「都市」の定義を分かりやすく解説。UrbanであってCityではない。

この記事では、普段何気ない会話やニュース、行政の文書で使われている『都市』について分かりやすく解説しています。

”都市の定義とは何か”がこの記事の重要なポイントです。
タイトルの写真は、ニューヨークのマンハッタンです。ここは大都市ですよね♪

こんにちは!やまけん(@yama_architect)といいます。
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して、普段の業務に役立つ豆知識を発信しているブロガーです。




関連法律に都市の定義は存在しない。

「都市」とは何なのかというと、都市に関連する都市計画法や都市再生特別措置法においては明確な定義がありません。それから地方自治法にもありません。

つまり、都市の定義は存在しない。

ですので、都市部とか地方都市とかっていう言葉自体は、本来、定量・客観的に示すことはできない用語ではないので、受け取る側の主観性によって、意味の解釈が全く違ってきます

これって結構重要なことです。

なのに、都市計画法や都市再生法等の都市計画に関係する法律には「都市」という言葉が使用されており、どういった都市に焦点を当てた法律なのかが明確ではないんです。

こういう、”フンワリ”とした主観的な感覚って、日本の良いところだったり、悪いところだったりするんですよね。

それじゃあ、人口が1万人満たない町や村は「都市」かって言われると違いますよね?
それは、地方の農村・漁村であって、都市ではない。どちらかと言うと「街」に近い。

どこに線引きがあるのかが不明瞭・・・それでは都市のイメージや考え方を参考にする方法はないの!?疑問を抱くと思いますので、関連法でどのような扱いとなっているのか、リサーチした結果を説明していきます。

はじめに都市計画法における都市の取り扱いです。

都市計画法での「都市」とは

法における「都市計画の基本理念」の中で、都市計画の理念が定められています。

【都市計画の基本理念】
都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

※出典:都市計画法第2条

ここでは、都市という用語を用いて、二つの言葉が使用されています。

”都市生活””都市活動”です。

意味としては、都市における日常的な生活のことと、都市における生産・産業的な活動のこと、つまり、衣食住+仕事 です。

この内容では、都市を明確に定義している部分はないので、次に、”都市計画”の定義から「都市」について考えてみます

都市計画の定義

【定義】
この法律において「都市計画」とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画で、次章の規定に従い定められたものをいう。

※出典:都市計画法第4条第1項

ここで、「都市」という文言が出てきますが、既に都市はあるべきものとした前提での、用語となっているところに注目です。

つまり、法律の中で、都市とは、既に国民の中で分かっている・認識している言葉として用いられており、これが何なのか、誰も明確には答えることができないんです。

では、都市とは何なのか?都市計画法における都市とは、法制度が都市計画区域を設定し、その都市計画区域の中で、区域区分といって市街化区域と市街化調整区域を指定していることを踏まえてみると、一つの仮説として、都市計画区域、とりわけ市街化区域が設定されているところが都ではないかと考えられます。

というのも、区域区分が定められていない都市は、都市というよりも町に近いイメージです。一方で区域区分が定められているということは、土地利用を上手にコントロールしないと、無秩序な市街地が形成されてしまう恐れがあるくらい経済発展しているということ。

大多数が土地と建築物の集合体を利用する環境にある状態が都市に近いような気がします。

では、区域区分において必ず定められる市街化区域。その面積と人口をみてみれば、その値から自ずと都市について気づける点があります。

市街化区域内の人口は、88,667千人(0.9億人)

この数値は、国土交通省が公表しているH28年都市計画基礎調査による結果です。
日本の人口は、127,000千人なので、人口の約7割は、市街地に住んでいるんです。

  • 市街化区域の面積:1,449,336ha
  • 日本の国土面積:37,800,000ha

つまり、国土のたった3.7%に人口の7割が住んでいるんです。

この数値だけ見ると、改めて、市街化区域が設定されている市町村が、「都市」と言っても良いんじゃないかと思います。

そうしたら、市街化区域が設定されている都市、つまり、区域区分が指定されている都市はどのくらいあるかというと、621市町村(※出展:平成28年都市計画基礎調査)あるんですよね。

この市街化区域は、法律の中で、設定基準として、既成市街地については、40人/ha(ヘクタール)というものがあります。これは、人口集中地区(DID地区)と重なります。

日本って山間部が多く平野が少ないので、高密度な市街地が形成されているところが多いんですよね、なのに、地方都市では、中心市街地がスカスカ・・・

地方の中心市街地は駐車場だらけ、それは経済的な合理性が理由・・・

ただし誤解を招かないようにしたいのが、40/haという数値は、市街地を示すものであって、「都市」を明確に定義付けられるものでもないということ。

法の体系的には、都市があるから、都市計画区域があって、さらに市街化区域が定められるものの、都市と市街化区域はイコールにはならない、つまり、都市=市街化区域 を明確に示していないということです。

ここで、タイトルに戻って、City(市)とは何かを考えてみます。

City(市)とは

Cityには、比較する上で、指定都市、中核市、通常の市があります。*なお、平成27年に特例市は廃止され、現在残る特例市は平成27年施行時に存続していた特例市のみです。

