法律上、屋根葺材を木材にできるの!?

結論:ルール上は可能です。

この記事では、建築基準法上、屋根葺材を「木材」にできるのか。という点で法律上の疑問に答えています。

屋根葺材を木材のできるかどうかは、場所(建築場所)と木材の特性によります。場所によっては木材、プラスチック、紙(技術的ありえないですが)、茅(かや)等とすることが可能です。一方で、木材の特性については、木材でも燃えにくい加工が施されたものを使用することで建築場所に関係なく使用可能なルールになっています。

この記事では、一戸建ての住宅や小規模な物置、倉庫、事務所などの準耐火建築物、耐火建築物以外の構造上、防火的な措置が緩い建築物を対象としています。




場所による制限

日本の法律、土地利用の状況により屋根材を木材等の燃えやすいものと出来るか出来ないかが決まります。土地利用の状況とは、建築物が集合している地域かどうかです。

建築物が集まっている市街地では建築物が密集しているため大規模火災を食い止めるために建物の耐火性能の基準が強化されている「防火地域・準防火地域」が指定されています(建蔽率が80%の地域などに多く指定)。*都市計画法により指定

また、建物が過度に密集しているとまでは言えないものの、建物立地が比較的ある場合には、22条区域(屋根不燃区域)が指定されています。22条区域は隣地火災による飛び火から建物を守るために設けられた制限のことです。*建築基準法により指定(都市計画審議会を経て)

この「防火地域・準防火地域」、「22条区域」以外の地域が屋根材に対する制限がない地域です。例えば、市であっても郊外の農村部、町村の市街地以外は屋根材の制限が行われていないことが多いです。こうした準防火地域・防火地域・22条区域以外の地域では、屋根を伝統的な茅葺や木材が可能です。

22条区域に関する補足:小規模建築物は木材使用可

法律上は、床面積10㎡以下の建築物(延焼の恐れのある部分以外)については屋根不燃のルールは適用除外となります。このため、屋根不燃区域であっても、茶室、小規模物置などのごく小規模な建物において木屋根が可能です。

ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

建築基準法第22条第1項(抜粋)

>>>22条区域についての解説はこちら

木材の特性による制限

防火地域や準防火地域、22条区域内では一般的な木造戸建て住宅は”屋根葺材を不燃材料”とする必要があります。

不燃材料とは、瓦や鋼板などのことで市街地の屋根材としては一般的なものです。

不燃材料について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

基準上、木材自体(防火未加工品)は「不燃材料」とはならないため防火地域、準防火地域、22条区域では使用することができませんが、法律上は木材でも特殊な防火加工が施されたものを使用できれば屋根葺材を木とすることが可能です。
*あくまでもルール上の話。

ただし、私が記事執筆時点で調べた限りの情報ですが、現時点では内装用の不燃材料(NM認定品)は販売されているものの、外装用に防腐処理等が施された不燃木材(NE認定)は販売されていないようです。

(注)”ようです”というのは、認定書を公表している企業が少なく”使用可能部位”が不明確なためです。多くは内装用のようですが、外用に対応して認定を取得している場合には屋根にも使用可です。
>>>認定製品一覧は国土交通省のホームページから確認可能です。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000042.html

まとめ

屋根に木材を使用可能なケースをまとめると次のようになります。
*あくまでもルール上です。製品があるかどうか施工上等の技術的な問題を除く。

  1. 防火地域、準防火地域及び22条区域外の屋根は不燃制限なし
    *境界から離れた10平方メートル以下等は不燃制限なし
  2. 不燃材料(外用)の国土交通大臣認定を取得した木材の使用
    *調べた限りは認定品はないようです(記事執筆時点)
    *認定取得したよというメーカーさんのご連絡お待ちしています。
  3. 屋根(DR・UR)認定品を取得した対飛び火構造の屋根
    *認定品なし。
    *認定取得したよというメーカーさんのご連絡お待ちしています。

江戸時代には、茅葺屋根や木羽葺きが一般的で、江戸や大阪などの一部や城や大名旗本屋敷等の重要な施設では瓦でしたが市街地の防火性能を高める観点から明治以降は屋根材は不燃となっていった歴史があります。

一方で歴史ある寺社仏閣では現代でも木屋根(柿葺き)が使用されていることが多く伝統技術の一つでもあります。また、東京ディスニーリゾートの施設の一部や文化財では22条区域の限定解除が行われているため屋根材が茅葺のケースがあります。

防火上市街地で木屋根は現実的ではないですが、今後、防火性能を備えた屋根用の木材が普及することは否定は出来ないのです。瓦よりも軽いのは構造上魅力的ではあります。今後、技術開発が積極的に行われることを期待し、将来この記事を更新できればと思います。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など