この記事では、不動産取引における重要事項説明のうち、「都市計画法」について解説しています。
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建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。
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重説(国標準様式)における都市計画法一覧
重要事項説明においては、都市計画法に関する一般的な事項(都市計画区域の別、市街化区域の別など)の他、宅建業法施行令第3条第1項第1号に掲げる内容を説明する必要があります。
都市計画法第29条第1項及び第2項、第35条の2第1項、第41条第2項、第42条第1項、第43条第1項、第52条第1項、第52条の2第1項(同法第57条の3第1項において準用する場合を含む。)、第52条の3第2項及び第4項(これらの規定を同法第57条の4及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第284条において準用する場合を含む。次項において同じ。)、第53条第1項、第57条第2項及び第4項、第58条第1項、第58条の2第1項及び第2項、第58条の3第1項、第65条第1項並びに第67条第1項及び第3項
宅建業法施行令第3条第1項第1号(都市計画法:重要事項説明)
都市計画法 | 概要 |
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【開発行為】 法第29条第1項 | 都市計画区域(準都市計画区域)内において開発行為をする者は、事前に都道府県知事等(都道府県知事、指定都市長、中核市長)の許可を受けなければならない。 *市街化区域:1,000㎡以上(三大都市500㎡以上) *非線引区域・準都市計画区域:3,000㎡以上 詳細記事 【都市計画と開発行為】都市計画法第29条をわかりやすく解説 詳細記事 「開発行為」とは?[宅地建物取引士試験向けの解説] |
【開発行為】 法第29条第2項 | 都市計画区域(準都市計画区域)外において一定規模以上の開発行為をする者は、都道府県知事等(都道府県知事、指定都市長、中核市長)の許可を受けなければならない。 *都市計画区域外:10,000㎡以上 詳細記事 【都市計画と開発行為】都市計画法第29条をわかりやすく解説 詳細記事 「開発行為」とは?[宅地建物取引士試験向けの解説] |
【開発行為】 法第35条の2第1項 | 法第29条第1項・第2項開発行為の変更許可 *開発区域、予定建築物の用途、設計、工事施行者などの変更 |
【開発行為】 法第41条第2項 | 用途地域の定められていない土地での開発行為(非線引区域のうち用途地域未指定、都市計画区域外、市街化調整区域)における建築物の制限(建蔽率、高さ、壁面の位置の制限、建築物の敷地など)に関する規定。 *ただし、都道府県知事がやむを得ないとして許可する場合を除く。 重 説 市街化区域外の開発行為(住宅団地など)については、建蔽率や容積率などが都市計画法第41条第2項の規定により都市計画とは別に制限されている可能性有。開発行為により制限が設けられている場合には、その旨(制限の概要)を説明する。 詳細記事 【宅建:都市計画法第41条第2項】用途地域の定められていない地域での開発行為に関する解説 |
【開発区域内における予定建築物以外の建築の禁止】 法第42条第1項 | 開発行為の工事完了公告後においては予定建築物等以外の建築物・特定工作物の新築(新設)等を行ってはならないとする規定。 *ただし、都道府県知事が許可した場合、第一種特定工作物や用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、居住環境向上用途誘導地区、特定用途誘導地区、流通業務地区、分区(港湾法第39条第1項)が指定されている場合を除く。 重 説 市街化区域内の完了した開発行為は説明不要。 用途地域等が指定されていない地域(市街化調整区域など)においての開発行為については、予定建築物の用途の確認が必要。 詳細記事 宅建・重説:開発行為】都市計画法第42条第1項の規定とは? |
【市街化調整区域内の建築制限】 法第43条第1項 | 市街化調整区域内の建築制限に関する規定(開発行為区域内を除く)。原則として、市街化調整区域内においては建築物の建築をすることができない。 *ただし、第一種指定工作物や都市計画事業で施行する建築、仮設建築物を除く。 重 説 市街化調整区域内は原則として建築物の建築をすることができない旨を説明する。 詳細記事 市街化調整区域では原則として建築が制限されている理由(都市計画法の解説) |
【田園住居地域】 法第52条第1項 | 田園住居地域内の農地の区域内において、土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設等を行う場合には市町村長の許可を受けなければならないとする規定。 *ただし、通常の管理行為、軽易な行為、非常災害のための応急措置、都市計画事業として行う行為等については許可不要。 重 説 用途地域のうち、田園住居地域内の「農地」について、土地の形質や建築物の建築等を行う場合にはあらかじめ市町村長の許可が必要となる旨を説明する。 詳細記事 田園住居地域とは? 今後の都市農地のあり方と人口減少下における新たな土地利用 |
【市街地開発事業等予定区域】 法第52条の2第1項(法第57条の3第1項準用) | 市街地開発事業等予定区域内において、土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設等を行う場合には都道府県知事等(等:指定都市長、中核市長)の許可を受けなければならないとする規定。 *ただし、通常の管理行為、軽易な行為、非常災害のための応急措置、都市計画事業として行う行為等については許可不要。 *市街地開発事業等予定区域とは? 新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、新都市基盤整備事業、一団地の住宅施設(20ha以上)、流通業務団地 重 説 市街地開発事業等予定区域内において、土地の形質の変更や建築物の建築等を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要となる旨を説明。 なお、市街地開発事業等予定区域は「都市計画決定」。現在、都市の成熟のに伴い、市街地開発事業を施行している自治体は少ない |
