都市計画で指定される地区計画の届出方法を分かりやすく解説しています。

この記事では、地区計画の届出方法を詳しく・かつ、分かりやすく解説しています。
はじめて届出を行う方や何度も届出は経験しているけど、もう少し地区計画の届出について詳しく知りたいという方向けです。

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です!
YamakenBlogでは、建築基準法や都市計画法、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。

地区計画の届出について、届出対象や届出が不要となる行為など、詳しく説明していきます。業務の参考なれば幸いです。




届出対象の地区計画

はじめにお伝えしたいのは、『地区計画=届出対象』ではないことに注意が必要です。
つまり、全ての地区計画が届出の対象となるわけではありません。地区計画の届出が必要となる地区計画は、以下の表の地区計画となります。

このことから、地区計画でも『地区整備計画』が定められていない場合は、届出の必要がありません。

全国的にみても再開発等促進区や開発整備促進区は多いとは言えないですので、届出が必要となる地区計画の事例としては、通常の地区計画において地区整備計画が定められたケースかと思います。

  1. 再開発等促進区(地区整備計画等が定められたもの)
  2. 開発整備促進区(地区整備計画等が定められたもの)
  3. 地区整備計画が定められた地区計画


>>ちなみに、この段階で『地区計画』と『地区整備計画』の違いに混乱した方はこちらの記事をご覧ください。

地区計画の届出が必要な行為

地区計画の届出が必要となる行為は、地区計画の区域内において建築物等の新築等を行う場合などです。法律は、都市計画法第58条の2に定められており、また、法令では、届出が不要となる例外につても規定されています。

届出対象よりも例外的に届出が不要となる行為を覚える方が大切かと思います。
というのも、届出不要であれば、その分の事務手続きを省略できますから手戻りが少なくてすみます。

届出が必要な行為内容
土地の区画形質の変更・道路や公園、緑地、水路などの公共施設の新設、変更、廃止
・農地から宅地へ転用(造成)、切土又は盛土による高さの変更など
建築物の建築・建築物の新築、増築、改築、新築
・工作物の建設(門や塀、柵、擁壁など)
建築物の用途変更・用途変更後の建築物等が制限に適合しない場合
※用途等の制限が定められている地区計画内のみ。
建築物の意匠等の変更・建築物等の形態や色彩、意匠を変更する場合
※形態・色彩・意匠の制限が定められている地区計画内のみ
木竹の伐採※樹林地、草地等の保全に関する事項が定められている地区計画のみ
物件の堆積※農地の土地の形質の変更等に関する事項が定められている地区計画のみ
届出が必要となる行為 *都市計画法第58条の2第1項

地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第12条の5第5項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

都市計画法第58条の2第1項(抜粋)

上記の表の行為のうち、次の行為については届出が不要となります。都市計画法第58条の2第1項”ただし書き”の部分がポイントです。

ただし書きにより、届出が不要となる

こちらの表は、都市計画法第58条の2第1項各号の届出が不要となる行為を示したものです、法律上は、1号から5号まで定められており、

  • 1号が『通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの』
  • 2号が『非常災害のため必要な応急措置として行う行為』
  • 3号が『国又は地方公共団体が行う行為』
  • 4号が『都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為』
  • 5号が『第29条第1項の許可を要する行為その他政令で定める行為』となっています。

例えば、仮設建築物の建築や仮設工作物の建設、通常の管理に必要な木竹の伐採、国等による建築は届出が不要となります。

また、大事なポイントとして、5号の政令で定める行為においては、建築基準法に基づき地区整備計画で定められた内容を条例化している場合で、建築確認申請が必要となる建築等であれば、その中で審査されることとなるため、届出は不要となります。

>>地区計画条例化について??という方はこちらの記事をご覧ください。

届出が必要なもののうち、例外的に届出が不要となる行為内容
通常の管理行為、軽易な行為①土地の区画形質の変更
仮設建築物の建築、仮設工作物の建設、既存建築物等の管理、農林漁業

②建築物の建設・工作物の建設・建築物の意匠等の変更
仮設建築物の建築、仮設工作物の建設、屋外広告物(表示面積1㎡以下、H≦3m)の建設、水道管・下水管等の工作物で地下に建設、建築物に附属する物干場・建築設備・空中線・旗竿の建設、農林漁業の物置・作業小屋

③建築物の用途の変更
仮設建築物の用途の変更、農林漁業の物置・作業小屋への変更

④木竹の伐採
除伐、間伐、整枝等木竹の保育、枯損・危険な木竹の伐採、自家生活用、仮植、測量・実地調査・施設保守の支障となる木竹の伐採
非常災害のため必要な応急措置として行為災害救助法に基づく応急措置として行う行為など
国・地方公共団体が行う行為国や都道府県、市町村が行う行為
都市計画事業の施行として行う行為等・都市計画施設の管理予定者が都市計画に適合して行う行為
・土地区画整理事業の施行として行う行為
・市街地再開発事業の施行として行う行為
・住宅街区整備事業の施行として行う行為
・防災街区整備事業の施行として行う行為
開発行為の許可を要する行為等・市街化調整区域内(開発許可を受けた区域外)での建築物の建築、工作物の建設、用途変更などの許可を要する行為(都市計画法第43条第1項許可)
・地区計画の内容が建築条例化(都市計画法第68条の2)されている場合。※条例化されていない項目や一定の地区計画(再開発等促進区など)は従来どおり届出が必要となる。
地区計画等緑地保全条例の許可
・地区計画の目的を達成する上で支障が少ない国土交通省令で定める行為(道路の新設、河川改良工事の施行、林道の開発、公園施設の設置など*省令第43条の7に規定)
地区計画区域内での行為で届出が不要となる行為

>>こちらの記事でも詳しく説明していますので、補足的にどうぞ!!

