【人口密度の応用編】人口密度から分かる日本の大都市の過密さ。

以前、人口密度の求め方に関する記事を書きました(→詳細はこちら:人口密度の求め方を分かりやすく解説)。今回の記事では、人口密度から分かる日本の都市の過密さと歪(いびつ)な都市構造 について分かりやすく解説します。

人口密度ってな〜に?と疑問に思う中学生にも分かるように書いているので、是非、学校の課題等で活用してみてくださいませ。

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日本全体のあらゆる人口密度

こちらのデータは、日本全体の人口密度の一覧です。

日本の都市の人口密度を比較する上で重要となるエリアが全部で4つあります。面積の大小としては、国土面積>都市計画区域面積>市街化区域面積>人口集中地区面積 となります。

  1. 国土面積
    *国土面積とは日本の領土面積
  2. 都市計画区域面積
    *都市化が著しい地域で建物の建設を促進するエリアや山林農地などを保全するエリアなどを設定する区域(詳細記事:都市計画区域とは?都市計画区域の基本をわかりやすく解説
  3. 市街化区域面積
    *都市計画区域内に設定される区域で、住宅や店舗、病院などの日常生活に必要な建物の建設を促進する区域(詳細記事:【市街化区域とは何か?】市街化区域に関する疑問を解決)。
  4. 人口集中地区面積
    *1ha(ヘクタール。100m×100m)あたり、40人以上の区域(詳細記事:【人口集中地区=DID地区とは?】日常生活と密接に関係する指標

この4つのエリアごとの人口を見ることによって、それぞれの区域毎の人口密度を知ることができます。世界の諸国のうち人口密度の高い国の人口密度を併記します。

人口
(千人)
面積
(ha)
人口密度
(人/ha)
日本国土127,13837,797,5003.36
 都市計画区域119,93910,246,04511.71
 市街化区域89,3491,450,52061.60
 人口集中地区86,6631,274,02768.02
シンガポール78.67
韓国5.12
カナダ0.04
各区域毎の人口と面積及び人口密度 *出典:令和2年都市計画現況調査(国土交通省)
諸国の人口密度 *出典:外務省(2019)

国土面積に対する人口は令和2年3月末時点で1.27億人となっており、人口密度としては、3.36人/haとなります。

お隣の国、韓国に比べて人口密度は低いですが、国土面積の大きいカナダに比べると日本は高い方に入ります。

また、国土面積が小さく人口が福岡県よりも若干人口の多いシンガポールでは、1ha(ヘクタール)あたり78.67人とモナコに次いで人口密度が高い世界No2の国となっています。

一方で、日本国内に目を向けて見ると、都市内での開発等をコントロール・調整する都市計画区域内では、11.71人/haとなり、国土面積の約3割に全体の9割以上の人が居住されていることが分かります。

さらに、市街化を促進する市街化区域では1haあたり61.6人と高く、人口集中地区では68.02人となります。*市街化区域面積は国土面積のわずか3.84%

つまり、日本全体を俯瞰した場合、市街地に多くの人が居住していることになります。
*国土面積のわずか4%程度の面積の人口密度は61.6人/ha

では、次に都道府県ごとに人口密度を見ていきたいと思います。

都道府県別の人口密度

ここでは都市の人口密度を把握するために都市計画区域内に限って見ていきたいと思います。

特に注目すべき点としては、市街化区域の人口密度となります。

市街化区域の中の一部では人が居住できないエリア(工業のための専用地域:工業専用地域)があり、大規模な工業団地や臨海工業団地などを抱えている都道府県があると、その部分の面積を含んでしまうため若干密度が低く出てしまいますが、一般的な指標としては問題ありません。

市街化区域の人口密度を見ることによって、どれだけの人が市街地に集中しているかどうかが分かります。

例えば、青森県は1haあたり29.3人ですが、東京都では127.6人となり。青森県と東京都では約10倍以上も差があることになります。

よく、まちづくりの課題として賑わいが失われている駅前が多いことがあげられたりしますが、人口密度が低い都市は過度な自家用車依存となっているケースが多く、このため、この市街化区域の人口密度が低い都道府県は総じて賑わいが失われているエリアが多いことが考えられます。

