この記事では「道路内建築制限(建築基準法第44条)」について解説しています。
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道路内建築制限制限とは?
道路内建築制限とは、原則として建築基準法上の道路内には建築物や工作物、擁壁等を築造してはならないとする規定です。2項道路に面している敷地で道路後退部分の擁壁や塀を撤去しなければならないのはこのためです。
また、重要なのは建築基準法でいう道路とは、建築基準法上の道路のことを指します。ですので、建築基準法に規定されない道路(一部の農道や林道、臨港道路など)は、44条の対象外となります。
道路内建築制限(建築基準法第44条)の対象となる道路はこちらの記事から確認いただけます。
建築基準法上の道路に関する詳しい記事
道路というと多くは公道(道路法上の道路)ですので、基本的には道路内に建築物をつくることは道路法上でも困難です(バス停や路面電車の駅などの公益性の高い道路内施設については建築可)。
法令から説明していきます。道路内建築制限はこちらです。第1項は大原則が規定されており、1号〜4号は例外的に建築が認められる事例です。2項では、4号許可の場合の建築審査会同意の準用規定となっています。
(道路内の建築制限)
建築基準法第44条第1項・第2項
第44条 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
一 地盤面下に設ける建築物
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
三 第43条第1項第2号の道路の上空又は路面下に設ける建築物のうち、当該道路に係る地区計画の内容に適合し、かつ、政令で定める基準に適合するものであつて特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
四 公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの
2 特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
(注)第1項の規定については、不動産取引における重要事項説明の対象!
過去遭遇したことがありますが、ブロック塀を宅地造成の擁壁に使用して、これは塀であり擁壁ではないから道路内建築は可だ!という、ちょっとヤバい人がごくたまにいたりするのですが、違法擁壁な上に塀も建築物ですので注意してください。
では、次に例外許可について説明します。
ただし書き(例外許可等)
建築基準法第44条第1項の規定で「ただし、次に各号に・・・」と記載があります。一号から四号に規定される建築物等については、道路内建築制限が適用されません。
ただし、基本的に公益性・公共性の性質がある建築物などが対象となっているので、一般的な建築物はほぼ意味はないと思ってくれた方が良いです。
一 地盤面下に設ける建築物
二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
三 第43条第1項第2号の道路の上空又は路面下に設ける建築物のうち、当該道路に係る地区計画の内容に適合し、かつ、政令で定める基準に適合するものであつて特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
四 公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの
はじめに第一号の「地盤面下に設ける建築物」ですが、地下街や地下駐車場ってやつですね。地下街も立派な建築物ということ。
次に、第二号の「公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物」ですが、道路内に設けられる建築物として、公衆便所やバス停の上家などをイメージして頂くといいかなと思います。なお、建築するためには、建築審査会の同意を得た上で特定行政庁が許可したものに限られます。
次に、第三号の「法第43条第1項第2号の道路の上空又は路面下に設ける建築物」ですが、こちらは地区計画という都市計画決定(都市計画法第12条の11号:道路の上空又は路面下において建築物等の建築又は建設を行うための地区整備計画)された道路の上空・路面下に建築される建築物です。
※いわゆる立体道路制度というもの(建築物の中を高速道路が突き抜けていたり・・・とか)。ちょっと分かり難いかなと思うのでイメージ図を作成しました。
なお、第三号に関する政令では、主要構造部(建築物の防火上重要)を耐火構造等が規定されています。建築にあたっては、特定行政庁の認定(許可ではない!建築審査会の同意も不要)が必要です。
最後に第四号ですが、第四号は「公共用歩廊その他政令で定める建築物」です。政令で定める建築物の例としては、商店街のアーケードや道路上空の渡り廊下(渋谷駅周辺)、高架道路下、高速道路内の建築物などが対象となります。
なお、第四号については、特定行政庁の許可が必要となる他、建築基準法第44条第2項の規定により、許可の前に建築審査会の同意が必要となります。
まとめ・最後に
繰り返しですが、建築基準法第44条(道路内建築制限)については、大原則として、建築基準法上の道路内では、建築物と擁壁(建築物の敷地を造成するための擁壁)を建築・築造してはならないと規定されています。
ただし、公共・公益性等のある建築物については、適用除外(特定行政庁の許可等が必要)
2項道路においてセットバックする部分に建築物や擁壁を築造してはならない根拠法令は建築基準法第44条第1項となります。詳しくは下記の記事でも解説していますので、より理解を深めていきたい!という方は是非ご覧ください。
2項道路に関して理解を深める記事
それでは以上となります。この記事が業務の参考になりましたら幸いです。
大原則として、建築基準法上の道路内では、建築物と擁壁(建築物の敷地を造成するための擁壁)を建築・築造してはならないと規定されています。
※建築物:建築基準法で規定する建築物
※擁壁:建築敷地造成のための擁壁であり、建築敷地以外の擁壁(単独の青空駐車場などは建築基準法上は擁壁築造可)