次に、届出書の様式や添付書類の説明です。

届出書の様式

届出書の様式は、都市計画法施行規則第43条の9で定められており、『別記様式第11の2』を使用します。なお、変更の届出の場合は『別記様式第11の3』を使用します。

▽このような様式です。なお、親切な市町村は、公式ホームページに掲載していますので、その様式でも問題ありません。様式がない場合は、こちらのページを参照ください。
>>https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=344M50004000049

地区計画の届出様式(別記様式第11の2の抜粋)

ちなみにですが、令和3年1月1日より押印は廃止されています。
ただし、委任状の取り扱い(押印の有無)については自治体によって対応が異なりますので、届出の際には、事前に役所に確認しておく方が無難です。

届出書の提出部数

届出書の提出部数については、原則として一部となります。
ただし、自治体によっては、建築確認申請のように二部提出(正本・副本)を求めている場合もあります。

一部提出の場合は、受付した証明を交付したり受付印を押して、その写を交付しているケースもありますが、自治体によって対応が異なるため、公式ホームページを確認するか、直接問合せを行うこととなります。

届出書の提出時期

届出書の提出は、行為着手の30日前までに行う必要があります。
この30日という規定は法律で定められています。

行為に着手とは、建築物の建築であれば工事着手、宅地造成であれば造成工事への着手が該当することとなります。なお、30日以上前であればいつでも提出してOKですが、30日を切ってしまった場合には、なるべく早めに提出しましょう。

わたしの経験上、30日を切ってから提出したとしても、罰則を適用した例は聞いたことがないですが、市町村による必要な指導や勧告が行われる場合、工事着手後に指導等が行われると大きな手戻りになることは必須です・・・30日ルールが守られない場合は口頭注意や文書での注意などは受ける可能性がありますね。

*届出のため許可・不許可という処分はありません。基本的には受理して手続きは完了となります。

地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第12条の5第5項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

都市計画法第58条の2(抜粋)

届出書への添付書類

添付書類は、様式が規定されている都市計画法施行規則第43条の9に定められています。行為の種類によって添付書類が異なるので注意してください。

必要な添付書類は次のとおりです。

行為の種類添付書類
土地の区画形質の変更・土地の区域並びに区域内及び区域周辺の公共施設を表示する図面で縮尺1000分の1以上
・設計図で縮尺100分の1以上
建築物の建築、工作物の建設、建築物(工作物)の用途変更・敷地内の建築物又は工作物の位置を表示する図面で縮尺100分の1以上
・都市緑地法第34条第2項に規定する建築物の緑化施設の位置を表示する図面(地区整備計画において建築物の緑化率の最低限度が定められている場合に限る。)で縮尺100分の1以上
・2面以上の建築物又は工作物の立面図で縮尺50分の1以上
・各階平面図で縮尺50分の1以上
建築物又は工作物の形態又は意匠の変更・敷地内の建築物又は工作物の位置を表示する図面で縮尺100分の1以上
・2面以上の立面図で縮尺50分の1以上
木竹の伐採・土地の区域を表示する図面で縮尺1000分の1以上のもの
・施行方法を明らかにする図面で縮尺100分の1以上のもの
共通その他参考となるべき事項を記載した図書
地区計画の届出書に添付する書類

建築物の建築が地区計画の届出の大半を占めるかと思います。

これまでの経験として届出を1回で完了させる確実な方法は、建築確認申請のうち、構造図及び設備図を除く意匠関係図と建築確認申請書の添付です。
とはいえ、この場合、物件によっては書類が多すぎるのも問題ですので、建築確認申請書の1面から6面、位置図、公図、配置図、平面図、立面図、断面図などがあれば受理されるはずです。

敷地の一部が地区計画区域内の場合には、その範囲を配置図に明示する必要があるため、事前にその位置の確認を受けるようにしてみてください。

届出書の提出方法

基本的には、従来から窓口提出が原則とされている印象ですが、コロナもあってか郵送による受付を行っている市町村もあるようです。
>>詳しくは、提出する窓口に確認することをお勧めします。*窓口は、都市計画担当部署となります。

今後は行政のDX化が急速に進むと考えられ、オンラインによる申請も可能となる環境整備が進むと予測されます。そのため、届出行為である地区計画は、早めにオンライン申請が進むのかと思っています。

補足:不適合用途の届出について

地区計画条例化が行われていない場合、建築物の用途が不適合となる建築物を建てたいと考えている建築主もいるのではないでしょうか。(わたしが行政にいた頃も何度かそうした相談がありました)

不適合建築物の届出については、次のように法律で規定されています。

 市町村長は、第1項又は前項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。

 市町村長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない

都市計画法第58条の2第3項・第4項

適合しないと認めるときは、”勧告することができる”と規定されています。”しなければならない”ではなくて”することができる”です。

また、勧告した場合には、必要がある場合に限り、土地の斡旋等を行うこととされています。
結論から言うと、勧告される可能性はありますが、届出行為のため市町村は受理せざるを得ないです。

現在の土地利用と地区計画が大きく乖離している場合には、地区計画自体の見直しの必要性がある可能性もありますが、そうではない場合には、地域で決めたルールであることから、基本的にはルールに従うことがベストです。

仮にその建築物で収益を得ようとしているのであれば、信用を失う行為となり、地域から後ろ指を刺されることとなりかねません。後日、地域に協力して欲しいことがあっても、誰からも協力を得られないと思います・・・。あとは、建築主の判断となります。

ということで以上となります。業務の参考となれば幸いです。






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