将来、損をしたくないなら今できること”コンパクトシティ(Compact City)”に取り組もう

・コンパクトシティが重要なのは分かっているがどういった都市計画手法があるのか。
・コンパクトシティが必要な理由はある程度分かるが実現化できるのか。

この記事は、まちづくりを担当、若しくは将来、まちづくりに携わりたいと考えている方の悩みを解決する記事です。

また、自分が住むまちが将来、どうなってしまうのか気になる方も読める記事です。

実務上では、規制と誘導を行う都市計画を組み合わせて都市づくりを進めていくことになりますが、そもそもの都市計画の手法を理解していないと都市計画とは何かすら話すことはできなません。

一応、読み終えた後は、ある程度の都市計画に関する基礎知識を得ているはずです。




コンパクトシティの形成に効果がある都市計画の手法

はじめに結論から説明します。

コンパクトシティを実現するには「規制」と「誘導」が重要です。

規制とは、市街地をこれ以上拡散させないために市街地縁辺部での住宅建築や商業施設の建築を制限することです。

次に、誘導とは、都市に住む方に市街地での居住選択が可能となるよう、中心市街地に日常生活に必要な機能の立地やインセンティブとして住宅取得補助・賃料補助などを実施していくことです。

上記のように「規制」と「誘導」という方法がありますが、誘導は規制と異なり不確実性が高いことが難点となります。

というのは、「誘導」しても郊外を選択する余地が残されているからです。

逆に、規制は、法的に確実に住宅の建築制限を行うことが可能です。
そのため、都市計画を用いてコンパクトシティの形成を進めるには、「規制」に取り組むことがまず必要です。

でもですね、実務上は既得権益があるので簡単には進められないのが実情です。

では、「規制型」にかかる都市計画手法の紹介です。
現在の都市計画法では、次の手法が考えられます。

法令 名称 概要
区域区分 法第7条 市街化調整区域 ・市街化を抑制すべき区域として指定
・市街化調整区域内は原則として開発・建築が不可能
地域地区 法第8条 特別用途地区 ・用途地域を補完することを目的に指定
・規制と緩和の両方どちらとも可能だが、市町村による条例化が必須
法第8条 特定用途制限地域 ・非線引き都市で活用することが可能
法第8条 居住調整地域 ・平成26年に制定された新たらしい地域地区の一つ。
・市街化区域内のうち、立地適正化計画で規定する居住誘導区域外で指定可能

それでは、一つずつ解説します。

市街化調整区域の活用

個人的な見解としては、市街化区域を市街化調整区域とする逆線引きが最もコンパクトシティ形成に効果があると考えています。

特に人口減少が進んでいる都市では市街化区域は広げすぎ感が高いので、早急に未利用地などは市街化調整区域にするべきです。

市街化調整区域が効果があるとする理由は、原則として農林漁業者のための住宅等の建築程度のものしか建築することができないためです。

未利用地が多い市街地縁辺部等を市街化調整区域に指定することで郊外への開発圧力を抑えることが可能です。

とはいえ、何点か課題があります。

・地方都市では郊外への開発圧力自体が減少してくる可能性が高い
→おそらく、人口減少と世帯数の減少により新たな住宅開発は起こりにくいと考えてよいです。
しかしながら、郊外は地価が低いことや未利用地と異なり既存建築物を除却する必要がないなどの理由から開発しやすく一定数は開発が続くものと想定されます。

・住民からの反対
→市街化調整区域となることで土地の価値は下がります。
そうすると、既得権利者であるもとから住んでいる居住者は間違いなく反対します。
自分の土地の資産価値が下がるので、都市全体のメリットよりも個人資産がどうなるかの方が大事だからです。