厳密には市街化区域を広げ過ぎており、未利用地(土地利用が行われていないケースもある)が多くある場合もあるので、一概には比較検討できない部分もありますが、一般的な尺度として賑わい(人が歩いているかどうかなど)を調べる上では十分となります。

都道府県名都市計画区域
人口密度(人/ha)
市街化区域
人口密度(人/ha)
人口集中地区
人口密度(人/ha)
北海道7.439.450.9
青森県4.629.338.1
岩手県4.047.347.5
宮城県9.848.958.9
秋田県3.935.341.3
山形県7.234.542.3
福島県4.933.843.5
茨城県6.529.346.5
栃木県4.636.446.4
群馬県9.134.440.5
埼玉県26.582.684.3
千葉県16.769.771.7
東京都79.4127.6123.8
神奈川県46.192.890.5
山梨県8.443.553.6
長野県5.144.642.6
新潟県4.940.848.2
富山県6.034.038.7
石川県10.143.754.8
岐阜県7.640.144.4
静岡県10.348.052.2
愛知県21.356.162.2
三重県8.036.741.8
福井県7.243.741.6
滋賀県7.040.661.6
京都府12.774.782.8
大阪府46.790.593.5
兵庫県10.263.873.6
奈良県11.351.563.1
和歌山県8.941.442.0
鳥取県6.437.532.2
島根県4.037.541.7
岡山県7.641.644.3
広島県10.952.659.9
山口県4.629.632.9
徳島県8.937.844.8
香川県11.141.6
愛媛県9.154.348.0
高知県6.555.058.8
福岡県15.959.264.7
佐賀県6.242.046.1
長崎県10.150.554.5
熊本県9.458.754.7
大分県8.937.046.8
宮崎県10.344.246.0
鹿児島県6.760.653.6
沖縄県12.476.772.0
都道府県別の都市計画区域内の人口密度 *出典:令和2年都市計画現況調査(国土交通省)

では、次に最大の人口を有する東京都内に目を向けてみたいと思います。

東京都23区の市街化区域の人口密度を確認することによって、さらに大都市にどれくらい人が密集しているのかどうかが分かります。

東京都23区別の市街化区域の人口密度

東京都23区(市街化区域面積はわずか58,214ha)内には約959万人(令和2年3月末時点)が居住されていますが、これを23区別に見ると、どこの区に密度が集中しているのかが分かります。

都市名市街化区域人口
(千人)
市街化区域
人口密度(人/ha)
千代田区66.056.7
中央区169.6199.1
港区261.1130.9
新宿区343.9188.6
文京区226.9200.6
台東区202.9208.1
墨田区275.5222.0
江東区526.5143.8
品川区402.7179.5
目黒区282.6192.2
大田区738.1133.0
世田谷区921.6162.3
渋谷区231.0152.9
中野区335.6215.3
杉並区576.1169.3
豊島区289.8222.8
北区354.2194.4
荒川区217.2223.9
板橋区572.5188.4
練馬区741.6154.0
足立区691.3143.7
葛飾区465.0153.7
江戸川区697.8167.1
東京都23区の人口密度 *令和2年都市計画現況調査(国土交通省)

最も人口が多い世田谷区では市街化区域の人口が約92万人いますが、市街化区域の人口密度としては、162.3人/haとなり他区に比べるとそこまで高くはないことが分かります。

それでも1haあたり100人を超えているので、縦横100mに平均して162人が居住していることをイメージすると、相当窮屈のように思いますよね。
*感覚的にはちょうど良い人の密度として70〜100人/haが都市の適正規模だと考えています。路線バスが独立採算を維持するには60人/ha以上必要といわれているので70人/ha以上で100人/haを超えると賑わいというよりも過密感が高まってしまう。

一方で市街化区域の人口密度が最も高いのは荒川区で223.9人/haですが、市街化区域の人口としては、約22万人となり他区に比べると低いことが分かります。

また、人口及び人口密度ともに低いのは千代田区となります。次で人口密度が低いのは港区となります。

千代田区は皇居がありますが、The都心部という感じで居住地というよりはオフィスや官公庁が集中しているイメージですから居住地に向いているとは言い難い側面があるかもしれません。その分、港区は人口密度的に若干の余裕があるように考えられます。マンションも人気のエリアですよね(普通のサラリーマンでは絶対に買えないレベル・・・)。

