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【地区計画条例】地区計画は必ず建築基準法による条例化しなければならないの??

この記事では、都市計画法に基づき都市計画決定される「地区計画」について、地区計画で定めた内容は必ず条例化しなければならないのか。という疑問に答えていきたいと思います。

こんにちは。やまけん(@yama_architect)といいます^ ^
建築と都市計画関連に10年以上の実務経験を基に建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。




結論:条例義務化しなければならない規定はない

国土交通省によると令和2年3月末時点で全国に8081地区計画(都市計画施行状況調査)存在しています。
*条例化数については統計データから見つけることは出来ませんでした・・・すみません。

先に結論から話すと、必ず義務化しなければならないとする規定はないです。

(この記事でいう地区計画とは、防災街区整備地区整備計画歴史的風致維持向上地区整備計画沿道地区整備計画集落地区整備計画などの個別法に基づく地区計画を除く、都市計画で定められる地区計画をいいます。)

地区計画とは、街区単位のきめ細やかな街づくりを行うために住民・事業者合意(発意)のもと都市計画決定されるものです。

都市計画法上は地区計画が決定されると、その区域内において一定の建築行為等を行う場合には行為着手の30日前までに市町村長に届出を行う必要があります。
>>都市計画で指定される地区計画の届出方法を分かりやすく解説しています。

しかしながら、地区計画を都市計画決定したのみでは、法的拘束力がなく、市町村長による”勧告”どまりとなっています。

そのため、法的拘束力を付加されるために建築基準法に基づき市町村条例化することで建築確認申請時にチェックを受けるとともに完了検査においてもチェックすることが可能となるため地区計画の実行力が高まるとするものです。
>>建築基準法第68条の2に規定されています。

(市町村の条例に基づく制限)
第68条の2 市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。

建築基準法第68条の2第1項

一般的には、地区計画の範囲内の地権者数が多ければ多いほどその実行力・効果が高まるので、景観・街並みを整え街区のブランドを維持することを目的に実施する場合には十分に効果が発揮すると思います。

条例化の難しい側面

では、話は戻りまして、この地区計画の建築基準法条例化ですが、地区計画を定める際の指針でもある都市計画運用指針上でも”条例化しなさい”とする記載はないです。

当然、条例化するかどうかは自治体の裁量によるので地権者等からの要請・要望があってはじめて条例化に向けて行われるのかなと思います。

市町村において条例化するとなると議会をとおす必要があるためやる気のない人が担当だとすると”やらない理由”を探すのかなと思います・・・(泣)

とはいえ、条例化した方がいいに決まっている規定ですから、条例化しない理由というより”言い訳”にしか聞こえない気もしますが、昭和55年頃の当初に定めた地区計画の場合には、現在の法律用語と整合が図られていないケースや地区施設が整備されていないケース、地区計画に違反しているケースがあると思いますので、既存地区計画を条例化するのは住民との合意形成に時間と労力がかかると思います。

条例化するのであれば、これから定めようとする地区計画に対し将来の街並みを担保する上でも条例化するのが望ましいのかなと思います。

民間事業者が行うことが可能な都市計画提案の場合には条例化を見据えて行政と協議していくのが望ましいのかなと思います。

結論・まとめ

ということで、解説してきましたが、建築基準法・都市計画法においては”条例化しなさい”と規定はないですので、法上は”条例化することができる”となります。

なお、地区計画でも国土交通大臣承認を得て、用途地域の制限内容を緩和する場合(緩和型地区計画)には市町村条例化は必須要件となるので注意してください。(下記法文参照)

市町村は、用途地域における用途の制限を補完し、当該地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域の特性にふさわしい土地利用の増進等の目的を達成するため必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、第一項の規定に基づく条例(*地区計画条例)で、第48条第1項から第13項までの規定による制限を緩和することができる。

建築基準法第68条の2第5項

以上となります。業務の参考になれば幸いです。

その他、地区計画を更に理解するために参考となる記事。

>>建築基準法に基づく地区計画条例と都市計画法に基づく届出制度の違いを解説






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など