床面積

法第27条は、劇場、共同住宅、学校、店舗、倉庫、車庫などの特殊建築物について、用途・その用途に供する階・床面積から必要な防耐火性能を決める規定です。第1項から第3項では要求の組み立てが異なるため、最初にどの項へ該当するかを分けます。

別表第1の(い)欄は用途、(ろ)〜(に)欄は階・床面積等の基準です。確認申請上の「1号建築物」の200㎡超とは別の判定なので、混同しないようにしてください。用途表の読み方は、建築基準法別表第1と1号建築物の違いで整理しています。

第1項特定主要構造部+防火設備

避難完了までの倒壊・延焼防止性能。令第110条と告示第255号へ進む。

第2項耐火建築物

倉庫・車庫等のうち、別表第1(ろ)欄・(は)欄の条件に該当するもの。

第3項耐火または準耐火建築物

別表第1(に)欄に該当する倉庫・車庫・危険物施設等。

第4項火熱遮断壁等による別棟みなし

所定の区画で、法第27条の適用上それぞれ別の建築物として扱う。

第1項の対象となる用途・規模

用途区分階による条件床面積等による条件補足
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等3階以上の階をその用途に供するもの客席部分200㎡以上
屋外観覧席は1,000㎡以上
劇場・映画館・演芸場は、主階が1階にない場合も対象
病院、病床のある診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、一定の児童福祉施設等3階以上の階をその用途に供するもの2階の対象部分300㎡以上病院・診療所は2階に患者の収容施設がある場合
学校、体育館、博物館、美術館、図書館、一定の運動施設等3階以上の階をその用途に供するもの対象用途部分2,000㎡以上施行令第115条の3による類似用途を含む
百貨店、マーケット、展示場、飲食店、物品販売店舗、遊技場等3階以上の階をその用途に供するもの2階の対象部分500㎡以上
対象用途部分3,000㎡以上
床面積10㎡以内の物品販売店舗を除く類似用途あり
表1 建築基準法第27条第1項・別表第1の要約

第1項第一号は、別表第1(ろ)欄の階を(い)欄(1)項から(4)項までの用途に供するものを対象にします。第二号は別表第1(は)欄の床面積、第三号は(い)欄(4)項用途の床面積3,000㎡以上、第四号は劇場・映画館・演芸場の主階の位置から判定します。「対象用途が何階にあるか」「対象部分の床面積はいくらか」「劇場等の主階はどこか」を分けて確認してください。

第1項は「耐火建築物にする」とだけ書かれた規定ではない

第1項で求めているのは、特殊建築物にいる全員が地上まで避難を終えるまで、通常の火災による倒壊・延焼を防止できる特定主要構造部と、一定の外壁開口部に設ける防火設備です。

特定主要構造部とは、主要構造部のうち、防火上・避難上支障がないものとして政令で除かれる部分以外の部分です。2024年施行の改正後は、条文・告示とも「主要構造部」ではなく、この用語で確認します。

1

法第27条第1項
用途・階・床面積から該当確認

2

令第110条
第1号または第2号の性能基準を選択

3

告示第255号
構造方法・防火設備・対象開口部を照合

4

関連告示・認定
採用仕様と認定番号を設計図書へ反映

図1 法第27条第1項を設計図書へ落とし込むまでの確認順序

令第110条第1号:告示第255号または大臣認定によるルート

令第110条第1号は、通常の火災が発生した場合に、在館者が地上まで避難を終えるまで特定主要構造部が倒壊せず、かつ、建築物の周囲へ延焼しない性能を求める基準です。適合方法は、告示第255号第一の構造方法を用いるか、法第27条第1項の大臣認定を受ける方法になります。

具体的な構造方法は、平成27年国土交通省告示第255号「建築基準法第二十七条第一項に規定する特殊建築物の特定主要構造部の構造方法等を定める件」の第一で確認します。

告示第255号第一には、避難時間や部位性能を詳細に検証する方法だけでなく、法第27条第1項第二号に対応する方法、3階建て共同住宅等に対応する方法、3階建て学校等に対応する方法も定められています。したがって、第1項に該当したから一律に45分準耐火でよい、または準耐火建築物なら何でもよい、という判断はできません。

設計初期に決定する事項

耐火性能を確保する方法とするのか、告示第255号第一のどの号を使うのかで、必要な直通階段、バルコニー、外周通路、防火設備等が変わります。平面計画が固まってから適用方法を変更すると、避難計画まで戻ることがあります。

