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【建築主事・確認検査員を目指す人向け】指定確認検査機関と役所のどちらがおすすめ?

悩まれている方の為になるかなと考えてこの記事にまとめています。

この記事では、将来、建築確認審査に関する業務に携わりたいと考えている方向けに「指定確認検査機関と役所」どちらを選択したらよいの?という疑問にお答えしています。

なお、あらかじめご了承いただきこととして、私の独断と偏見も含まれていますので十分に注意して読んでくださいませ。

解説の前に簡単な自己紹介です。

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新卒の場合に悩む指定確認検査機関と役所(建築職)

将来的に建築に関わる仕事をしたい!と思い建築学科や都市計画系の学科のある大学に進んだ方にとって、”建築主事や確認検査員”は目指したい職種の一つですよね。

この建築主事や確認検査員になるためには「指定確認検査機関」か「役所(建築職)」に就職して確認審査等の業務を経験する必要がありますが、新卒者の方にとってはどちらを選択すればよいのか悩むのではないかと思います。

私自身、長年の役所勤務や、仕事・友人関係で指定確認検査機関とのお付き合いができたおかげで双方のメリット・デメリットを語れるようになったのかなーと思います。

とはいえ、役所勤務が長かったこともあって少しだけ役所よりのバイアスがかかっていると思いますので文書を読む際にはご注意ください。

ちなみに私の場合は、都市計画やまちづくりの経験を得たくて役所を選択しています。

本記事を読む前の補足記事

指定確認検査機関のメリット・デメリット

指定確認検査機関とは、国または都道府県が指定した法人等のことです。

建築物や工作物の確認審査・検査等を行う機関のことをいいます。1999年の建築基準法改正により確認検査員(=民間建築主事)とともに制度化されています。

以前、役所の先輩から聞いた話では立ち上げ当初の指定確認検査機関は役所からの出向や役所OB(今でも多い)により審査検査体制を確立していったらしいです。

特に地方都市に設置してある指定確認検査機関は株式会社ではない財団法人が多いかと思います。

これは立ち上げ以前は定期調査報告の窓口業務などで第三セクター的な役割の側面があり、こうした業務に確認検査業務を追加したかたちです。

ですので、地方では特に顕著だと思いますが役所OBの再就職先となっています。

代表的なメリットとしては次の3つです。

  1. 全国の特定行政庁の取り扱いの知識を習得可能
    (注)全国を業務範囲としている指定確認検査機関の場合
  2. 役所に比べ審査検査件数が多いため建築法規の習熟が早期
    *役所に比べると早期に建築基準適合判定資格者試験に合格しやすい
  3. 指定確認検査機関では建築確認審査以外にも省エネ法に基づく審査や長期優良住宅の審査に携わる機会が多い。

新卒者として指定確認検査機関に就職する最大のメリットは、確認審査の専門機関のため一人あたりが取り扱う件数が役所よりも多いため比較的早期に建築法規を習得可能です。

こちらの資料は近年の確認検査件数の推移です。最新値である令和3年度をみると、年間56万件の審査件数のうち約93%は指定確認検査機関が行っています。

役所が担っているのは、計画通知を合わせても年間約5万件となります。

R1年度R2年度R3年度
建築主事48,80241,93439,873
計画通知8,4388,1157,528
確認検査機関520,467475,332515,929
※建築確認件数の推移(出典:国土交通省)

また、地方の検査機関ではなく、全国を業務範囲としている指定確認検査機関の場合には、役所ごとに微妙に異なる法解釈の取り扱いに触れる機会も多くなるためより建築法規を熟知する速度が早い傾向にあります。

さらに役所では部署異動があるため建築職で入庁したとしても、必ずしも建築確認の審査や検査業務を経験できるわけではないですが、検査機関では建築基準適合判定資格者になるための実務経験を早期に得ることが可能な点としてはおすすめです。

加えて、規模や構造が様々な物件の審査や検査を行うため、様々な建築物を見るのが好き!という方はおすすめできる職業です。

一方でデメリットもあります。

  1. 人によっては飽きることも
  2. 役所の代替機関という立場
  3. 将来的にはAIに置き換えられる可能性

人によりますが、友人からは「同じような建築物ばかり見ていて飽き飽きしてくる」という愚痴を聞くことがあります。

基本的に審査・検査が主業務ですのでどうしても飽きることがあるそうです。

中間検査や完了検査で現場に行くことで気持ちは切り替わるそうですし、何よりも審査や検査が好きで就職先として選択する方にとっては飽きることはないとは思いますが、仕事に飽きっぽい方は注意です。

次に「役所の代替機関」であるということですが、あくまでも建築基準法に基づき計画する建築物が建築基準関係規定に適合しているかどうかの確認を行う機関であることが前提のため、法や自治体毎のルールや取り扱いを定める機能や役割はありません。

「この取り扱い方はおかしいのでは?」と疑義に感じたとしても役所のようにルールを変更する役割はないため、一部の人にとっては強いストレスを感じるかもしれません。

また、特定行政庁とは異なり、行政から監督される立場にあります。

年末になると毎年のように指定確認検査機関や確認検査員に対しての処分が公表になります。

役所も同じことがいえますが、組織として審査に間違いがないように確立するのは当然ですが確認済証に記名・押印する建築主事・確認検査員は強いストレスを受けやすいです。

将来的にはAIに置き換わる可能性が高い業務分野です。というのもすでにAIでは画像認識による分析が可能な技術となっているためAIが学習することで適合しているかどうかの基本的なチェックは可能になると考えています。

こちらの記事も参考なるはずなのでぜひ!

