【空き家所有者は必読】令和5年改正「空家等対策特別措置法」が令和5年12月13日に施行!!

この記事では、令和5年通常国会で成立した「改正空家等対策特別措置法」の重要なポイントを解説しています。

改正法は令和5年12月13日(水)に施行され、空家所有者にとって重要な改正内容が含まれています。




改正法の公布日・施行日

今年6月に通常国会で成立した「改正空家等対策特別措置法」。正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号」といいます。

今回の改正では比較的関連する法律が少なく本法を含む次の4つの法が改正されます。

  1. 空家等対策の推進に関する特別措置法
  2. 地方税法
  3. 独立行政法人都市再生機構法
  4. 独立行政法人住宅金融支援機構法

最も重要なのは❶の本文です。

次に、地方税法が改正されることが大きなポイントです。

特に固定資産税・都市計画税が関わるため空家所有者は注目せざるを得ない部分です。私個人としては、今回の改正で最も重要な箇所が地方税法の改正かと思います。

公布は令和5年6月14日、施行は公布の日から6ヶ月以内施行でかつ政令で定めれた日とされており、その日は令和5年12月13日に決定しています。
>>>詳細は国土交通省HP(外部リンク)

>>>空き家の定義はこちらの記事を参照

何が変わるのか(ポイントは3つ)

それではここから改正のポイントです。

改正のポイントは3つです。

改正法のポイント
  1. 活用拡大→空き家・空き地の利活用
  2. 管理の確保→老朽化した倒壊等の恐れのある危険な空き家発生の未然防止
  3. 特定空家の除却等→放棄・所有者不明空家の処分の円滑化

上記のうち、❶や❸は行政や公的機関が能動的に対策するための措置で、❷は空家発生の未然防止の観点から空家所有者に影響する措置となっているのが特徴的です。

❶の活用拡大では空家活用を促進するための支援措置として、建築基準法及都市計画法の規制緩和(接道緩和、市街化区域内での用途変更緩和、市街化調整区域内での用途変更緩和)が設けられています。

❶の新たな制度として活用できるかは、活用促進区域を定める必要があるため行政の方針次第です。さらに一部コンパクトシティ形成と矛盾する制度となっているため、都市計画制度との調整が必要となります。このため自治体ごとに柔軟に対応していくと考えられます。

❷の管理の確保では、特定空家となる可能性の管理がなされていない「管理不全空家」に対して、行政が「勧告」した場合に”住宅用地特例”が解除されます。

住宅用地特例とは、固定資産税の課税標準について、200㎡以下の部分は1/6に減額、200㎡超は1/3に減額される措置です。
→空家所有者にとっては最も気になる部分かと考えられますので次項で詳しく解説しています。

❸緊急代執行制度の創設

従来では、除却等の命令を行った後相当の猶予を設けて代執行が行われます。

今回の緊急措置では、命令や猶予を設けずに代執行が可能となります。加えて、行政には、所有者への報告徴収権が付与されます。

関連記事

❶の活用拡大のうち、建築基準法関連(規制緩和措置)についてはこちらの記事にまとめています。

空家を放置すると、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が解除

現行法でも特定空家等に該当し、かつ行政から勧告を受けている場合には住宅用地特例が解除(適用外)となる制度が設けられていますが、今回の改正では、この特定空家等に加えて「管理不全空家」も住宅用地特例解除の対象となります。

解説の前に特定空家等と空家等の定義の解説です。

特定空家等…空家等対策特別措置法第第2条第2項
特定空家等は以下のいずれかに該当する「空家等」のこと。
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

空家等…空家等対策特別措置法第2条第1項
空家等は以下のいずれかに該当するもので、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)
・建築物
・建築物に附属する工作物
(注)国又は地方公共団体が所有又は管理するものを除く。

住宅用地特例とは?

