「障害者支援施設(工場・作業場を含むケース)」で建築可能な用途地域を解説

この記事では、障害者総合支援法で定める障害者支援施設(障害福祉サービス)について、自立・就労支援施設などの「作業場や工場」が併設されているケースでの建築基準法の用途地域の立地基準を解説しています。

作業場部分を有する障害者施設施設の場合、通常の社会福祉施設と異なり建築可能な用途地域が限定されるので立地場所を探す上での参考にしてみてください。

第五条 この法律において「障害福祉サービス」とは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助をいい、「障害福祉サービス事業」とは、障害福祉サービス(障害者支援施設、独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法第11条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設(以下「のぞみの園」という。)その他厚生労働省令で定める施設において行われる施設障害福祉サービス(施設入所支援及び厚生労働省令で定める障害福祉サービスをいう。以下同じ。)を除く。)を行う事業をいう。

11 この法律において「障害者支援施設」とは、障害者につき、施設入所支援を行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設(のぞみの園及び第一項の厚生労働省令で定める施設を除く。)をいう。

障害者総合支援法第5条第1項、第11項

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この記事を書くにあたり参考にしたのは、次の書籍です。
特定行政庁で構成される日本建築行政会議でとりまとめている参考書(建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例)です。




障害者施設の用途制限の考え方

種類建築基準法における用途住居系用途地域商業系用途地域工業系用途地域
①居住施設、近隣住民に必要不可欠な通園施設「老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの」
②騒音の発生等により近隣の居住環境を害する恐れがない集会・通園施設「老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの」
③上記の用途に加えて、生産を目的とした作業場を有する施設上記の用途+「工場」
障害者施設施設の用途制限
  • 障害者の自立支援・生活訓練を目的とし、騒音等により近隣の住環境を害する恐れのない場合(生産を目的とする作業を行わない場合)は、「工場」には該当しないという考え方が示されています。
  • 生産を目的とする(食材の加工・販売や工業製品の加工・販売など)施設がある場合には、その作業場の部分は「工場」に該当するため、原動機制限と用途地域制限が伴います。(次の項で詳しく解説)
  • ①の「老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの」に該当する場合、工業専用地域に該当する場合は建築不可となります。
  • ②の「老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの」に該当する場合、「第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域」においては、延べ面積を600㎡以下の制限があります。

川崎市(特定行政庁)や横浜市(特定行政庁)においても、次のような考え方を示しているので参考になります。

法別表第2(い)項第6号は、「老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの」、法別表第2(は)項第4号は、「老人福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するもの」に該当するため、日本建築行政会議が取りまとめている内容と同じです。

また、行政会議で取りまとめている内容同様に、原動機(モーター)を使用する施設や販売等の生産を兼ねる施設の場合には、利用形態によって判断するとしています。

障害者自立支援法に規定する「障害者支援施設」は、居住のための施設である継続的入所施設又は、近隣住民に必要不可欠な通園施設である場合は、法別表第2(い)項第6号に該当し、騒音の発生等により近隣の居住環境を害するおそれがない集会・通園施設の場合は、法別表第2(は)項第4号に該当する。なお、原動機を使用する施設や販売等の生産を兼ねる施設の場合もあることから利用形態によって判断すること。

川崎市建築基準法関係取扱基準集


用途名障害者総合支援法老人ホーム 保育所 福祉ホーム等老人福祉センター
、児童厚生施設等
その他
障害者支援施設第5条第11項★1★2工場(★3)
横浜市(特定行政庁)における障害者支援施の用途制限の考え方 出典:横浜市建築基準法取扱基準

★1:居住のための施設としての継続的入所施設又は近隣住民に必要不可欠な通園施設である社会福祉施設と認められる施設
★2:騒音の発生等により近隣の居住環境を害するおそれがない集会・通園施設と認められる施設
★3:施設内の作業場については、作業の目的・内容、作業場の床面積(50 m²以下)、原動機の出力(0.75kW 以下)、作業の継続性等に着目し、障害者の自立支援や生活訓練を目的とし、騒音等により近隣の住環境を害するおそれのない場合は、「工場」には該当しない

工場に該当する場合の立地可能な用途地域

障害者支援施設のうち、「工場・作業場」に該当する用途が含まれる場合には、次の用途制限となります。

なお、作業場の範囲とは作業場に部分をいいますが明確に区切られていない場合には特定行政庁の判断に従うこととなるため役所への事前相談が必要となります。

用途地域名工場・作業場
一種低層✖️:建築できない
・作業場の床面積:50㎡以下
・用 途:パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋など
・原動機:0.75kw以下
(注)兼用住宅に限られるため障害者支援施設と兼用は不可
二種低層
一種中高層
二種中高層
▲:床面積等の制限あり
・作業場の床面積:50㎡以下
・用 途:パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋など
・原動機:0.75kw以下
・階 数:2階以下
一種住居
二種住居
準住居
▲:床面積の制限あり
・作業場の床面積:50㎡以下
近隣商業
商業地域
▲:床面積の制限あり
・作業場の床面積:150㎡以下
準工業
工業
⭕️:建築可
工業専用▲:以下の用途は建築不可
・「老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの」
障害者支援施設のうち工場用途が含まれる場合の用途地域制限

第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の場合には、用途制限(パン屋・菓子屋などに限られる)と原動機出力0.75kw以下とする制限がありますので注意が必要となります。

もっと詳しく詳細な内容を知りたい!!という方は、「平成5年6月25日技術的助言 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等の施行について」をネットで検索の上、ご確認ください。

記事は以上となります。

今回、解説した記事は一般的な内容となります。用途制限の最終判断は特定行政庁になりますので、建物の使い方で疑問が生じた場合には近くの自治体(建築主事を置く自治体)に相談してみてください。






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