【雑学】平成16年に線引きを廃した香川県の主要都市の人口集中地区の最新の傾向をリサーチしてみました。

この記事では、平成16年に線引き(市街化区域と市街化調整区域の区域分け:区域区分)を全県的に廃止した香川県さんの各都市の人口集中地区が拡大していないの?と疑問に思ったのでリサーチしてみました。

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なぜ、香川県は線引きを廃止したのか。

「香川の都市計画」*出典:香川県

香川県さんが公表している都市計画に関する資料によると次のように書かれています。太文字のところを読んで頂くと分かると思いますが、都市計画区域外への人口流出抑制対策だったようです。

 本県では、平成16年5月に区域区分を廃止して以降、都市計画区域外への人口流出は抑制され、旧香川中央都市計画区域内人口は増加傾向にあり、区域区分を廃止した一定の効果が出ているといえます。香川県全体では人口減少傾向にあり、宅地開発などによる急激な市街地の拡大や産業面からの土地需要の拡大はしないと予想されるほか、土地利用に大きな影響を与える大規模プロジェクトも予定されていません。以上のことから、引き続き県内全ての都市計画区域において区域区分は行いません。

「香川の都市計画」*出典:香川県

なんでも過去の経過を調べてみると、そもそも都市計画区域の指定範囲(=市街化調整区域の指定範囲)に課題があったようです。

高松市内部でも住民反発を受けて都市計画区域に編入できていなかったり、隣接する周辺自治体も同様に都市計画区域に加えることができなったため、本来、日常生活圏と同エリアでなければならない都市計画区域とはならずに歪な状況にあったようです。

「うちは都市計画区域外で農用地も無いから建築自由ですよ〜。高松市への通勤も便利です!」←これって社会的にいいのかな(多くの正常な思考者であればダメだよ。となりますけど、マクロとして自治体の利益を追求するとOKとなってしまうのです。全国に結構あります。)

(これじゃあ、いくら市街化調整区域で建築を制限しても調整区域を飛び越えて市街化区域から近距離の都市計画区域外に住宅を建てちゃいますね。行政担当者は相当苦労したのではないかなーと思います。本当にお疲れ様でした。)

とはいえ、香川県さんを否定するわけではないですがちょっとだけ。

区域区分とは都市計画区域外への人口流出を抑制するためのツールではなくて、市街化を促進する区域と保全する区域とに分けて都市をコントロールすることにあるので、都市計画区域外への人口流出を防ぐのであれば都市計画区域を拡大して市街化調整区域を指定するのが効果的ですので、文面だけ読むと「あれ、そうでしたっけ」となっちゃいます。
*現在だと立地適正化計画制度が出来たおかげで非線引き都市での「居住調整地域」の指定が可能になっていますので、郊外の住宅開発を抑制することは一定程度可能かなと思います(余計なお世話でしたらすみません)

*一般の市民の方にとっては、線引き廃止=「やった〜!建築自由〜〜♪」と言っていそうですが(決して小馬鹿になんかしていません!!)、全国の都市計画を担当する方から見れば「えっ、理由不明」となっているんじゃないかなって思っちゃいます。香川県自体は大好きなので香川自体を否定しているわけではないですからね!!

ちなみに、市街化調整区域から白地地域となったエリア(高松市、丸亀、善通寺、宇多津、坂出の一部)については、「特定用途制限地域」を指定し、店舗や飲食店などの市街地を拡大させる要因となる都市機能の立地を制限しています(住宅は可)。

この線引き廃止後に人口集中地区の拡大傾向を調べてみました。

平成17年から令和2年にかけて約15年間で高松市のDID面積は187ha増加、人口密度も2.43人/haに低下しています。また、丸亀市も同様に15年間で94ha増加、人口密度は2.79人/haに低下している状況にはあります。

*全国的な傾向として地方部の人口集中地区面積は拡大・人口が減少している傾向にあるので高松市や丸亀市の線引き廃止が直接的な要因とは言い切れないです。

DID人口
(人)
DID面積
(ha)
DID密度
(人/ha)
平成12年217,4104,08153.27
平成17年213,7934,01953.20
平成22年212,8034,08852.06
平成27年212,8974,10451.88
令和2年213,5494,20650.77
高松市人口集中地区の推移
DID人口
(人)
DID面積
(ha)
DID密度
(人/ha)
平成12年37,6361,20631.21
平成17年38,2291,20831.65
平成22年38,1501,23031.02
平成27年37,6211,26229.81
令和2年37,5821,30228.86
丸亀市人口集中地区の推移
DID人口
(人)
DID面積
(ha)
DID密度
(人/ha)
平成12年82,809,6821,245,73766.47
平成17年84,331,4151,256,05867.14
平成22年86,121,4621,274,44067.58
平成27年86,868,1761,278,63267.94
令和2年88,285,9271,325,04066.63
日本全体の人口集中地区の推移

道路網の発達で都市間の移動時間が短くなっているため昭和40年代に比べれば明らかに日常生活圏は拡大しているので当時のままの都市計画区域ですと、どうしても自治体間で不公平(一方では線引きで一方では非線引き)が生じているように考えられます。

令和2年の国勢調査によって移動実態が明らかになるので、このデータを元にして全国の都市計画区域再編が進めば、より生活圏の実態に合わせた都市計画が可能になるなと思います。

無秩序な開発や自分さえ良ければいい開発は結果として将来に悪い影響を及ぼしますからね。とはいえ、行政サイドに強い権力が法律で与えられていないため、区域再編は相当苦労します(私が担当者だったら、自治体の強いリーダーシップが無いと無理ですねと答えちゃいます)。

ですが、ここでやらないと都市計画区域自体が無意味な区域となってしまいますから、特に政治家さんには頑張って欲しい。

ということで以上です。ゆっくりじゃないけどダラダラと香川県さんを勝手に表に出してしまいすみませんでした。伝えたかった事は一つ。都市計画区域見直しましょう。今やらないと守りたい自然や市街地が消滅していきます。

>>参考書籍(古い書籍ですが都市計画の基本を理解しやすいです)

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