→都市計画税を徴収してきたにも関わらず、市街化調整区域になったのではちょっとな…という気持ちも分かります。

特に後段の「住民からの反対」というのは、最も困難な都市計画手法の一つでもあります。

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特別用途地区の活用

特別用途地区は、用途地域を補完する目的を持って指定するもので、緩和の場合には大臣承認が必要となりますが、規制の場合には承認は不要となります。

住居系用途地域で住宅の建築を排除する規制は、用途地域そのものの趣旨(意味)を無くす行為となるため都市計画の理由として成立することは困難であると考えられますが、準工業地域や工業地域では、「住宅」の建築を制限することが可能と考えられます。

ただし、工業系用途地域では、町工場のように住宅併用型のケースや、既に住宅開発により団地が形成されているケースもあるため、一概に「住宅」を規制することが正しいとは言い難い面があります。

また、特別用途地区を指定しても既存不適格建築物となるため、建て替えや増築は可能のため、効果は限定的であることが考えられます。

また、市街化調整区域とまではならないものの、住民による反発は必至となることが考えられます。

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特別用途制限地域の活用

非線引き都市(区域区分の指定を行なっていない都市)で活用される地域地区ですが、そもそも非線引き都市で居住系用途を制限する場合には、平成26年に新たに居住調整地域が活用できるため、わざわざ特別用途制限地域を指定する必要は低いように感じます。

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という事で、次の項の「居住調整地域」をご覧ください。

居住調整地域の活用

居住調整地域は、既に青森県むつ市(非線引き都市)で活用されていますが、この地域の指定により、住宅に限って開発・建築の制限を行うことができるようになるものです。

ただし、条例化により制限を厳しくしないと、住宅建築全てを排除することができず、効果が限定的であるため、行政側の本気度が試されるように思われます。

むつ市のように非線引き都市であれば、そもそも市街化調整区域がないため、白地地域に用途上の制限がないことから、市街化調整区域に代わり郊外の開発圧力を抑えるのに効果を発揮するものとしての活用が考えられるところです。

線引き都市の場合には、住宅建築を段階的に制限したい場合(市街化区域の中)に、最初の取り掛かりとして居住調整地域を設定するのは一定の効果があるかなと思われます。

前述している特別用途地区により居住系を制限するよりは、この居住調整地域を指定して、住宅を段階的に排除していき、将来的に土地利用が行われないことが確実になったところや、住宅が市街化調整区域並みといえるような状況になれば、市街化調整区域に指定することが可能になると考えられます。

なお、行政側としては、立地適正化計画に居住調整地域の位置を記載することになるので、コンパクトシティの形成を推進する立地適正化計画との整合性もあり理由も明確なことから、都市計画決定しやすいと思われます。

という事で、規制をする上で現実的なのは居住調整地域と考えれます。

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規制型の都市計画手法のまとめ

 

以上、4つの規制型手法を紹介しましたが、どれでも行政側で実施していく内容ですよね。

いずれも、一住民一人の声でどうにかなる内容ではないですので、住民側として本気で取り組みたいのであれば行政と連携して取り組むことが重要です。

では、住民側でできることとして何があるか。

一つは地区計画があります。

地区計画においても住居系の用途を制限することは法律上可能です。

ただ、これも課題があり、住民自らが住宅を制限する行為をそもそもするかということです。
一般的には土地の価値に影響が出る、ましてや下がる恐れがあるのであれば都市計画は誰もが認めたくないですよね。

とはいえ、住民側が都市計画提案を活用して市町村に都市計画の決定を提案することができるので抑えておくべきポイントとなります。

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結局のところ、、、

住民の理解が最も重要であり、理解を得られた地域から規制型(居住調整地域)の都市計画により、一定規模の住宅開発等を抑えながら、「誘導型」の都市計画等(市街地再開発事業や高度利用地区による容積率の緩和、魅力ある都市機能の誘導)により、中心市街地内の魅力を高めていくのが現実的ではないかと思われます。