令第110条第2号:耐火構造等によるルート

令第110条第2号は、令第109条の5の基準を用いるルートです。一般的には、特定主要構造部を耐火構造とする方法、耐火性能検証法による方法、国土交通大臣の認定を受けた構造方法などを検討します。

告示仕様の耐火構造を採用する場合は、平成12年建設省告示第1399号を部位・要求時間ごとに照合します。認定仕様を使う場合は、認定書の材料、厚さ、下地、留付け方法、目地処理まで設計図書と施工を一致させる必要があります。

令第110条の2つのルートを設計実務で比較

比較項目令第110条第1号令第110条第2号
考え方避難が終わるまで倒壊・延焼を防ぐ性能令第109条の5に定める耐火性能等を確保
主な確認資料告示第255号、避難計画、各部の準耐火仕様告示第193号、告示第1399号、耐火性能検証法、個別認定
設計初期への影響採用する号により、直通階段、バルコニー、外周通路等の前提条件が平面計画に影響部位ごとの要求時間と被覆・認定仕様が構造、断面、仕上げに影響
見落としやすい点一律に「45分準耐火」と判断しないこと認定の適用範囲と実際の納まりを一致させること
確認申請図書採用する号と条件が分かる平面図・避難計画・防火設備・仕様表部位別性能表・認定番号・標準詳細図・建具表
表2 施行令第110条第1号・第2号の設計実務上の違い

法第27条で関係する主な告示

告示主な役割実務で見るところ
平成27年国土交通省告示第255号法第27条第1項の中心となる告示第一:特定主要構造部
第二:外壁開口部の防火設備
第三:他の開口部から火炎が到達するおそれのある開口部
平成12年建設省告示第1399号耐火構造の構造方法壁・柱・床・はり・屋根・階段の要求時間と仕様
平成12年建設省告示第1358号準耐火構造の構造方法告示第255号のルートで準耐火構造を採用する場合の部位別仕様
令和元年国土交通省告示第195号1時間準耐火基準に適合する構造方法1時間準耐火の措置を採用する場合の部位別仕様
表3 法第27条に関係する主な告示。申請時点の最新本文・認定内容を使用します。

告示第255号は制定後も改正されています。古い解説図や過去の告示本文をそのまま使わず、現在の「特定主要構造部」という用語を含む最新版と、採用する構造方法の告示・認定をセットで確認してください。

先に整理したい「○○建築物」という用語

告示第255号と関連資料には、似た名称の建築物・構造・防火設備が続けて登場します。ここを曖昧にしたまま読むと、建築物全体の呼び方と、一つの部位に必要な性能を取り違えます。先に現在使われている用語と、古い資料に残る用語を分けておきます。

用語位置付けこの記事での読み方
特殊建築物建築基準法上の用途による区分共同住宅、学校、店舗、倉庫、車庫等のうち、法第27条・別表第1で対象となる建築物。構造方式の名称ではない
避難時倒壊防止建築物国土交通省の解説資料で使われる説明用の呼称告示第255号第一第1項第一号の「避難時倒壊防止構造」を用いた建築物。現行告示がこの名称を定義しているわけではない
特定避難時間倒壊等防止建築物過去の法令・古い解説資料に登場する旧用語現行法令の適用判断にはそのまま使わない。現在は「特定主要構造部」「避難時倒壊防止構造」等の現行用語へ読み替えて確認
耐火構造建築物上記旧用語と対になって古い資料に登場する旧用語現在は令第110条第2号と告示第255号第一第8項に適合する構造方法として確認
火災抑制等建築物令和7年国土交通省告示第996号で定める現行の建築物区分一定の延焼抑制措置等を備えた建築物。告示第255号第一第1項第三号の外周通路を1.5m以上とできる場合などで登場
「○○建築物」という名称の整理。古い資料は、その資料の基準日と現行条文を照合します。
覚え方

「避難時倒壊防止建築物」は建物全体を説明する呼び方、「避難時倒壊防止構造」は壁・柱・床・はり等に採用する構造方法です。確認申請図書では、通称だけで済ませず、法第27条第1項・令第110条・告示第255号第一の採用箇所を記載します。