他には足立区などの下町エリアは低層の木造密集地が多いために高度利用されている建築物が少ないなどの理由により人口密度が上がらないものと考えられます。

将来、建築物が老朽化し建て替えなければならない時期に到達した段階で順次、再開発が行われればまだまだ人口と密度は伸びる可能性がありそうです。

補足:江戸時代後期の江戸の人口密度

江戸時代後期の江戸市街地の人口密度について計算してみます。

慶応元年の江戸市街地の面積は7,980haという記述がありましたので約8,000haとします。また、人口は、推計人口として150~200万人程度とされていますのでこちらの数値を参考とします。

そうすると、推計人口密度は、188人/ha〜250人/haとなります。つまり、現在の東京都23区の人口密度と大差ないことが分かります。明治時代後期・大正に入ったころから本格的に欧米の都市計画が導入されていきましたけど時に既に遅しで爆発的な人口増加に対しての市街地資本整備は後手後手に回ってしまった感・・・。

とはいえですけど、現代では耐火・準耐火仕様となっていない木造は減っていますから、江戸時代のような大規模火災の発生は抑制されていると思いますから少しは災害時の安全性が担保されていると考えられます。ですけど、人口が過密し過ぎているので災害に弱い都市であることは違いないです。

>>日本歴史を人口から読み解くと歴史に対する理解が深まって面白いので参考文献を貼っておきます。

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補足:人口密度が高いと何が課題?

市街化区域や人口集中地区の人口密度が60〜100の範囲内であればあまり課題は生じず最適な都市空間となりえますが、この数値を超えてくると課題に直面していきます。

最も、課題が生じるのは災害時です。人口密度が高過ぎるとそれだけの人を抱えきれる空地や緑地が存在しないため避難するにも避難する場所もありません。

特に東京都の場合には洪水浸水想定区域や津波浸水想定区域のエリア、木造建築物の密集地が多いなど、災害時に大勢の人が避難する場所はほぼありません。加えて災害時は鉄道網が遮断される可能性が高く、東京都内から脱出できない可能性さえあります。

さらに災害時における感染症のリスクも高まりますよね。また、人口及び人口密度が上昇を続ければ水道・下水道・ごみ処理・火葬など処理能力の向上も必要となるため公共側も過度に負担が増えます。

それから、居住面においては地価が高いため賃料や分譲価格も高く、一般的なサラリーマンの収入では、どうしても狭小な住宅とならざるを得ないケースが多いです。つまり、生活面でストレスを抱える可能性は高いです。

商売する側にとっては、人口密度の高さは見込み客の総数が大きいため立地メリットが高い一方で需要を抱え切れるほどの商業・福祉・医療機能が不足しているケースがあるため、密度が高すぎると生活しづらい面もあります。

まとめ

ということで日本の人口密度についてまとめてきました。

都市計画区域内や市街化区域内の人口と面積からも分かるように、日本は市街地に人口が集中している都市となり、さらい東京や愛知、大阪などの大都市に特に人口が集中しており極めて人口密度が高い一方で、地方の都市は相対的に人口密度が低いことが分かりますよね。

政府としても三大都市圏(特に東京)から地方への移住を増やそうと頑張ってはいますが、大都市の魅力(人・物・金)に打ち勝つ施策を講じないと地方への回帰は進まないと思います(根本的解決策はない)。

地道に地方の魅力を底上げしていく努力を行うしかないのですが、その施策を行うよりも前に大都市の魅力に負けてしまっているのが実状のようです。

ちなみに、東京都全体の市街化区域人口密度を100人/haまで下げることができれば、現時点で約300万人を地方都市に回すことができるかもです。あくまでも机上論。

ということで以上です。なんとなくでも日本の都市の過密さ、とりわけ東京都の高さをお分かり頂けたかなと思います。それではまた〜〜♪