役所のメリット・デメリット

役所での建築確認業務といっても特定行政庁限定特定行政庁のどちらかによって業務内容が異なります。

また、自治体の人口規模にもよりますが、木造戸建ての住宅程度の小規模な建築物のみ取り扱う限定特定行政庁の場合には、得られる建築法規の知識は建築基準法のうち限定的です。

とはいえですが、中大規模の建築物を取り扱う機会が少ないため審査・検査自体は比較的簡単です。

加えて自治体規模が小さいと審査件数も少ないですが建築知識を持った職員自体が稀少生物扱いになるので重宝がられます。”あなたがいなくなると限定特定行政庁廃止”となるくらいに稀少です。

一方で特定行政庁の場合も自治体規模にはよりますが、建築・都市計画行政全般を業務として取り扱うため建築確認審査以外の業務の方が多いかと思います。

また、建築職として採用されたとしても、建築職の部署がそれなりにあるため必ずしも建築審査を行う部署に行けるとは限らないので注意が必要です。

建築職が行う業務としては、建築指導、防災・耐震改修指導、都市計画、開発指導(都市計画法の開発行為)、空き家行政、景観行政、屋外広告物指導、市街地開発系(再開発、区画整理)、営繕(公共施設の建築)、住宅(公営住宅管理)、教育委員会(教育施設の管理)、公営病院(病院営繕)などなど 多岐に渡ります。一般的に花形とされるのは主幹部局である建築審査と都市計画です。

ちなみに国職(建築系)の場合には、代表的な部署としては、国交省住宅局、都市局、官庁営繕、文科省文教施設部、外務省在外公館の営繕業務などがあります。なお、国の場合には建築士にはなれても建築主事になれる道は基本的にありません。

役所の代表的なメリットです。

  1. 建築法体系全般の知識を習得
  2. ノルマがない
  3. 数年置きの部署異動で審査以外の業務も

建築法規の体系では全国一律に適用される単体規定と都市計画法等と連動する集団規定の2つがあります。

指定確認検査機関では国や自治体が定めたまちづくりのルールに則して適合しているかどうかの審査のみを行いますが(検査機関は許可業務はできない)、行政の場合には、ルールの策定(条例、規則など)自体に携わります。

ルールをつくる側を経験すると建築・都市計画行政全般を理解することにつながるため、まちづくりの興味がある方は経験必須です。

もう一つのメリットはノルマがないです。民間とは異なり売上目標はありませんので、一件ごとに急がず着実に審査を行うことができます(←これが行政に申請を出さない理由です)。

近年では一人あたりの業務件数が少なくなっているのもあって審査経験の積み上げのためでもありますが、ノルマがないのは精神的には楽です。
*審査が少ないだけで各種届出業務、建築相談など建築行政の窓口は日々混雑しています。

部署が異動があるのも役所のメリットです。

指定確認検査機関であれば毎日のように審査・検査が待ち受けていますが、役所の場合には2〜5年程度で部署を異動します。異動することで建築主事の業務とは異なる全く新しい業務に携わることができます。

一方でデメリットです。

  1. 異動があるため必ずしも建築審査業務を経験できるわけではない
  2. 審査件数が少ない(審査経験が不足することも)。
  3. 審査よりも窓口業務や指定確認検査機関からの照会回答業務に追われる。

異動願いに建築主事を目指すこと書いておけば運よ異動できるかもですが、建築職といっても部署が多岐にわたったり、数年おきに異動があるため必ずしも建築審査業務を行えるわけではありません。

冒頭で解説したように審査件数は指定確認検査機関よりも少ないです。建築審査・検査のスペシャリストを希望している方には役所はおすすめできません。

加えて、自治体規模にもよりますが人口規模が数十万以上になると審査よりも建築指導、建築法規相談、各種届出業務、検査機関からの照会、検査機関がおろした確認概要書のチェックなどで日々追われるので日中に審査業務に集中する時間はほぼありません(←私の場合)。

まとめ

建築主事・確認検査員を目指す場合の指定確認検査機関・役所のメリット・デメリットのまとめ

メリットデメリット
指定確認検査機関・自治体ごとに異なる取り扱いを学習
・専従業務のため建築法規習熟が早い
・省エネや長期優良住宅なども学ぶ
・人によっては飽きることも
・役所の代替機関としての立場
・将来的にAIに置き換わる可能性も
役所(特定行政庁)・建築法制度全般の知識を習得
・ノルマがない
・部署異動がある
・確認審査業務に携われないことも
・建築確認審査件数が少ない
・建築確認審査以外の業務が多忙






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など