構造・防火設備・時間を表す用語

用語簡単にいうと告示内での役割
特定主要構造部主要構造部のうち、火災時の倒壊・延焼防止に必要な部分告示第一で構造方法を決定
避難時倒壊防止構造在館者の避難等に必要な時間、火災に耐える構造告示第一第2項で、壁・柱・床・はり等の部位別に基準を規定
特定避難時間防火設備避難に必要な時間に応じた遮炎性能を持つ防火設備階段室とバルコニー・付室等の出入口に使用
上階延焼抑制防火設備出火開口部から上階等への火炎の回り込みを抑える防火設備必要遮炎時間に応じて告示第一第6項で性能を決定
実特定避難時間避難・消防隊の到着や活動等を組み合わせた基礎時間固有特定避難時間等を求める計算の出発点
固有特定避難時間実特定避難時間を火災温度上昇係数で補正した時間被覆型の部材・階段室の壁・防火設備等の必要性能を決める基準
補正固有特定避難時間実特定避難時間を木材の炭化速度で補正した時間防火被覆を設けない木質部材の燃えしろ等を決める基準
告示第255号を読むための主要用語。厳密な定義・算式は告示第一第2項から第7項までで確認します。
計画条件避難・消防活動
基礎時間実特定避難時間
被覆型等固有特定避難時間
または
燃えしろ型補正固有特定避難時間

告示第255号は「第一・第二・第三」を分けて読む

告示第255号が分かりにくい最大の理由は、一つの告示の中で、建築物の構造方法、防火設備の仕様、開口部相互の延焼範囲という別の判断を定めていることです。最初に次の三つへ分解すると読みやすくなります。

第一特定主要構造部

令第110条第1号・第2号に適合する構造方法

第二延焼ラインの開口部

令第110条の3に適合する20分間防火設備

第三開口部相互の延焼

出火側開口部から火炎が到達する範囲の定義

ここが実務上の答え

法第27条第1項の建築物を、令第110条第2号・告示第255号第一第8項に適合する構造とし、延焼のおそれのある部分の開口部へ防火設備を設ける方法は選択できます。実務上「耐火建築物としてまとめる」と説明される方法です。一方、準耐火建築物とする場合は、一般的な準耐火仕様を選ぶだけでは足りず、告示第255号第一のどの号に該当するか、その号に定める避難・外周通路・開口部等の条件まで満たす必要があります。

第一:採用できる構造方法を決める

第一第1項は、令第110条第1号に適合する構造方法を建築物の区分ごとに定めています。複数の号に該当する場合は、告示本文上、その複数の号に定める構造方法のうち、いずれかを選べます。主な区分は次のとおりです。

告示第一対象・考え方構造方法と主な条件
第1項第一号避難時間・火災継続・部位性能を詳細に扱う方法準耐火構造とし、特定主要構造部は避難時倒壊防止構造。直通階段、上階延焼抑制防火設備、自動火災報知設備、外周通路等の条件を満たす
第1項第二号法第27条第1項第二号に該当する建築物のうち、他の所定区分と重ならないもの準耐火構造または令第109条の3各号に適合する構造
第1項第三号3階を下宿・共同住宅・寄宿舎に使う3階建てで、防火地域外にあるもの1時間準耐火基準に適合する準耐火構造。避難上有効なバルコニー等、外周通路、区域に応じた開口部の防火設備等が条件
第1項第四号3階を学校・体育館・博物館・図書館・一定の運動施設等に使う3階建て1時間準耐火基準に適合する準耐火構造。原則として周囲に幅員3m以上の通路が必要
第8項令第110条第2号の基準を用いる場合令和元年国土交通省告示第193号第一第1項第一号・第二号または第二に適合する構造
告示第255号第一の主な選択肢。適用除外・重複条件を含む正確な対象は告示本文で確認します。

第一第2項から第7項までは、避難時倒壊防止構造、特定避難時間防火設備、固有特定避難時間、上階延焼抑制防火設備等の性能・計算方法を定めています。特に第一第1項第一号は、単に「何分準耐火」と決める方法ではなく、避難計画、消防活動、外装・内装、開口部、部材の火災時性能を一体で確認する方法です。

第二:延焼のおそれのある部分の開口部

第二は、令第110条の3に適合する防火設備の構造方法として、令第137条の10第一号ロ(4)の20分間防火設備を定めています。これは、隣地境界線、道路中心線、同一敷地内の建築物相互の外壁間中心線等から算定する「延焼のおそれのある部分」にある外壁開口部の措置です。

したがって、耐火性能のある構造方法を採用した場合も、建物本体だけを確認して終わりではありません。配置図で延焼ラインを示し、平面図・立面図・建具表へ防火設備の種別と認定番号を反映します。

