この記事では、不動産投資の視点から立地適正化計画について簡単に思っていることを話していきたいと思います。長年、地方の都市政策に携わってきた知識を発信しておりますので、地方で不動産投資の実務に携わっている方にはメリットがあると思います!!
とその前に簡単な自己紹介です!
やまけんといいます。
このブログでは、建築基準法や都市計画法、不動産取引などに関して業務に役立つ豆知識を発信しています。
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まちの動きを把握する不動産業
不動産業をされている方であれば、今後、どういった地域で土地が動くことになるのか知りたいと思います。
当然、地方でも中心市街地や郊外の優良団地のみ見てればOKと思っている方もいるでしょうけど、地方でもそうした土地が動くのは当然として、もう少し将来の都市構造を見据えてみるのもいいかもしれません。
立地適正化計画が制度化されてから、約9年(平成26年8月施行)が経過しようとしてますけど、この計画で指定するエッセンシャル機能の誘導を図る都市機能誘導区域と居住の誘導を図る誘導区域が不動産取引における重要事項説明の対象となっていることもあって、だいぶと建築・不動産業界に浸透して来たんじゃないかなと思います。
とはいえ、三大都市圏+福岡 とそれ以外の地域(地方)では温度差が大きく。
首都圏や指定都市の一部では今後も人口は維持若しくは増加するので立地適正化計画をつくる必要性がないです。
こうした地域は、郊外への開発圧力を抑えながら、潤沢な資金を活用して街中への投資を積極的に行っていれば自然災害を除き安泰という感じだと思います。
一方で、地方は別です!
下の図は、2015年を100とした場合の2045年の人口指数です。赤色である三大都市圏と一部の指定都市以外は人口が減少することが分かってるので、正直、青色のところは都市とは呼べなくなる市が続出するはずです。
人口減っちゃうんですよ・・・
地方は、人口減少と高齢化率の上昇が進むことが予測されていて、それにあわせて都市をコンパクトにしていこうとする政策である立地適正化計画の策定が進んでいます(令和3年4月1日時点で383都市が策定済)。
また、現在では立地適正化計画に防災上の配慮を求める傾向となっているので、単純モデルでコンパクトシティをつくるのではなく防災面も考慮しないといけないです。
全国の立地適正化計画を読むと、明らかに補助金が欲しいからつくっているケース、国につくれって言われたからとりあえずコンサルにつくらせたケース、本気でヤバいと思って職員自らがつくったケースの3種類に分かれると思います。
本気でつくっているかどうは、読めば分かります!魂なるものが伝わってくると思いますよ。一般的な本と一緒です。しかしながら、やばみなコンサルがつくったものやテキトーにつくったものは危機意識がまるで感じませんし、ただの冊子化しているところもあったりします・・・(泣)
自分の住んでいる市町村の本気度を知る上でもまずは、立地適正化計画の中身を確認することが大切かなと思ったりしています。仕事忙しいと思っても、行政さんのホームページからダウンロードしてみてください。
まちづくりに不公平は不可避
都市政策の次のステップとして、昭和期の甘い人口予測で拡大し過ぎてしまった線引きの見直し(市街化区域から市街化調整区域への逆線引き)や市街化区域縁辺部の居住を調整するといったことを本気で取り組まないと、DID地区の拡大は止まらないと思います。
人口を頼りに出店している飲食店や店舗は人口と人口密度がめちゃくや重要です。
うちは関係ねぇ〜〜〜と言うのなら別にいいけど、DID地区が拡大し、40人/haを下回るようになりそもそもDID地区が消滅したら、市街地とは呼べなくなるでしょね。
市街地と呼べないのなら市街化区域や市街化調整区域を廃止でもいいくらい。そしたら都市とは呼べないです。国土が狭い日本では都市間競争に負けて衰退が加速します。
そうはならないために立地適正化計画では、ある程度の切り捨てる覚悟を持っています。
「公平なまちづくり」で都市全体が滅ぶ可能性もあるんだから、投資しない地域を決めたり街から撤退する地域を決めていかないとヤバみです。
どのような結果になるにしろ今後、地方では自然と緩やかにコンパクト化が進んでいくことが考えれます。一人一人の人生の節目での決断(入学、卒業、結婚、出産、子育て、老後)において、いかにして戦略的にまちなかへ誘導していくことが求められているわけです。
中学・高校の社会の授業で都市計画を勉強しないので、こうした知識が不足している人に対して正しい知識を持ってなんて無理無理・・・そこは行政や不動産業の方々がやるしかない。
不動産業が都市政策を牽引する時代
地方行政に都市づくりのプロなんてほぼいません。
というのも、人口規模が小さい脆弱な都市であるほど、都市政策全般に関して知識を習得する機会そのものが少ないため仕方ないのかもしれません。ですので、コンサルや都道府県頼りになっていたりします。
でもそれって、合理的ではあるけど、いかにも中央集権的ですよね。
だからこそ不動産業界で都市をつくりあげていく時代にあると思います。
自分達の食い扶持を維持するためにも一定の地価の維持は必須。だからこそ、郊外から居住誘導区域への誘導は積極的にやって行かないと都市も会社も自然消滅・・・みたいなことになりかえない。それを出来るのは不動産業界しかない。
合理的・論理的に正しい都市計画を提案していくことができる不動産業界は都市にとって必要不可欠な存在なんだと思います。
また、繰り返しですが、立地適正化計画や各種都市計画では、業界から行政に対して都市計画を提案する制度が用意されていますので、合理的・論理的に考えて行政の動きが都市にとって悪い影響をするようなら、遠慮せずに声を大にして間違いを指摘した方がいいです。
ということで今回は以上です。それではまた!
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