【市街地開発事業等予定区域】 法第52条の3第2項 | 市街地開発事業等予定区域の都市計画決定告示から10日経過後において、予定区域内の土地等を売買する場合には、予定対価額や譲渡相手などの情報について市街地開発事業施行予定者に届出義務があるとする規定。 *ただし、文化財保護法の適用を受ける建築物を除く。 重 説 市街地開発事業等予定区域の都市計画決定告示から10日経過後において、土地や建物を売買する場合に、その売買情報を施行予定者(地方自治体等)に届出を行う必要がある旨を説明 |
【市街地開発事業等予定区域】 法第52条の3第4項(法第57条の4、密集市街地整備法第284条準用) | 法第52条の3第2項届出後【市街地開発事業等予定区域内での届出】30日以内(期間内に施行予定者が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、土地建物等を譲り渡してはならないとする規定。 |
【都市施設内の建築許可】 法第53条第1項 | 都市計画施設の区域内・市街地開発事業の施行区域内において、建築物の建築をしようとする者は、建築する前に都道府県知事等(等:指定都市長・中核市長)の許可が必要となる。 *一般的には「都市計画道路」の計画決定を受けた区域内において建築する場合に許可が必要となるケースが多い。 詳細記事 【都市計画法第53条許可とは?】許可が必要な建築や許可条件など分かりやすく解説 |
【市街地開発事業】 法第57条第2項 | 市街地開発事業の都市計画決定告示から10日経過後において、市街地開発事業区域内の土地等を売買する場合には、予定対価額や譲渡相手などの情報について都道府県知事等(等:指定都市長・中核市長)に届出義務があるとする規定。 *ただし、文化財保護法の適用を受ける建築物を除く。 重 説 市街地開発事業の都市計画決定告示から10日経過後において、土地や建物を売買する場合に、その売買情報を都道府県知事等に届出を行う必要がある旨を説明 |
【市街地開発事業】 法第57条第4項 | 法第57条第4項届出後【市街地開発事業区域内での届出】30日以内(期間内に都道府県知事等が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、土地建物等を譲り渡してはならないとする規定。 |
【風致地区】 法第58条第1項 | 風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為については、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制を定めることができるとする規定。 重 説 風致地区内の建築条例(地方公共団体条例)が規定されている場合に、その規制内容(建築条例の概要)を説明 詳細記事 【風致地区とは?】重要事項説明にも関係する風致地区の理解力を深める解説 |
【地区計画】 法第58条の2第1項 | 地区計画の区域(再開発等促進区・開発整備促進区・地区整備計画が定められている区域)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築を行う者は、行為に着手する日の30日前までに、市町村長に届け出を行わなければならいとする規定 詳細記事 都市計画で指定される地区計画の届出方法を分かりやすく解説しています。 |
【地区計画】 法第58条の2第2項 | 法第58条の2第1項【地区計画】の変更届出 |
【田園住居地域】 法第58条の3第1項 | 市町村は、条例で、地区計画の区域(地区整備計画の区域)内の農地の区域内における第52条第1項(田園住居地域)本文に規定する行為について、市町村長の許可を受けなければならないこととすることができる規定 重 説 地区計画区域農地(地区整備計画策定)の場合で市町村条例化している場合に、その制限の内容を説明する。 |
【都市計画事業】 法第65条第1項 | 都市計画事業認可後、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物の建築その他工作物の建設等を行おうとする者は、都道府県知事等(等:指定都市長・中核市長)の許可を受けなければならないとする規定 重 説 都市計画事業認可区域内において、都市計画事業の施行の障害となるような行為(建築物の建築や工作物の建設、物件の設置など)を行う場合には、都道府県知事等の許可が必要となる旨を説明 |
【都市計画事業】 法第67条第1項 | 都市計画事業の認可告示から10日経過後において、都市計画事業区域内の土地等を売買する場合には、予定対価額や譲渡相手などの情報について施行者に届出義務があるとする規定。 *ただし、文化財保護法の適用を受ける建築物を除く。 重 説 都市計画事業の都市計画決定告示から10日経過後において、土地や建物を売買する場合に、その売買情報を施行者に届出を行う必要がある旨を説明 |
【都市計画事業】 法第67条第3項 | 法第67条第1項届出後【都市計画事業区域内での届出】30日以内(期間内に施行者が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、土地建物等を譲り渡してはならないとする規定。 |
実務上、取引的に多く重要なのは都市計画法第29条許可(開発行為を受けて建築されているかどうか)、都市計画法53条許可(都市計画施設等区域内での建築許可)、都市計画法第58条の2届出(地区計画)です。
ですので、この3つについて理解しておくようにすると実務上円滑に業務を進めることができるようになると思いますので参考にしてみてください。
【補足】よくある事例:市街化調整区域
市街化調整区域内の土地建物取引を行う場合、はじめに都市計画法の規定により、どのような制限が課せられている土地建物なのか詳細に調査する必要があります。
よくある勘違いとしまして市街化調整区域内の建築(立地に関して)に関する指導も建築基準法で行われるとする考えです。
実際は、市街化調整区域内の”建築(立地基準)”については、建築基準法ではなく、都市計画法が適用されます。ですので、都市計画法に基づき、”どのような制限”があるのか。が重要となります。
線引き前住宅(区域区分指定以前から住宅・宅地として使用)、開発行為による建築、農家住宅など、原則として建築が制限されているエリアにおける建築は、単に建築できる・できないといった判断よりは少しグレーな箇所があります。
また、各自治体(都道府県知事、指定都市長、中核市長)の取り扱いを知ることも大切だったりします。
この市街化調整区域内の建築(都市計画法第43条)については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
その他:都市計画法・建築基準法その他の法令に基づく制限一覧
今回の記事では、都市計画法の解説を行いましたが、宅地建物取引業法第35条第1項第2号の制限は、建築基準法やその他の個別法が適用されます。詳細はこちらの記事にまとめておりますのでよかったら参考にしてみてください。