第三:別の開口部から火炎が到達する範囲

第三は、令第110条の2第二号にいう「他の外壁開口部から火炎が到達するおそれのある外壁開口部」を定めます。ただし、第1項建築物のすべてに一律適用される規定ではありません。現行告示では、主に次の建築物が対象です。

  • 告示第一第1項第四号の建築物を、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造(耐火構造を除く)としたもの
  • 法第27条第1項第一号に該当し、令第110条第1号に適合するものとして大臣認定を受けた特殊建築物
1

出火側開口部
除外対象か確認

2

B・H・L
開口寸法とひさし・袖壁

3

火炎到達範囲
水平・垂直距離を算定

4

対象開口部
防火設備を図書へ反映

出火側開口部から除外できるもの

第三の計算を始める前に、火炎の出発点となる「他の外壁開口部」から除外されるものを確認します。代表的な除外は次のとおりです。

除外区分告示上の概要
自動消火設備等スプリンクラー設備等が設けられ、または消火上有効な措置が講じられた室の開口部
準不燃の天井天井の室内仕上げを準不燃材料とした室の開口部。ただし床面積40㎡以下の室を除く
火災荷重の小さい室機械室、不燃物品の保管室、便所等で、壁・天井の室内仕上げを準不燃材料とした室の開口部
一定の通路上記の室のみに隣接する通路等、防火上支障のない通路の開口部
既設の防火設備法第2条第九号の二ロの防火設備を設けた開口部
小開口高さ0.3m以下、または開口面積0.2㎡以内の開口部
告示第255号第三で、出火側開口部から除外される主なもの

水平・垂直の火炎到達範囲

除外されない出火側開口部について、開口部下端の中心点を起点に、水平・垂直上方の火炎到達範囲を計算します。計算距離と最大距離の短い方を採用します。

方向計算式最大距離
水平(2/3)Y(1-0.5L)+(1/2)B3+(1/2)B
垂直
B/H<2
(H+1.1B)(1-0.5L)+H6.2+H
垂直
B/H≧2
3.2H(1-0.5L)+H6.2+H
告示第255号第一第1項第一号ロの表一・表二。第三はこの計算式を準用します。
B

出火側開口部の幅

H

出火側開口部の高さ

Y

垂直移動距離と最大垂直移動距離の短い方

L

水平計算では側部の袖壁等、垂直計算では上部のひさし等の突出距離

同じ記号Lでも、水平計算では開口部側部の袖壁等、垂直計算では開口部上部のひさし等を意味します。また、開口部周囲の外壁仕上げが木材等の可燃材料の場合は、その外壁部分もB・Hへ含めます。単純なサッシ寸法だけで計算しない点が重要です。

計算範囲内にある開口部でも、令第110条の2第一号の延焼のおそれのある部分にある開口部や、出火側開口部と同じ防火区画内の開口部は、第三による追加対象から除かれます。前者は、すでに第二・令第110条の3側で防火設備を求められるためです。

告示第255号を確認申請図書へ反映する順序

  1. 法第27条第1項の何号に該当するかを確定する
  2. 令第110条第1号・第2号のどちらを採用するかを決める
  3. 告示第255号第一の採用箇所と、満たす条件を法令チェック表へ明記する
  4. 延焼のおそれのある部分を配置図・立面図へ記載し、第二の防火設備を建具表へ反映する
  5. 第三の対象ルートであれば、出火側開口部、B・H・L、火炎到達範囲を立面図等へ記載する
  6. 各部の告示仕様・大臣認定番号と、図面上の材料・厚さ・納まりを一致させる

現行の告示本文は、建築行政情報センターの法令データベースでテキストとして確認できます。告示は改正回数が多いため、確認申請時点の本文を使用してください。

外壁開口部は令第110条の2・第110条の3と告示第255号を確認

法第27条第1項は、特定主要構造部だけで終わりません。防火設備が必要になる外壁開口部は、令第110条の2により次の二つに整理されます。

① 延焼のおそれのある部分にある外壁開口部 隣地境界線・道路中心線等 延焼のおそれのある部分 建築物 対象となる 外壁開口部 境界線等から1階3m・2階以上5mの範囲(原則)

配置図で境界線・道路中心線等からの範囲を示し、その範囲にかかる外壁開口部を各階平面図・立面図・建具表へ反映します。

② 他の外壁開口部から火炎が到達するおそれのある外壁開口部 2階1階 出火側開口部 上階の対象開口部 同一階の対象開口部 通常火災時の火炎到達を検討 具体的な対象範囲は告示第255号第三で確認