住宅用地特例とは、戸建て住宅や長屋、共同住宅などの住宅用地のみが適用される地方税法の特例措置(特別措置法ではなく地方税法に記載されている常設の特例。住宅用地のみ適用される固定資産税の特例)のことです。具体的な計算例を用いて説明します。

・土地面積:300平方メートル
・固定資産税評価額:3,500万円(公示価格・実勢価格の7割程度)
(注)計算を簡略化するため負担調整措置を考慮しない

【固定資産税】
(1)小規模住宅用地の課税標準額(200㎡まで)
 3,500万円(評価額)/300㎡*200㎡(小規模住宅用地面積)*1/6(小規模住宅用地の特例率)≒389万円
(2)一般住宅用地の課税標準額(200㎡超)
 3,500万円(評価額)/300㎡*100㎡(一般住宅用地面積)*1/3(一般住宅用地の特例率)≒194万円
課税標準額=(1)+(2)=389万円+194万円=583万円

固定資産税額=583万円*1.4%(税率)=81,600円

【都市計画税】*市街化区域、市街化調整区域及白地は条例指定
(1)小規模住宅用地の課税標準額(200㎡まで)
 3,500万円(評価額)/300㎡*200㎡(小規模住宅用地面積)*1/3(小規模住宅用地の特例率)≒778万円
(2)一般住宅用地の課税標準額(200㎡超)
 3,500万円(評価額)/300㎡*100㎡(一般住宅用地面積)*2/3(一般住宅用地の特例率)≒778万円
課税標準額=(1)+(2)=778万円+778万円=1,556万円

都市計画税額=1,556万円*0.3%(税率)=46,600円
*税率は自治体によって異なる(上限0.3%)

このケースでは、固定資産税+都市計画税で年間約13万円の税(土地)が生じます。これに加えて家屋に対して固定資産税及び都市計画税(10〜15万円程度)が発生します。

仮に住宅用地特例が解除されると、課税標準額は583万円から3,500万円となります。これにダイレクトに1.4%(固定資産税)+0.3%(都市計画税)の税率がかかるため、3,500万円*1.7%となり年額は59.5万円となります。

特例空家等でこれまでに勧告を受けた件

国土交通省

住宅用地特例が解除される「特例空家等」で、かつ市町村から「勧告」の処分を受けたものは961件となります。特定空家等に該当するものが約4万戸あるため総数に比べて少ないと感じるかもしれません。

また、勧告に至る前の「指導」を受けている件数は10,855件となっています。勧告を受ける前の予備軍です。ここで行政の指導に従わずに何も対策を取らなければ「勧告」の対象となります。

新たに追加される「管理不全空家」とは

管理不全空家とは、今回の改正により新たに加えられた空家です。

空家と特定空家の中間の位置付けで、法律上は「空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあるもの」とされます。

この「管理不全空家」に対して市区町村は指導が可能とされます。行政が指導をしても状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等となる可能性があるものは修繕や立木の伐採等の必要な措置の「勧告」を行うことができます。

この「勧告」を受けることで住宅用地特例が解除(適用外)されます。
*地方税法の特例措置の対象外となる。

(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)
第三百四十九条の三の二 専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるもの(前条(第11項を除く。)の規定の適用を受けるもの並びに空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第13条第1項に規定する管理不全空家等及び同法第22条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第2条第2項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第349条及び前条第11項の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額とする。

地方税法第349条の3の2(令和5年12月13日以降)

管理不全空家の具体的な基準については「告示(指針)」で定められる予定です。

先月実施されたパブリックコメントでは、管理不全空家及び特定空家等とならないための管理の指針が示されているので参考掲載しますと次のとおりです。

項目具体的な防止項目概要
①保安上危険の防止のための管理倒壊建築物、これに附属する門、塀、屋外階段等又は立木の倒壊を防止
擁壁等の崩壊擁壁等の崩壊を防止
落下屋根ふき材、外装材、手すり材、看板等(上部にあるものに限る。)、軒、バルコニーその他の突出物又は立木の枝の落下を防止
飛散屋根ふき材、外装材、看板等、立木の大枝又はごみ等の飛散を防止
②衛生上有害の防止のための管理石綿の飛散吹付け石綿等の飛散を防止
健康被害の誘発汚水等、害虫等又は動物の糞尿等による健康被害の誘発を防止
③景観悪化の防止のための管理景観悪化屋根、外装材、看板等の色褪せ、破損若しくは汚損又はごみ等の散乱若しくは山積を防止
④周辺の生活環境の保全への悪影響の防止のための管理悪臭汚水等、糞尿等又は腐敗したごみ等による悪臭の発生を防止
不法侵入開口部等の破損等による不法侵入を防止
落雪による通行障害等落雪による通行障害等を防止
立木等による破損・通行障害等立木の枝等のはみ出しによる周囲の建築物の破損又は歩行者等の通行の妨げ等を防止す
動物等による騒音・侵入等動物等の棲みつき等による騒音の発生又は周辺への侵入等を防止
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針(案:パブコメ),(空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針の変更案に関する意見の募集について),令和5年10月25日

