こんにちは!やまけん(@yama_architect)です^ ^
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今回の話は、42条3項道路(正式名称:建築基準法第42条第3項道路)です。
いわゆる”みなし道路”といわれる42条2項道路と考え方は同じですが、指定される幅員(水平距離)が異なるのと、指定されるまでのプロセスが異なりますので注意が必要です。
それでは、説明します。
42条3項道路とは?
はじめに事例の説明です。
下図は、大分県臼杵市の42条3項道路の指定状況となります。
臼杵市は、江戸時代は臼杵藩として城下町が整備され、京都市街地のように細い路地が入り組み、江戸時代の美しい小路が多く残っており、それらの景観景観を維持する観点から指定されています。
ですので、kono
42条3項道路は、都市の成り立ちからやむを得ない場合に指定されるものと考えるのがいいと思います。
特に、城下町の場合には幅員を広げようにも歴史ある建築物や建造物などが多く残されていることがあるため現実的に困難なケースが多いと思います。また、緊急車両が通行できない可能性がある分、消防との協議が必要となったり、防火・避難の関係から対応策が必要になると考えられま。
次に法律の説明です。
42条3項道路は、建築基準法において次にように規定されています。ポイントとしては、次の4つです。
- 指定することができる者:特定行政庁
- 土地の状況によりやむを得ない場合に指定
- 指定される幅員は、2.7m以上4.0m未満の範囲
- 法制定以前から建築物の建ち並び等がある
▷▷関連記事:【42条2項道路とは?】特定行政庁による指定基準などを解説
特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項(*42条2項道路の規定:みなし道路)の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については2m未満1.35m以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については4m未満2.7m以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる。
出典:建築基準法第42条第3項
「指定することができる者」は、42条2項道路と同じく特定行政庁となります。つまり、簡単に言ってしまえば地方自治体(都道府県や市)となります。
次に、最も重要な「土地の状況によりやむを得ないを得ない場合」ですが、基本的な考え方として、将来的に4mを確保することが困難な場合です。
困難な場合とは、一個人の都合ではなく公益的な観点からやむを得ないと判断される場合のみに限られています。
例えば、先ほど説明した臼杵市のような場合です。
城下町や港町の場合には江戸時代から小さな路地として使用し続けられている生活道路が多くあるため、これらの道路をセットバックして4m確保することが現実的に困難などが理由としてあげられている場合です。
「指定される幅員(水平距離)」は、2.7m以上4m未満と決まっています。指定する水平距離はその道路の状況に応じて特定行政庁が判断します。(わたしが知る限りでは2.7mとしているところが多い印象)
また、建築基準法第42条2項道路と同じく、法以前(昭和25年、または都市計画区域が指定された時点)から使用され、かつ、建築物2軒以上の建ち並びが求められますので、1軒しか利用していない道路の場合には指定要件を満たさないとして指定される可能性は低いです。
さらに、42条2項道路と異なり、建築基準法第42条第6項の規定により、特定行政庁が指定する前に建築審査会の同意を得る必要があります。*下記の法令を参照
特定行政庁は、第2項の規定により幅員1.8m未満の道を指定する場合又は第3項の規定により別に水平距離を指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
出典:建築基準法第42条第6項
2項道路と3項道路の違い
42条2項道路 | 42条3項道路 | |
---|---|---|
指定者 | 特定行政庁 | 特定行政庁 *指定する前に建築審査会の同意が必要 |
指定幅員 | 4m *道路中心線から2m | 2.7m以上4.0m未満 *道路中心線から1.35〜2.0m |
現状の幅員 | 1.8m以上4.0m未満 *1.8m未満は建築審査会の同意が必要 | 1.8m以上4.0m未満 *1.8m未満は建築審査会の同意が必要 |
その他① | 法以前からの建築物の立ち並び | 法以前からの建築物の立ち並び |
その他② | ー | 土地の状況によりやむを得ない場合に指定 |
指定幅員については、一方に崖や水路がある場合には片側への一方後退となります。
42条3項道路に指定されているかどうか確認(調査)するには?
42条3項道路に指定されているかどうかは、特定行政庁の指定道路台帳にて確認することができるようになっています。
特定行政庁とは、地方自治体(厳密には、建築基準法で指定される行政庁)のことですので、指定道路台帳(指定道路図)は、最寄りの行政(都道府県の出先事務所、市)にて確認・調査することができます。
指定されている場合には、水平距離が指定されていますので、閲覧若しくは図面の交付を受けることで、建築確認申請に必要となるセットバックの距離を確認することが可能となっています。
自治体のうち道路法に基づく道路や公図上の道の場合には、行政との境界確認が必要となることがありますので、行政庁での確認にあわせて境界の確認の方法を確認します。
公道の場合には、道路管理部局で立ち会いすることが多いように思いますが、建築指導において確認する場合もあるようですので、はじめに建築指導を担当する部署に確認することをおすすめします。
全ての道路調査が完了している特定行政庁(大都市を除く)は少ないですから、特定行政庁による指定されていない場合には、道路調査の依頼をして数週間時間を要することがありますので、幅員4m未満の場合にはリスク回避のためにも早めに道路調査することがおすすめです。
ということで以上となります。参考になれば幸いです。
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