土地探しで悩んだら解決のコツ【都市計画・まちづくりからの見方】

こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^

YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪

こちらの記事では「土地探しの悩み」の解決につながる”土地探しのコツ”的な内容を、建築基準法や都市計画法に精通するわたしことやまけんが語っていきたいと思います。

というのも、不動産業者からの情報のみを鵜呑みにしたり、自分で良い物件だと思い周囲の意見を聞かずに購入しちゃう人いますよね。

図星だと思う人、この記事を読んでくだい。

ほかの企業サイトに書いてあるような広く薄い内容は書きません。都市計画の視点から”ココ”というポイントを絞って説明します。




土地探しのコツは”ココ”

土地探しということは、「建築物を建築する」ことが目的のはず。

悩まれている方の多くは「住宅用途」かと思います。当然、住宅以外にも、工場や事務所、倉庫、飲食店や物販店舗などもありますので、今から話す内容は、全ての建築物の用途に合致するわけではないのですが、きっと役立つはずです。

土地を探す場合、将来、その土地をどうしたいのかによります。

・・・目的・目標が無いと彷徨ってしまい、テキトーに購入し後で後悔します。

自分の代限りで売却するのか、将来も子供に引き継ぐのか、10〜20年程度の短中期で売却する予定なのか。例えば、売却する予定だったり資産として保全していきたいのであれば、居住地は将来的に価値が維持されるのかどうかがポイントです。

「え〜、そんなん分からない!」と言いたくなると思いますが、事業計画だと思って、期限を設定してみてください。

将来にもわたり資産価値を維持する必要がない方(一生涯暮らせる資産を持っていて土地さえあればいいという方)は国内どこの土地でも問題ありません。一方で、資産として価値を維持したいきたい思いがあるのであれば、次の6つのポイントに注目してください。

この6つのポイントを踏まえていれば、まず資産的価値上、将来の売却時に大きく損をする可能性は低くなります。

ただし、注意点があります。

こちらの6つの指標ですが、あくまでもマクロ的視点(都市全体を俯瞰して判断)ですので、ミクロ(地域レベル)まで落とすと、その地域の高齢化率や年少人口の割合、平均所得額、一戸あたりの世帯数などで生活様式が異なり、地域の将来性も微妙に変わる可能性があリます。

地域名法令等コツ
市街化区域か市街化調整区域か都市計画法
(都市計画区域マスタープラン)
市街化区域を選択
市街化区域で用途地域は何か都市計画法
(都市計画マスタープラン)
住宅の場合には、住居系用途地域または商業系用途地域を選択し工業系は選択しない
居住誘導区域かどうか都市再生特別措置法(立地適正化計画)居住誘導区域を選択(都市機能誘導区域であればなお可)
ハザードエリアを含んでいないか土砂災害特別措置法、水防法など土砂災害警戒区域や浸水想定区域などの災害ハザードエリアを含んでいないか
居住市町村の将来人口は大きく減少しないか人口ビジョン2040年将来人口が2020年人口と比べて、増加又は数%微減している自治体・地域を選択
前面道路は、建築基準法の道路でかつ公道か建築基準法建築基準法上の道路で、かつ国・都道府県・市区町村道をする。
土地探しのコツ6つのポイント

6つ全ての地域に当てはまっている場合には、将来の価値(資産価値の目減り)を心配する必要はあまりありません。

では、その理由について一つ一つ説明します。

市街化区域か市街化調整区域か

都市計画を少しでも知っている方であればご存知かと思いますが市街化区域は市街化を促進する区域、市街化調整区域は市街化を抑制する区域で、市街化調整区域内では原則として建築物を建築することはできないのです。

市街化調整区域で建築されているものは、公益上必要な建築物や農林漁業従事者のための建築物、調整区域内で生活する方向けのサービスを提供する最低限の建築物などです。

市街化調整区域は圧倒的に土地需要が低いです。そのため、将来にもわたり土地を求める方は少ないと考えるのが一般的です。

なお、市街化調整区域と市街化区域の区分け(区域区分といいます)をしていないところ(いわゆる非線引き都市計画区域)は、用途地域が指定されているエリアを選択するようにします。

>>補足記事(もっと詳しく知りたい方向け)

市街化区域で用途地域は何か

用途地域とは市街化区域内に指定されるもので「建築することができる13種類の用途地域」がありますが、多くの都市で11〜12用途地域が指定されています。

用途地域が指定されると、用途地域ごとに建築することできる用途地域が定められます。

例えば、第一種低層住居専用地域であれば、低層住宅の良好な住環境を確保するための用途地域となるため、小規模な建築物や公益上必要な建築物のみが建築することができます。

また、商業地域であれば規模の大きい工場等を除いて大規模な商業施設を建築することできますが、一方で工業系用途地域は危険な工場等の立地が可能になるため住環境が悪化する可能性があります。

選択する方法としては、住宅系は住居系用途地域、商業施設であれば商業系用途地域を選択します。

わたしのこれまでの経験から、住宅用途の場合には、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域が適切に住環境保護されているためおすすめです。

商業系用途地域である近隣商業地域、商業地域は次の項で説明する都市機能誘導区域に指定されている可能性が高いため、将来の資産価値を維持する上でも重要です。

>>補足記事(用途地域毎の建築制限)

居住誘導区域かどうか

居住誘導区域とは、都市再生特別措置法に基づく「立地適正化計画」で指定される誘導区域のことで、コンパクトシティの形成を目指すものです。

東京や名古屋、大阪といった大都市では、立地適正化計画を定めていないのですが、地方都市の多くでは立地適正化計画を定めています。

居住誘導区域とは、居住の誘導を図って人口密度を維持する区域です。一方で都市機能誘導区域とは、医療や商業といった日常生活に必要不可欠な機能を誘導する区域のことです。