同一建築物では、出火側開口部に対する上階・同一階等の位置関係を立面図で確認し、告示第255号第三に該当する開口部へ防火設備を反映します。

図2 令第110条の2で確認する外壁開口部の概念図(模式図・縮尺なし)
  1. 延焼のおそれのある部分にある外壁開口部
  2. 他の外壁開口部から、通常火災時の火炎が到達するおそれがあるものとして告示で定める外壁開口部

一つ目は令第110条の3・告示第255号第二により確認します。二つ目は告示第255号第三の対象となる構造方法を採用した場合に確認します。開口部相互の火炎到達判定は第1項建築物すべてへ一律に追加されるものではないため、先に第一で採用する構造方法を確定してから図面へ反映してください。

3階建て・延べ面積200㎡未満の除外規定

第1項第一号には、階数が3で延べ面積が200㎡未満の建築物を対象から除く規定があります。ただし、令第110条の4に掲げる病院、病床のある診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、就寝利用を伴う一定の児童福祉施設等は、令第110条の5に適合する警報設備を設けることが除外の条件です。

この除外は、法第27条第1項第一号から外れるという整理です。竪穴区画、直通階段、内装制限、消防用設備など、他の規定まで一括して不要になるわけではありません。また、第二号・第三号の床面積条件に該当しないかも別に確認します。

第2項・第3項の対象

用途法第27条第2項法第27条第3項
倉庫等3階以上の対象部分の合計が200㎡以上対象用途部分の合計が1,500㎡以上
自動車車庫・自動車修理工場・映画スタジオ・テレビスタジオ等3階以上の階をその用途に供するもの対象用途部分の合計が150㎡以上
危険物の貯蔵場・処理場別表第2(と)項第4号・施行令第116条の数量等に該当するもの
表4 建築基準法第27条第2項・第3項の要約

第2項は耐火建築物、第3項は耐火建築物または準耐火建築物を要求します。ただし、第3項の自動車車庫等では、準耐火建築物のうち使用できない構造区分があります。構造方式を選ぶ段階で、法第27条第3項、施行令、告示まで確認します。

第4項:火熱遮断壁等による別棟みなし

法第27条第4項では、所定の火熱遮断壁等で区画された部分を、同条の適用上それぞれ別の建築物とみなせます。これは一般的な防火区画と同じ意味ではなく、法令で定める性能・構造方法に適合する火熱遮断壁等、防火設備、区画部分ごとの用途・規模の整理が必要です。

確認申請図書に反映する事項

判断内容反映する図書図面上で明示する内容
用途・階・床面積面積表、各階平面図用途ごとの範囲・床面積・別表第1の該当欄
令第110条の採用ルート設計概要、防火性能一覧第1号・第2号の別、告示仕様・検証法・認定の別
特定主要構造部矩計図、構造図、標準詳細図壁・柱・床・はり・屋根・階段の要求時間と仕様
外壁開口部配置図、平面図、立面図、建具表令第110条の2の対象範囲、防火設備の性能・認定番号
告示ルートの成立条件平面図、避難計画図、断面図直通階段、区画、バルコニー、外周通路、警報設備等
表5 法第27条の判断と確認申請図書の対応
  • 用途ごとの階・床面積と、別表第1のどの欄に該当するか
  • 法第27条第1項・第2項・第3項のどれを適用したか
  • 第1項の場合、令第110条第1号・第2号のどのルートを採用したか
  • 特定主要構造部の部位、要求時間、告示仕様または大臣認定番号
  • 令第110条の2に該当する外壁開口部と、防火設備の性能・仕様
  • 告示ルートの前提となる直通階段、バルコニー、外周通路、区画、警報設備等
  • 令第112条の防火区画との関係

告示関係の参考資料:国土交通省・平成27年告示第255号の技術的助言国土交通省・令和2年改正の技術的助言国土交通省「ここまでできる木造建築のすすめ」

法第21条:可燃材料を用いる大規模建築物

法第21条は、主要な部分に木材などの可燃材料を用いる大規模建築物について、火災時の倒壊・延焼防止性能を求める規定です。2025年4月施行後の第1項では、主に次の建築物が対象です。

  • 地階を除く階数が4以上
  • 高さが16mを超える
  • 倉庫・自動車車庫等の特殊建築物で、高さが13mを超える

第1項には、周囲に延焼防止上有効な空地を確保する場合の除外規定があります。また、第2項は延べ面積が3,000㎡を超える建築物を対象とします。現在は特定主要構造部、防火設備、火熱遮断壁等による別棟みなしなどを含めて検討するため、「必ず全体を耐火被覆する」とだけ理解しないことが大切です。