種類要件備考
指定都市・市の要件を備えるもの
人口50万人以上
地方自治法第252の19条
中核市・市の要件を備えるもの
・人口20万人以上
地方自治法第252の22条
市(上記以外)・人口5万人以上
・(市街地戸数/全戸数)≧6/10
・(商工業従事者世帯/全世帯)≧6/10
地方自治法第8条第1項
指定都市、中核市、市の設置要件

【市の要件】
第8条 市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。
 人口5万以上を有すること。
 当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の6割以上であること。
 商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の6割以上であること。
 前各号に定めるものの外、当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えていること。

地方自治法第8条第1項抜粋

上記の表のうち、通常の市(指定都市と中核市を除く)の要件を読んでみて分かることは、地方の旧藩体制由来の市もしくは、大都市圏近郊の市であることが、何となく想像つきます。

旧藩という言葉を使用しましたが、多くの小藩は、館や小規模な城の周辺に城下町を形成していたので、この館・城を中心とする城下町一体がその都市の市街地であり、現在の市の形になっていったと考えて良いのではないかと私は思うんです。(ちょっとマニアックかも)

いずれにせよ、人口5万以上の市の全てが都市であるとは明確に言えないですから、Cityであって、Urbanではないのは確かです。
あくまでも行政区分の一つに過ぎないということ。

特に現代では、小規模な町・村同士が合併して市となっているところもあり、そうした市は、中心地といえるような市街地を持たないところもあり、それは、やはりCityではあるものの、Urbanではないと考えるのが妥当です。

次に都市再生特別措置法を確認してみます。

都市再生特別措置法における都市とは

都市再生特別措置法は、都市計画法がコントロール型(どちらかというと規制型)の都市計画手法に対し、市街地をターゲットにした支援・アプローチを行うどちらかというと誘導型の手法が規定されている法律です。

【目的】
この法律は、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことに鑑み、これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上(以下「都市の再生」という。)を図り、併せて都市の防災に関する機能を確保するため、都市の再生の推進に関する基本方針等について定めるとともに、都市再生緊急整備地域における市街地の整備を推進するための民間都市再生事業計画の認定及び都市計画の特例、都市再生整備計画に基づく事業等に充てるための交付金の交付並びに立地適正化計画に基づく住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化を図るための都市計画の特例等の特別の措置を講じ、もって社会経済構造の転換を円滑化し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

都市再生特別措置法第1条

「都市の再生」という新たな文言が登場します。

法律の目的に記載してあるとおり、都市の再生に主眼を置いた法律でして、平成14年に制定された比較的新しい特別措置法です。

都市という言葉が頻出しますが、「都市」とは何なのかということを国民に伝えていません。

では、法律ではなく、法律の中で定めることされている『都市の再生の推進に関する基本的な方針』から都市の定義を探ってみます。

都市再生法:都市再生基本方針における都市とは

(都市再生の意義)
都市は、人々の生活や経済活動等の場を提供する我が国の活力の源泉であり、より快適に生活できる場の提供等により都市の魅力を高めるとともに、資本や人材等 を呼び込み、立地する産業の国際競争力を向上させる都市再生を的確に推進していくことは、国民生活の向上や経済の活性化等の観点から重要である。

都市再生基本方針(抜粋)

ここにきてはじめて、『都市とは』についての、国の考えが見えてきます。

都市再生基本方針では、都市は、「人々の生活や経済活動等の場を提供する我が国の活力の源泉」としています。

生活と経済活動・・・そう!!最初に登場した、都市計画の理念なんです!

これじゃ、抽象的すぎて分からないと思いますので、今やこの法律の代名詞でもある立地適正化計画について、みて見ると何となく「都市」というものが見えてきます。

立地適正化計画とは

立地適正化計画は、コンパクトシティの形成を進める計画です。計画対象区域は、都市計画法で定める都市計画区域としています。

都市を語り、都市の将来を描いていく中において必須であるこの計画。
計画対象区域を都市計画区域内にしているということは、都市とは、都市計画区域を定めている区域ともいえるんです。

ちなみに、この計画は、同一都市計画区域内の複数市町村が連携して策定することが出来ることとなっているため、都市圏を同一とする都市計画区域を有する市町村の集合体を都市とも呼べると思います。

>>立地適正化計画の詳細を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【立地適正化計画とは?】立地適正化計画の本質や目的を知るお手伝いを行います。

まとめ

都市は、日常生活と産業活動を支える場であり、それは少なくとも、都市計画区域が定められているところであることはわかりました。

つまり、都市の定義については、国がイメージしているものに近い要件は次のとおりです。

  1. 都市計画区域を有している。
  2. かつ、都市計画区域内の内、市街化を図る市街化区域が指定されている。

なお、都市間交通を著しく短くするリニアなどの新たな新交通が発達し、この交通により都市間距離が短くなれば、それらが一体の都市といえるところも今後でてくるかもしれないですね。

時代とともに、都市の規模は変化するのかもしれません。

ということで、今回は、「都市」とはついて、語ってみました。暇つぶしでも読んで頂いた方々ありがとうございました。٩( ‘ω’ )و

最後に・・・都市とは?を考える上では、建築と土木の両方の知識が必須だと思います。
というのも、わたしの実体験として、土木の知識だけではインフラしか分からないし、建築の知識だけでは上物しか分からない。土木と建築の両方を経験してこそ、はじめて『都市』を深く知り考えることになると思いますので、都市計画を仕事にしたいという方は土木と建築の両方を勉強することをお勧めします。