この立地適正化計画を定める理由としては、今後、急速な人口減少や超高齢社会が進展していくと、人口密度が低下していくことで、これまでの一定の人口密度に支えられてきたインフラの維持が困難となることから、広がり過ぎた市街地を少しづつ中に戻していくことが目的となっています。

居住誘導区域は基本的に公共交通の利便性の高い地域や人口密度の高い地域に指定されているのと、この区域については、行政側も積極的に公共投資していくので社会資本の維持されることが考えられます。

なお、居住誘導区域は、工業系用途地域には工業用専用地域のしつこい指定されることはないことにご注意ください。

そのため、土地探しに当たっては、「居住誘導区域」であるかどうかを確認してください。

>>補足記事(立地適正化計画の概要が分かる記事)

ハザードエリアを含んでいないか

ハザードエリアとは、災害の危険性の高いエリアのことです。

近年、激甚化する災害リスクが高まっているように思います。災害リスクが高いことで、土地の安全性が確保できない可能性が高まっていきます。

誰もが同じだと思いますが、災害リスクが高いところと低いところであればリスクが高くない地域でを選択したくのは当然ですよね。もちろん災害リスクが低い方が土地需要も高いです。

居住誘導区域を選択すれば、必然と災害リスクが低い地域(居住誘導区域の設定の考え方で災害リスクが高い地域は指定から除かれる)となります。

とはいえ、近年激甚化する災害は、益々増加しているので、何十年も災害が起きていなくても、突如として起きる可能性はあるので、津波や河川洪水浸水想定区域のように発生確率は低くても発生したあとの被害が甚大なので注意する必要があります。

>>補足記事(災害リスクに関してよく理解できる記事)

人口は大きく減少していないか

人の数=経済 です。

つまり、人口が減っていくということは経済活動が弱くなっていくということです。

人口減少率が高ければ高いほど、人の数が減っていくので都市全体の経済力が弱まっていきます。

ですので、人口減少率が低い方が土地の選択地として優良です(人口減少を前提に話していますが、人口が増加している地域の方がいいです)。

または、都市の人口が減少していても小地域単位で人口が増加している地域もあるので、そうした地域を選択するのもありです。

なお、居住誘導区域であれば人口密度を維持していく方針で設定されているので、人口減少が著しい都市で土地を探す場合には、居住誘導区域を候補地とするのもありです。そのため、基本的に居住誘導区域を選択すればOKです。

どの程度の人口が減少するかは「人口ビジョン」で確認できます。

建築基準法上の道路+公道

土地に接する道路は、建築基準法上の道路でないと再建築することは不可能です。

ですので、基本的に建築基準法上の道路であることは当然として、国・県・市町村道であることも必要です。というのも、公道よりも私道の方がトラブルが生じやすいからです。

以前、某県で起きた事例としては、開発行為により造成された団地で、所有者が私道の使用をめぐって近隣とトラブルになり、物理的に使用させないといったことがありました。

当然、建築基準法では私道に関して利用者の保護をしているのですが、私道はどうしても公道と異なり、個人が所有しているため道路の使用に関して問題が起きやすくなります。

役所とのトラブルより私人間のトラブルが多そうなのは誰もがイメージしやすいですよね。

>>補足記事(建築基準法上の道路に関する記事)

まとめ

まとめると、次のようになります(再掲)

  1. 市街化区域を選択
  2. 住居系または商業系用途地域を選択
  3. 居住誘導区域を選択
  4. 災害ハザードエリアを選択しない
  5. 人口減少が大きくない都市を選択
  6. 建築基準法上の道路(公道)に接している土地を選択
地域名法令等コツ
市街化区域か市街化調整区域か都市計画法(都市計画区域マスタープラン)市街化区域を選択
市街化区域で用途地域は何か都市計画法(都市計画マスタープラン)住宅の場合には、住居系用途地域または商業系用途地域を選択し工業系は選択しない
居住誘導区域か都市再生特別措置法(立地適正化計画)居住誘導区域を選択(都市機能誘導区域であればなお可)
ハザードエリアを含んでいないか土砂災害特別措置法、水防法など土砂災害警戒区域や浸水想定区域などの災害ハザードエリアを含んでいないか
居住市町村の将来人口は大きく減少しないか人口ビジョン2040年将来人口が2020年人口と比べて、増加又は数%微減している自治体・地域を選択
前面道路は建築基準法の道路でかつ公道か建築基準法建築基準法上の道路で、かつ国・都道府県・市区町村道をする。
土地探しのコツ6つのポイント

土地探しを行う上での、コツの一つですが、都市計画や建築に関する知識がある程度ある方であれば6つの要素を取り入れながら探すのは簡単なのですが、そうではない場合、正直なところ時間ばかり取られて、結局どうすればいいのか分からない!!

という事態に陥ってしまいがちです。

そうした際は、専門的知識を持ってアドバイスしてくれる不動産業者さんにお願いするのも一つの手です。

おすすめは、東証一部に上場しており日本最大級の不動産・住宅情報サイトを運営している【LIFULL HOMES】さんです。

無料相談というと最近では、その後の押し売りが怖い!という方もいるかもしれませんが、上場している企業さんなのでそのあたりの心配は少なくなるかなと思います。また、不動産・住宅に関する情報量が豊富なので相談実績も多いので時間が無いという方は相談した方がいいです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など