また、立地適正化計画を上手く活用(PRや届出制度)していくことも重要ではないかと思います。

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いずれにしても、広げ過ぎた市街地をたたむ勇気は必要不可欠です。
たしかに一旦広げた裾野を狭めるのは難しい・・・けれども今やらないと、将来、経済合理性を欠く都市が形成される可能性が高まり、後世に大きな課題を託すことになります。

今できることを私達がやるしかありません。
そのため、行政側に任せきりにせず、民間企業としても社会貢献の一環として取り組んでいくべきことだと考えられます。

ということでここまでが「規制型」の都市計画手法です。

今回の記事はこれで終わってしまうのですが、それでは単に手法紹介で終わってしまうので、ここからはコンパクトシティ形成が何故必要か、少し深掘りして解説します。

番外編:コンパクトシティが求められている理由

コンパクトシティの形成を進める上で必要なポイントは二つの機能です。

居住機能と都市機能

居住機能は住む場所。
都市機能は衣食と仕事を提供する場所。

また、都市機能の次に重要なのが「工業」です。
特に地方は、製造品工場等の第二産業で支えられているケースが多いため、外せない要素となっています。

では、コンパクトシティを形成するには何が重要かですが、次の項で解説します。

コンパクトシティの形成で大切なポイント

① 市街化区域内(人口密度が高い地域:DID地区など)の人口密度を維持若しくは向上
② 市街化区域を縮小

現在、多くの地方都市では今後の急速な人口減少を大きな課題と捉えその解決策を探っているところです。

理由としては人口減少により経済が縮小し、これまでは規模(密度)の経済により支えられてきたものが崩壊する可能性があるため、今のうちから対処して、効率的かつ最適化された都市を形成し、人口減少に備えようとしているものです。

国土交通省が公表している都市モニタリングシートによると、10~40万人都市の人口平均値は平成27年から30年間で、平成27年の8割程度になると予測されています。

これはあくまでも平均値です。

都市別にみてみると、

減少率上位3は、小樽市が49.6%、石巻市が58.9%、桐生市が58.8%と大きく減少します。

一方で増加する都市もあり、つくば市は107%、草津市や沖縄市は106%となっています。

このように、現在でも都市ごとに差が生じていますが、それが人口減少という形で、人口減少が著しいと都市には、経済という側面でボディブローのように効いてきます。

では、何故そこまで人口密度が重要とされているかですが、

人口密度との相関関係の指標として、行政サービスの効率的な提供や医療・商業等の日常生活サービス施設の立地などが上げられています。

国土交通白書や「都市構造の評価に関するハンドブック」を見ると人口密度との相関関係が分かるようになってます。

人口密度は経済を維持するのに必要です。

例えば、地方では学校が再編される動きが加速していますが、これも人口密度の問題です。
人口構造の変化も関係しますが、都市全体の人口はさほど減少していないものの、学校施設や教師の給料等を支えるだけの人口がその周辺にいないことが問題となり閉校となります。

この人口密度に関しては、以前、スターバックスコーヒーに係る記事を書いたので、興味がある方はこちらの記事もご覧ください。

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とはいえ、今後のテクノロジーの進化により人口密度の減少を帳消しにすることができるような技術が出現するはずです。
期待して、4・5年先を注視しておきましょう。

このまま何もせず進めば、恐らく20年後に、都市とは呼べない消滅する都市が出現するはずです。

(参考図書)
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

 

市は、町や村になるかもです・・・
さらに、町や村の一部はなくなるでしょう。

そういったまちでは、これまで以上に生計を立てるのは非常に難しいくなるかもですよね・・・
そしたら、近隣の都市に移住せざるを得ない状況になることが考えられますね。

本記事の最後のまとめ

ということで今回の記事は以上となります。

現在の都市計画手法における規制型の手法として、現実的には居住調整地域かな?と思われます。

コンパクトシティに関しては今後も各都市の動向を注視して発信していきますので、最後までご覧になった方は次もぜひご覧ください。