詳しくは、中大規模木造の耐火性能(法第21条)をご覧ください。

法第61条:防火地域・準防火地域

法第61条は、都市計画で指定された防火地域・準防火地域内の建築物について、地域区分と規模に応じた延焼防止性能を求めます。現在の条文は、すべてを「耐火建築物」「準耐火建築物」という名称だけで区分せず、施行令第136条の2と告示による技術的基準への適合を求める体系です。

一般的な規模別の整理は、防火地域・準防火地域で求められる建築物の性能で解説しています。東京都では、建築基準法第40条に基づく新たな防火規制区域など、条例による上乗せにも注意が必要です。

建物が区域境界をまたぐ場合

建築物が防火地域と準防火地域にまたがる場合、法第65条により、原則として建築物全体に防火地域の規定を適用します。また、防火地域・準防火地域と指定のない区域にまたがる場合も、原則として建築物全体に指定区域側の規定を適用します。

ただし、区域外の部分を所定の防火壁で区画した場合には例外があります。敷地ではなく建築物が境界をまたぐかで判断する点に注意してください。

延焼のおそれのある部分と防火設備

耐火・準耐火建築物等の計画では、構造部分だけでなく、延焼のおそれのある部分にある窓・ドアなどの防火設備も重要です。隣地境界線、道路中心線、同一敷地内の他の建築物との関係から延焼ラインを確認します。詳しくは、延焼のおそれのある部分の考え方をご覧ください。

計画例で見る3つの入口

規模木造4階建て

用途や防火地域だけでなく、まず法第21条の階数・高さ等を確認します。

用途3階を共同住宅に利用

法第27条と別表第1を確認。200㎡未満の除外は、用途や警報設備の条件まで確認します。

立地準防火地域の建築物

法第61条、施行令第136条の2、告示による延焼防止性能を確認します。

重複防火地域内の特殊建築物

法第27条と法第61条の両方を確認し、双方を満たす仕様を選びます。

実務での確認手順

1

用途を整理
複合用途は各用途の部分、階、床面積を分ける。

2

法第27条を確認
別表第1、施行令第115条の3・第116条まで照合。

3

法第21条を確認
可燃材料、階数、高さ、延べ面積、空地・区画を確認。

4

法第61条等を確認
防火地域・準防火地域、条例、特定防災街区整備地区を確認。

5

構造方法を決定
要求が重なる場合は、すべてを満たす仕様と防火設備を選ぶ。

複合用途では、法第27条の対象部分とその他の部分との区画が必要になる場合があります。異種用途区画の基本もあわせて確認してください。

既存建物の用途を変更する場合

事務所から飲食店、店舗から共同住宅などへ用途を変更すると、変更後の用途・階・床面積によって法第27条への適合が必要になる場合があります。用途変更の確認申請が不要な規模でも、建築基準法への適合義務までなくなるわけではありません。

一方、類似の用途相互間の変更では法第27条等を準用しない場合があります。既存建物では、用途変更時に法第27条等を準用しない類似用途も確認してください。

この3条以外の防火規定にも注意

法第21条・第27条・第61条は主要な入口ですが、これだけで防火関係規定の確認が終わるわけではありません。例えば、無窓居室等に関する法第35条の3、特定防災街区整備地区の法第67条、防火区画に関する施行令第112条、建築基準法第40条に基づく自治体条例などから、構造・区画・防火設備の要求が生じる場合があります。

耐火・準耐火の構造区分を確認する記事

まとめ

  • 規模は法第21条、用途は法第27条、立地は法第61条を確認
  • 法第27条第1項は、単純な「耐火/準耐火」の二択ではない
  • 法第27条第2項は耐火建築物、第3項は耐火または準耐火建築物を要求
  • 2024年・2025年施行後は、特定主要構造部や火熱遮断壁等の規定も確認
  • 区域境界、外壁開口部、用途変更、自治体条例も確認
  • 複数の規定に該当する場合は、すべての要求を満たす

参考:e-Gov「建築基準法」国土交通省「令和4年改正 建築基準法」国土交通省「新旧対照条文等」


お役に立てたらシェアしていただけますと嬉しいです!
ABOUT US
cat_yamaken
YamaKen都市と建築が好きな人
【資格】一級建築士、建築主事、宅建士、省エネ適合性判定員など /【実績・現在】元役人:土木行政・建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 都市づくりコンサル、建築設計、執筆/