なお、おそらくですが、施行日となる13日又はその数日前には「管理不全空家」に対するガイドラインが公表される思われます(自治体の担当者が参考・参酌する指針)。
*自治体の担当者は必見(国や都道府県から技術的上限として通知文書が届くはずです)

近隣に迷惑がかからないよう立木や雑草等の除去、住宅の換気、雨漏り防止、動物の侵入防止(窓ガラスや通風孔の修繕)などを行っていれば管理不全空家となることはないと思いますが、空家等の所有者の方で放置し続けている方はガイドラインが公表されたら確認しておくことをお勧めします。

ガイドラインはこちら(>>>国交省空家特別措置法関連)のページに掲載されるはずです。

住宅用地特例が解除される勧告とは

住宅用地特例が解除される「勧告」は、今月13日から施行される改正法第13条第2項に次のように規定されます。

市町村長は、前項の規定による指導をした場合において、なお当該管理不全空家等の状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、当該指導をした者に対し、修繕、立木竹の伐採その他の当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な具体的な措置について勧告することができる。

空家等対策特別措置法第13条第2項

空き家(敷地を含む)を適切に管理していないと、はじめに「指導」が入ります。指導を受けてもなお改善されず、このまま放置すると危険な特定空家となる可能性がある場合には「勧告」となります。

「勧告」では「〇〇の状態を〇〇すること」などのように具体的な措置(行動)をとるよう求められます。加えて、行政手続法等に基づき氏名及び住所等が自治体のホームページ上で公表されます(各自治体によって対応が異なる)。

特定空家のケースでも、指導(10,855件)を受けても改善せずに勧告を受けている空家がこれまで961件あります。
特定空家よりも前の段階での基準ですので、管理不全空家の総数は特定空家の6〜7倍程度と推定されるため、法施行後は指導・勧告を受ける空家数は今後数年以内には10万件近くに及ぶのではと考えられます。

最後に。空家所有者の方へ

相続人が不明の所有者不明空家の場合には、手立てが限られるため行政が代執行により解体するなどの措置が必要かと思います。

一方で、所有者が分かる場合、つまり空家を自ら所有している場合にはその処分・活用をどうするか悩んでいる方が多くいるはずです。国の最新のデータでは空家等は約54万戸とされています。毎年増え続けています。

とはいえ、所有者の悩みは”高く”売りたくても売れない土地であると考えられます。

市街化区域でかつ接道が問題ない状況であれば比較的買い手はつきやすいです。むしろ都市部の市街地であれば世帯数は増加しているため需要増のため高望みしなければすぐに売れます。

ですが、おそらく空家所有者の悩みの理由は、接道の取れていない土地、市街化調整区域、都市計画区域外、崖地に近接、災害リスクの高い地域などかと考えれます。つまり、買い手が少ない土地です。こうした土地に築20年以上も経過した住宅が存地されていれば解体費を含めるとマイナスでお金を払うので引き取ってくださいの状態だと思います。

地方では人口が増加しない限りは需要が減少していくのみですので、売れなくて当たり前です。そのような状況であっても売りたいのであれば地道に進めるしかないです。そして、タイミングと(価格面での)妥協です。

まずは、地域の法制度に精通した建築士や不動産事業者に相談することをお勧めします。また、土地に未練がないのであれば解体した上で相続土地国庫帰属制度を活用し国に譲る(帰す)ことを検討することも選択肢の一つです。

それではまた〜!
(久々の投稿となってしまい大変申し訳ありません。これから少しづつ従来のペースに戻していきますので、これからも当ブログをご贔屓ください!)

建築基準法の特例制度の解説はこちら

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など