【誤った認識】仮設建築物の定義とは

仮設建築物には建築物や特殊建築物のような定義として、例えば基礎がない建築物だったり、一定期間設置してその後撤去する建築物を仮設建築物というんでしょ?!と誤った認識を持っている方がいますが、実際は違います。

仮設建築物とは、建築基準法第85条に掲げる建築物に該当する建築物のことで災害時を除いて特定行政庁の許可を受けた建築物をいいます。

そのため、「基礎が無いから仮設建築物」、「一定期間しか設置しないから仮設建築物」というような定義ではないことに注意が必要なのです。一般的に仮設建築物とは建築基準法第85条第5項に掲げる建築物のことをいいます。

注)仮設建築物だから建築物は適用されない!というような考えを持ってしまいがちですが、実際は、建築基準法の一部が適用されないのみで、通常の建築物となんら変わりはありません。
*建築基準法が適用されないものは屋根が無いなどのそもそも建築物には該当しないものをいいます。(参考記事:「建築物の定義」と”土地に定着”の意味とは?

特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(〜略〜)について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、1年以内の期間(建築物の工事を施工するためその工事期間中当該従前の建築物に代えて必要となる仮設店舗その他の仮設建築物については、特定行政庁が当該工事の施工上必要と認める期間)を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、〜略〜の規定並びに第三章の規定は、適用しない。

建築基準法第85条第5項

上記は、仮設店舗や事務所などを設置する際に許可を取得する規定でして、原則として1年以内の期間を定めて許可されます。ただし、例えば建て替え工事に伴い1年を超えて仮設建築物を設置しなければならない理由がある場合には、その必要な工事期間について許可されます。

よく、空き地に一時的に仮設のコンテナ(事務所)を設置してもいいんでしょ?という相談があるのですが、実際は、仮設建築物と認められる建築物は、一時的なイベント用の建築物や工事期間中の代替建築物となるわけなのです。

繰り返しですが、「仮設建築物という建築物の構造や仕様などを定めた定義」があるのではなく、特定行政庁の許可を受けた建築物が建築基準法の一部が適用されないこととなるのみです。

もう少し仮設建築物について知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。

>>仮設建築物は許可を受けた後に建築確認申請が必要です。その理由を解説。
>>工事現場に設置する仮設建築物(現場事務所)の建築基準法のルール
>>仮設建築物については開発行為の許可が不要?[都市計画法の解説]

ということで以上です。

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など