非線引き区域の建築制限(メリット)
非線引き都市計画区域の建築の制限やコントロールの手法としては一般的に用途地域が指定されます。
また、用途地域以外のエリア(いわゆる白地。市街化調整区域ではないことに注意してください。)は、農地法等の個別法に基づく制限以外では建築基準法上は床面積1万㎡超の大規模集客の立地制限があるのみ。
一方で、線引きを廃止した特殊な事情を抱えた都市を除き、一般的には経済規模が小さいのが非線引き都市計画区域の特徴となります。ビジネスをはじめ不動産事業をされるような方にとっては魅力的なエリアが狭いとイメージされるかもしれません。
ただしです、、、
実態上の都市圏にも関わらず都市計画再編が行われていない線引き区域と非線引き区域が隣接している自治体がちらほらあります。こうしたエリアの非線引きは穴場です。
不動産投資上は狙い目ですが、、、
例えば、千葉県八街市は典型例で非線引きにも関わらず千葉市や東京圏へ近いこともあって通勤者のベッドタウンとして開発が進んだ地域です。
ですが非線引きのため都市計画が機能せず虫食い状に乱開発され道路や水道、下水道などのインフラが不十分なケースもあるので投資する際は慎重な判断が必要です。以前、八街では児童が通学路で亡くなった事故がありましたが都市計画を有効に機能させて計画的に市街地を形成させてインフラを整ていれば痛ましい事故は無かったかもしれません。
*自治体毎の都市計画マスタープランを読んでまちづくりの方針を確認しておくことをお勧めしたいです。
また、南アルプス市や熊本県のように線引き都市に隣接していたことでその経済と建築制限の緩さを活かしコストコを誘致できた例もあります。
補足記事
非線引き区域の人口
国よると現在(最新の都市計画現状調査)、非線引き都市計画区域は、744都市計画区域(730市町村)あります。非線引き都市計画区域内の人口は、約1,970万人と全人口の約16%となっています。
全人口の大半は市街化区域に居住していますが、それでも2千万人近い方が居住しているため、都市計画上も適切にコントロールしていくべき区域となっています。
ちなみに下記表には記載していませんが、市街化区域に約8,900万人が居住しています。市街化区域の面積は14,535k㎡ですので、国土の3.8%に全人口の約71%が居住していることになります。
都市計画区域数 (構成市町村数) | 面積 (k㎡) | 人口 (万人) | |
---|---|---|---|
線引き | 252 (622) | 52,143 | 9,924 |
非線引き | 744 (730) | 50,699 | 1,974 |
都市計画区域外 | ー | 275,131 | 695 |
補足記事
非線引き都市計画区域を調べるには?
非線引き都市計画区域かどうかは、都道府県又は政令指定都市が作成する「都市計画区域マスタープラン」に区域区分設定の有無が記載されているため、その情報から判断することができます。
(注)都市計画マスタープランではなく都市計画区域マスタープランです。
また、具体的な個別の位置については自治体毎に公表している都市計画情報を参照することで確認可能です。ただし、自治体規模が小さい町や村の場合には都市計画情報をネット上に公開できていないことがあります。この場合には直接電話等で確認する必要があります。
日本全体でどういった市町村が非線引きなのかどうかは国土交通省が毎年公表している「都市計画現状調査」の都市別一覧から読み取ることが可能です。
補足記事
非線引き地域は開発許可が不要な規模が1ha未満とされています。一方で三大都市圏の一部都市では500㎡未満とされています。開発許可が適用されないと技術基準が適用されてないため、道路や緑地、給排水などの最低限のインフラが不十分となります。
*例えば開発行為では道路は幅員6mですが、非開発では4mでOKです。
>>>参考記事:【都市計画と開発行為】都市計画法第29条をわかりやすく解説