この記事では、「一団地認定」の制度概要や緩和される規定について簡単に解説しています。
こんにちは。やまけん(@yama_architect)です^ ^
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪
建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。
良かったらブックマーク登録して毎日、遊びに来てくれるとブログ運営の励みになります♪
一団地認定とは?
建築基準法第86条の一団地認定とは、一敷地一建築物の原則を緩和し、複数建築物を一つの建築物・敷地とするための制度のことです。*大規模住宅団地に多い
- 第1項:一団地認定(新規建築物に対する認定)
- 第2項:連単建築物(既存建築物に対する認定)
主に住宅団地(民間・公営)で採用されており、過去の国交省さんの資料によると約1.8万件程度(住宅系)あるそうです。意外と多い印象ですよね。よく公営団地で敷地面積が狭いケースでは採用されている印象です。
・・・わたしが特定行政庁に在籍しているときは2・3度ほど認定審査を行ったことがあります。
特定行政庁による認定制度となり、接道義務、容積率、建ぺい率、日影規制などが、同一敷地内にあるものとみなして適用されます、
基本的には、住宅団地系が多いです。不動産取引における重要事項説明の対象にもなっているため、宅建試験にも出題される可能性がありますが「一団地認定」??となるのが一般的ですよね(取引自体が少ないので当然です。)
なお、一団地認定基準については、国からの技術的助言をもとに各特定行政庁が基準を設定しているのと、認定箇所も公表(窓口か都市計画情報等で)されています。
一団地認定により一敷地として適用される規定(特例対象規定)
(一の敷地とみなすこと等による制限の緩和)
建築基準法第86条第1項
第86条 建築物の敷地又は建築物の敷地以外の土地で2以上のものが一団地を形成している場合において、当該一団地(その内に第8項の規定により現に公告されている他の対象区域があるときは、当該他の対象区域の全部を含むものに限る。以下この項、第6項及び第7項において同じ。)内に建築される1又は2以上の構えを成す建築物(2以上の構えを成すものにあつては、総合的設計によつて建築されるものに限る。以下この項及び第3項において「1又2二以上の建築物」という。)のうち、国土交通省令で定めるところにより、特定行政庁が当該1又は2以上の建築物の位置及び構造が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものに対する第23条、第43条、第52条第1項から第14項まで、第53条第1項若しくは第2項、第54条第1項、第55条第2項、第56条第1項から第4項まで、第6項若しくは第7項、第56条の2第1項から第3項まで、第57条の2、第57条の3第1項から第4項まで、第59条第1項、第59条の2第1項、第60条第1項、第60条の2第1項、第60条の2の2第1項、第60条の3第1項、第61条又は第68条の3第1項から第3項までの規定(次項から第4項までにおいて「特例対象規定」という。)の適用については、当該一団地を当該1又は2以上の建築物の一の敷地とみなす。
条項 | 概要 |
---|---|
第23条 | 延焼の恐れのある部分の外壁の防火構造 |
第43条 | 接道義務 |
第52条第1〜14項 | 容積率 |
第53条第1・2項 | 建蔽率 |
第54条第1項 | 外壁後退(一種低層・二種低層・田住) |
第55条第2項 | 絶対高さ制限(一種低層・二種低層・田住)特例認定(10m→12m) |
第56条第1〜4項、第6・7項 | 道路・隣地・北側斜線制限 |
第56条の2第1〜3項 | 日影規制 |
第57条の2 | 特例容積率適用地区内の容積率特例 |
第57条の3第1〜4項 | 特例容積率適用地区内の容積率特例(指定取り消し) |
第59条第1項 | 高度利用地区 |
第59条の2第1項 | 敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例 |
第60条第1項 | 特定街区 |
第60条の2第1項 | 都市再生特別地区 |
第60条の2の2第1項 | 居住環境向上用途誘導地区 |
第60条の3第1項 | 特定用途誘導地区 |
第61条 | 防火・準防火地域内の建築物 |
第68条の3第1〜3項 | 地区計画(再開発等促進区、沿道再開発等促進区) 特定行政庁の認定緩和(容積率・建蔽率・絶対高さ制限) |
補足
国よると、一団地認定制度自体の歴史は古く昭和29年から認定が行われてきたようで、認定件数に土えは、新都市計画法が施行された昭和43年頃からの認定が多いです(昭和45年〜平成初期ごろまで)
ところが、社会情勢の変化とともにいつの間にか認定要件を満たさない一団地が散見されるようになってきたため、特定行政庁に職権取り消しが可能となる改正が近年、行われています。
また、平成30年には、国土交通省から「建築基準法第 86 条第1項等に基づく一団地認定の特定行政庁による職権取消しのためのガイドライン」が公表されるなど、一団地認定自体の存続が妥当ではないケースがより一層増えたことに対し特定行政庁が柔軟に対応できるようになっています。
あまり一団地認定の土地・建物を売買をすること自体は少ないかもしれませんが、取引説明する場合には、特定行政庁による認定内容を確認したり、場合によっては現時点で適法となっているのか建築士に依頼する必要もありそうです。
ということで以上です。こちらの記事が参考になりましたら幸いです。